職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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129. 脳ミソ半分問題

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「完全に灰にされちゃったら、エリクサーでも復活出来ねーんじゃないのか?」

 塩太郎は、メリルによって灰にされてしまった、大蛇だったモノを見てシャンティーに質問する。

「形が残ってる消し炭程度なら、復活させる事ができるけど、真っ白な灰になって形が崩れてしまったモノは、流石に生き返らす事はできないわね……」

「という事は、メリルの魔法を受けたら、生き返れないのか?」

「無理ね。後、脳みそを握り潰されて、グチャグチャにされた場合も無理ね。まあ、形は元に戻るかもしれないけど、一生植物人間よ!」

「剣とかで、頭から真っ二つにされた場合は、大丈夫だよな?」

「切断面が綺麗なら、問題無いわよ!」

「脳みそが欠損した場合は?」

 塩太郎は気になり、話を掘り下げる。

「脳みそは、元通りに治るかもしれないけど、欠損した部分の記憶は飛ぶわね。だけど、脳の3分の2以上の欠損は、植物人間よ!」

「簡単に言うと、脳みその攻撃と、灰にされるような攻撃には気を付けろという事だな?」

「そうね。エリクサーも万能じゃないのよ。
 それに、不老不死の人間や魔物だって、ヤバい攻撃を受ければ、普通に死ぬから」

 シャンティーが、教えてくれる。

「だったら、良く斬れる刀で真っ二つにしたら、脳みそは半分づつだから、記憶は少々なくなると思うけど、2人の人間が出来るんじゃねーのか?」

「そうね。それはやった事無かったわ。
 塩太郎が2人いれば、とても便利になるわね。
 頭は、元々バカだから、もう少しだけバカになってもそんなに変わらないし。
 早速、やってみる?」

 シャンティーは、何故か乗り気である。

「あの……すみません。体を真っ二つに割ってエリクサー掛けても、2人にはなりませんよ。
 一応、体は2つとも復活しますが、魂は1つしかないんで、魂が入って無い体の方は、自我が無いので3日間ぐらいで消滅してしまいます。
 因みにですが、復活した方の体も、脳みそ半分での復活なりますので、相当記憶が無くなってしまいますので、やるだけ損ですよ」

「そうだったの……」

 シャンティーは、とても残念そうだ。
 というか、メリルが2人にならないという事実を教えてくれなければ、塩太郎は、ただ単に、シャンティーに真っ二つに斬られてバカになる所だった。
 というか、何で、メリルはその事知ってるのだろう。そっちの方が気になる。

 そして、そんな塩太郎の想像を感じ取ったのか、メリルは慌てて説明しだす。

「一応、言っておきますが、それをやったのは、ブリトニーさんです。
 昔、部下を半分に割ってエリクサー掛ければ、無限に増えるニャ!とか、言って、『カワウソの牙』のスイセイさんで試してみたんですが、案の定、片一方は消滅してしまったんです。
 その事件のせいで、元々バカだったスイセイさんが、もっとバカになったと言われてます」

「そんな事件があったのね……。まあ、『カワウソの牙』のおバカ3人組は、元々バカだから被害が少なくてなによりだったわね」

「ですね」

 シャンティーが口の悪いのは知ってるが、メリルも相当のようだ。
 まあ、メリルの場合は、全く悪気なく言ってるようで、ただの天然のような気もするけど。

 そんな話をしつつ、塩太郎達は下階段を見つける探索を続ける。

「ワンワンワン!」

 再び、ワンコが泣き始める。

「敵のようね。また、大蛇みたいよ」

「今度は、俺が行く」

 シャンティーの言葉に、塩太郎は答える。

「勝算はあるの?」

「そんなのねーよ! だけど、脳みその欠損や、灰にならなきゃ生き返させられるんだろ?」

「一応、そうだけど」

「なら、大蛇の大口の中に飛び込んで、中から斬り刻んでやんよ!」

「アンタばか? 大蛇のお腹の消化液で、溶かされる可能性がある事、分かってる?」

「え? 何それ?」

「アンタ、そんな事も知らないの?殆どの生物のお腹の中は、消化液が分泌されててそれに触れてると、徐々に体が溶けていってしまうのよ!」

「えっ!? そうなのか?」

 幕末出身の塩太郎は知らなかった。
 現在日本人なら誰でも知ってる、胃と胃液の仕組みを。
 西洋医学の知識を全く知らない塩太郎は、当たり前のように知らなかったのだ。

「アンタ、本当に無知よね……だから、大蛇の腹の中に入ったら、調子に乗って、あんまり奥まで行かない事!
 奥まで行き過ぎると、溶けて、戻ってこれなくなる可能性があるからね!」

「危なかった……聞いて無かったら、尻尾の先まで行くつもりだったぜ……」

 塩太郎はシャンティーの話を聞いて、背筋に生暖かい汗がタラリと落ちる。

「しょうが無いわね。スピード2倍のエンチャンター掛けてあげるから、大蛇の中で長居はしない事。必ず、5分以内に帰ってらっしゃい!」

 シャンティーは、そう言うと、塩太郎の前までフワフワ飛んでいき、スピード2倍のエンチャンターを掛けてくれた。

「オッ! 動きが速くなった」

 塩太郎は、腕をグルグル回して、速さを確認する。

 とか、やってると、

「塩太郎! 大蛇が見えて来たわよ!」

 シャンティーが慌てた声で、塩太郎に伝える。

「えっ! 本当だ!! というか、滅茶苦茶速くね?!」

 大蛇は、餌を発見した事により、スピードを上げて塩太郎達に突進していたのだ。

「喋ってないで、とっとと行きなさい!
 早くしないと、私達まで食べられちゃうじゃない!
 私、蛇の唾液まみれなんかに、絶対になりたくないんだからね!」

 シャンティーは塩太郎の心配より、やはり、自分の体が汚い唾液で汚れる事の方が心配のようだ。

「言われなくても行くっちゅーの! 俺が、1人で倒してやんよ!」

 塩太郎はそう言うと、大蛇の口目掛けて走りだした。
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