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127. アマイモンのダンジョンは甘くない
しおりを挟む「もう、本当に行きましょう。私、早く聖剣エクスカリバーを手にいれたいので」
メリルが、強めに言っくる。怒っているようには見えないが、圧が凄い。
「そ……そうだな、もう出発した方がよさそうだな」
塩太郎も、すかさず同調する。
だって塩太郎的に、『鷹の爪』とか、よく分かんないどうでも良い話だったので。
まあ、刀マニアの塩太郎も、早く聖剣エクスカリバーを見たいだけなんだけどね。
「それでは、気を付けて行ってらっしゃいませ!
アッ!それから分かってると思いますけど、メリルさんは、『犬の肉球』の補助をするだけですよ!
メリルさんが本気を出してしまったら、このダンジョンを攻略するのなんて簡単だと思いますから!
今回の目的は、『犬の肉球』と、塩太郎君の実力の底上げですからね!」
アマイモンが、テンション高めに釘を刺す。
「分かってます!」
メリルは、強めに返事をして、そのまま城から出ていってしまった。
「私達も行くわよ!」
シャンティーも、すぐにメリルに続く。
「本当に、お前、シャンティーかよ!
聖剣エクスカリバーも、手に入れれないのに?」
「アンタ、アマイモンの言葉聞いてなかったの!
このダンジョンでは、南の大陸で高く売れる素材が手に入ると言ってたでしょ!
その素材をたくさんゲットして、一攫千金よ!
何せ、このダンジョンには選ばれた者だけしか入れないんだから!
このチャンスを不意にするアホな奴なんて居ないわよ!」
やはり、シャンティーは、シャンティーだと塩太郎は思ったのであった。
ーーー
メリルは下りの階段の場所を知ってるのか、1人先頭を歩いていく。
「オイ。シャンティー、メリルに仕切らせていいのかよ?」
塩太郎は、いつでも仕切っているシャンティーに尋ねる。
「下りの階段の場所知ってるなら、ついて行けばいいじゃない?」
しかしながら、シャンティーは、全く意に介していない。
というか、やはり、シャンティーは、メリルに遠慮してるようだ。
「ここですね。ここからは、私は補助役に徹します」
メリルが、ずっと仕切っていくかと思っていたが、下りの階段に到着した所で、主導権を『犬の肉球』に譲るようである。
「分かったわ。ここからは『犬の肉球』のやり方でやらして貰うわね」
シャンティーは、そう言うと先頭まで飛んでいき、下りの階段を下っていったのだった。
「て! エッ!?」
シャンティーの後をついて、2番目に階段を下りた塩太郎は、思わず驚いてしまう。
「オイ! シャンティー。このダンジョンって、もしかして階段フロアー無いのかよ?!」
「無いようね……」
シャンティーは、辺りを見渡しながら答える。
見た目はよくある石畳のダンジョンのように見えるのだが、どうみても階段フロアーではなく、何処にでもある廊下に、突然、階段がある感じである。
「じゃあ、野営とかどうすんだよ?! 安全地帯がなきゃ、オチオチ寝られもしねーだろ!」
「まあ、それは、エリスに何匹か使い魔を出して貰えば大丈夫よ」
「なるほど。これは、一筋縄にはいきませぬな……」
続けて下りたきたムネオも、階段フロアーが無い事に気付いたようである。
「エリス。すぐに、鼻が利く精霊を出して頂戴!」
「了解!」
エリスは、シャンティーの言われて犬っぽい精霊を呼び出す。
「それじゃあ、ワンコ! 下りの階層に行く階段を探してね!」
「ワン!」
相変わらず、エリスのネーミングセンスは酷い。いつでも見たまんま。
だけれども、犬の精霊のワンコは、元気よく返事をしてダンジョンを歩き出す。
しかし、5分も掛からないうちに、
「ワン!ワン! ワン!」
ワンコが、警戒して鳴き始める。
「どうやら敵のようね」
シャンティーが、ムネオに視線を送る。
「承知!」
盾役のムネオが、先頭に立ち警戒する。
すると、すぐさまヤバそうな蛇の魔物が現れた。
「何だよ! アレ! メッチャデケーじゃねーかよ!」
そう、その蛇の魔物は、ダンジョンの廊下を塞ぐ程の大きさで、デッカい口をあけたまま、塩太郎達一行に襲いかかって来ていたのだ。
「これは、大盾ごと飲み込まれてしまいますな」
「ムネオさん、悠長な事言ってないで、本当にどうするんだよ!」
塩太郎は、焦りながらムネオに返す。
「これは、大蛇に食われてから、腹の中を斬り裂くしか方法はないようじゃな」
「嘘?! 本当に、一度食われないといけないの?」
「冗談じゃ」
「真顔で冗談やめて下さいよ!」
とか、やってると、
ズドドドドドドーーン!!
塩太郎とムネオの後ろから、火炎系の大魔法が放たれ、塩太郎達の目の前にいた大蛇の魔物は、こんがり焼かれて蒲焼きになってしまった。
「思考停止はよくないですよ。」
メリルが、どうやら魔法で倒してくれたようだ。
というか、メリルはやはり強い。
塩太郎の見立てでは、大蛇の魔物は、相当強そうだった。
半端な魔法でなど、弾き返されるのが目に見えるほどの強敵。
ハッキリ言うとS6未攻略ダンジョンのラスボスレベル。実質、S7の魔物と思われる。
「でも、今の蛇野郎、どう考えてもヤバかっただろ!
廊下の大きさのまま、口開けて突撃してきたんだぞ!
俺だって、どこを斬っていいかわかんなかったんだよ!」
塩太郎も、泣き言を言う。
だって、どこも斬る場所無かったら斬れないし。
「それでも、思考停止は良くないです」
メリルは、真顔で同じ言葉を繰り返す。
「一応、この世界に来てる異界の悪魔の中で、ベルゼブブの次に大物と言われてるアマイモンのダンジョンね……ちょっと私、舐めてたかもしれないわ……」
いつも余裕綽々のシャンティーでも、このダンジョンのレベルの高さには、驚愕したようであった。
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