職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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122. 冒険者ギルド会議(5)

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「それでは、『犬の尻尾』からの要望で、臨時にいつもより早く冒険者ギルド会議が早まる事となった、最後の議題。
 第58回目ベルゼブブ攻略レイド、決行の決議を始める!」

 ブリジアの号令により、今会議が行われるようになった本題が始まる。

「それより、何故、今回の会議がいつもより早くなったのか理由を聞きたいのだが?
 ベルゼブブ攻略レイドなら、毎度の事なので、そんなに慌てて準備しても変わらんだろ?」

『フレシア』の団長であり、フレシア神聖王国の王子が発言をする。

「私から説明させて貰います。ある情報筋から、350年前に『犬の肉球』の勇者と共に消えていた聖剣エクスカリバーが、見つかったと情報を得たのでございます」

 フレシアの王子の質問を受けて、ガブリエルが話し出す。

「それは何処にあるのよ!当然、エクスカリバーは、『犬の肉球』が貰う権利が有るわよね!
 何せ、私達の所の初代団長の持ち物なんだから!」

 突然、エクスカリバーと聞いて、シャンティーがしゃしゃり出る。

「それは違いますね。エクスカリバーは、元々、勇者の持ち物では有りません。勇者自体も、ある人物から借りていたみたいですので」

 ガブリエルは、シャンティーの言葉を否定する。

「そんなの嘘よ! 私は、そんな事、聞いた事無いわよ!」

「それは、ただ言わなかっただけなのでは?
 話によると、勇者が聖剣エクスカリバーを借りたのは、エリスさんやシャンティーさんが、『犬の肉球』に加入する前の話みたいですから。
 この件に関しては、アンさんのお父様である、ドワーフ王ドラクエル様にも、先日、確認を取ってるので間違いございません」

「なんですって!あのアホドワーフ、なんで、そんな肝心な事、私に話してないのよ!」

「シャンティーさん……。父は、異界の悪魔と戦った事も無かったので、聖剣以外では、異界の悪魔を倒せないのも知らなかったらしいんです……」

 アンが、申し訳なさそうに謝罪する。

「なんなの、それ!? アイツ、そんな基本的な事も知らなかったの!」

「お父さんは、一度も、ベルゼブブ攻略レイドに参加した事ないので……」

「ドラクエルは、冒険者引退してるけど、一応、私達と同じ『犬の肉球』の元メンバーなのでレイドに参加出来なかったのは仕方が無い話よね。
 でも、こんな間抜けな話あるの……じゃあ、聖剣エクスカリバーは、どこに有るのよ!」

「元の持ち主の所に、有るという話です」

「それは、どこよ!」

「それは私が話ます」

 突然、閉じられていた会議室の扉が開き、ガブリエルに良く似た、というか、瓜二つのGデーモンの幼女が現れる。

「メ……メリル?」

 シャンティーは、その幼女を見て、とてもビックリする。

「サイト様が、お亡くなりになったブリですね」

「そ……そうね……」

 なんか、よく分からんが、シャンティーが怯んでいる。何か、負い目か何かがあるのかもしれない。

「メリル。積もる話は有るかもしれんが、話を進めてくれぬか」

 ムササビ冒険者ギルド本部長ブリジアが、どうでも良い話は後にして、早く話を進めるように促す。

「ハイ。最近、私は、ある変わった未攻略ダンジョンを見つけたのです」

 メリルは、ブリジアに促されて話し始める。

「もしかして、そこに、エクスカリバーがあるの?!」

 メリルが喋り始めたばかりだというのに、シャンティーがいきなり食いつく。
 もしかしたら、未だに、聖剣エクスカリバーは、『犬の肉球』のものと思ってるのかもしれない。

「ハイ。有るという話です」

「ん? それはどういう事? 未攻略ダンジョンの筈なのに、何でそんな事が分かるの?というか、誰に、聖剣エクスカリバーが、そのダンジョンに有ると聞いたの?」

 シャンティーは、意味が分からないと、メリルを見る。

「それは、その未攻略ダンジョンに居たアマイモンさんから聞いたからです」

「何で、そこでアマイモンが出てくるのよ!」

「そこは、アマイモンさんが運営するダンジョンですので」

「ん? どういう事よ?! アマイモンは、ガブリエルの配下じゃなかったの?
 というか、配下が運営するダンジョンの中に、聖剣エクスカリバーがあったって、ガブリエル、アンタふざけてるの!」

 シャンティーが、呆れている。
 なにせ、ガブリエルは、異界の悪魔を倒す事が出来る聖剣を求めて、日本から村正を、塩太郎と一緒に、この世界に持ってこさせたのだ。
 それなのに、その聖剣が、自分の配下が運営するダンジョンの中にあったなんて、最早、お笑いである。

「私も、アマイモンがダンジョンを運営してると知ったのは、ここ数年の話で、しかもそのダンジョンの中に聖剣エクスカリバーが有ると聞いたのも、メリルに報告を聞いて、初めて知りましたので……」

 ガブリエルは、とても面目なさそうに答える。

「で、そのダンジョンは、どこに有るのよ!」

「そのダンジョンは、最近まで、モフウフ王宮1階カジノのトイレ掃除置き場に入口があったのですが、アマイモンと一緒に、元々、あったという場所に移動して居たらしくて……」

「モフウフ王宮のトイレ掃除置き場?! 何で、そんな所に、ダンジョンがあったのよ!
 というか、探し求めてた聖剣エクスカリバーが、自分達の本拠地の王宮内に有ったって、どんだけお間抜けなのよ!
 まあ、それを置いといも、アマイモンが運営してる消えたダンジョンは、今、何処にあるの!」

「メリルの話によると、南の大陸南東の端に移動してるようです。
 そして、ドワーフ王、ドラクエルに確認した所、その場所に当時あったダンジョンで、聖剣エクスカリバーを手に入れたと確認も取れています。
 しかしながら、350年前、勇者が赤龍アリエッタと駆け落ちした後、2人を探しにそのダンジョンまで探しにいったらしいのですけど、その場所には、既にダンジョンは消えていたと……」

「ん?それは、なんか記憶が有るわね。ドラグエルが多分、二人はそこに居るからと行ってみたはいいけど、ダンジョンが跡形もなく消えてたのよね……私は、ただ、ドラグエルがダンジョンの場所を忘れただけだと思ってたけど、実際、消えてたのね……。
 で、アンタ達が、まだ、その聖剣エクスカリバーを手に入れてないという事は、今回の早めの冒険者ギルド会議の招集と、何か関連が有るという事ね?」

 シャンティーの予想に、今度はメリルが答える。

「アマイモンの話によりますと、聖剣エクスカリバーを手に入れたいのなら、『犬の肉球』と私だけで、アマイモンが運営する未攻略ダンジョンを攻略してみせろという事でしたので、こうして姫様にお願いして、『犬の肉球』にお願いしに来たのです」

「ちょっと、待って! 何で、ガブリエルの下僕のアマイモンが、上から目線なのよ!」

「本当に、そうニャ。アマイモンの癖に生意気なのニャ!
 あのダンジョンは、シロとセドリックの家が有るのに、私まで入れなくするなんて、本当に許せないのニャ!」

 なんかよく分からんが、ブリトニーが横から入ってきてカンカンである。

「よく分かんないけど、シロって、白蜘蛛の事よね?
 そのダンジョンに、白蜘蛛も居るって事?」

「それは分からないです。アマイモンは、塩太郎さんをこの世界に転移させた後、戻って来ましたが、セドリックさんとシロさんは、暫く、日本で過ごすと言ってたみたいですから……」

 シャンティーの質問に、カブリエルが答える。

「という事は、もう既に戻って来てるかもしれないのよね?」

「それは、分からないです。私達も2ヶ月前から、アマイモンに会っていませんので……」

「分かったわ! 私達『犬の肉球』が、そのアマイモンが運営してるというダンジョンを攻略して、聖剣エクスカリバーを取り戻してあげるわ!」

 なんかよく分からんが、シャンティーは、ニヤける顔を必死に抑えながら宣言した。

 完全に、下心アリアリなのを、隠しきれずにね。

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