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117. イカ臭過ぎるエントランス
しおりを挟む「なんニャー! このフロアーは、イカ臭くてたまんないニャー!」
続けて、魔道エレベーターから、ブリトニーと同じく、語尾ニャを使う猫耳娘の一団が登場してきた。
「で、ミカサさんだったっけ?今度の猫耳のアイツらは何者なんだ?」
塩太郎は、再び『三日月旅団』団長で、今度一緒にディナーをする約束したミカサ・ムーンに質問する。
「あの人達は、『漆黒の森』にあるニャンゴン城塞都市に本拠地を置く、『プッシーキャット』の皆さんですね!
因みに、ブリトニーさんは、ニャンゴン城塞都市の城主の娘でお姫様だったりします。
そして、彼女達が語尾ニャを使うのは、完全にブリトニーさんの影響ですね。
ブリトニーさん自身も最初は、語尾ニャなど使ってなかったらしいのですが、ご主人様のゴトウ・サイトさんに命令されて、語尾ニャを使うようになったとか。
そして、その後に、ブリトニーさんに憧れるニャンゴンの不良達も、ブリトニーさんの真似をして語尾ニャを使うようになったとか……。
私も若い時にニャンゴンに行った事があったのですが、その時は、誰も語尾ニャなど使ってませんでしたし。
でも、今行くと、ニャンゴンの悪そうな不良達は、『ヨーヨー、舐めんニャよ!』とか、言って、ニャンニャン言ってますから」
どうやら、ブリトニーは、良くも悪くも影響力がある人物であるようだ。
「おミャーか!ヤナト! 自慢の巨チンを擦って、ミルクをぶちまけニャがったのは!」
思いっきり、ブリトニーと見分けがつかない喋り方の、たわわの胸をしたオッドアイのエロニャン娘が、『カワウソの牙』の団長のヤナトに言う。
「俺じゃねーよ! エロ猫! 最初からこの場所は、イカ臭かったんだよ!」
「私はエロ猫じゃないニャ! ちゃんと、エリザベス・エロチックという名前があるのニャ!
ちゃんと、本名のエロチックさんと呼ぶニャ!」
「エリザベス・エロチックって、本名の方がヤバい名前じゃないのか……」
塩太郎は、ヤナトとエロチックのやり取りを聞いて、解説役のミカサ・ムーンに説明を求める。
「話によると、猫耳族では、エロチックという苗字は普通の苗字らしいです。
ブリトニーさんの苗字も、ロマンチックですから、~チックというというのは、猫耳族では、一般的らしいです」
「そっちじゃなくて、最初のエロがおかしいだろ……まあ、ロマンチックも確かに変な苗字だけど……」
一応、改めて解説しておくが、塩太郎が英語を理解出来るのは、2話目で説明したように、【全言語理解】スキルを持ってるから。
日本から出た事ない幕末出身でも、普通に英語もスペイン語も中国語も、この世界の言葉も理解できちゃったりする。
「クッ! 何だ?このツンと鼻につく匂いは……」
続けて、魔道エレベーターから、身なりの良いお子様と、犬耳の屈強な男と、モブっぽい2人の男の計4人が現れた。
まだ、お子様の少年は、精通してなくて、精液の匂いが分からないようである。
そして、当たり前のように、塩太郎とディナーの約束をしてるミカサ・ムーンが、解説を始める。
「アノお子様は、西の大陸の大国、神聖フレシア王国の第一王子で、ギルドランキング9位に付けてる『フレシア』の団長ですね。
代々、神聖フレシアの第一王子は、王子の間、神聖フレシア王国の国力を見せる為に、神聖フレシアが誇る冒険者パーティー『フレシア』の団長になる事が義務付けられてますので」
「王族も大変なんだな……」
「ですね。エリスさんも、ムネオさんも、ガブリエルさんも、アンさんもみんな王族ですからね!
この世界では強い者が王族になる場合が多いですから、必然的に、冒険者としても王族が上位に居る事が多いんです!
まあ、神聖フレシア王国としては、ギルドランキング10位入りする事により、冒険者ギルドを通して、南の大陸に影響力を持つ事が出来るので、昔から冒険者ギルドランキング10位入りするのを重要視してるんです!」
やたらと、事情通のミカサ・ムーンが教えてくれる。
とかやってると、
「何ニャー! イカ臭いニャー!」
エリザベス・エロチック同様、語尾ニャを使う、本家語尾ニャ娘のブリトニー・ゴトウ・ロマンチックが、『犬の尻尾』団長で、『漆黒の森』の女王でもあるガブリエル・ゴトウ・ツゥペシュを先頭に、アンさん。それから、『漆黒の森』の宰相で、焼肉屋『ミノ一番』のオーナーでもあるダークエルフのナンコウ・サンアリを伴って、登場した。
「来たわね! ガブリエル……」
「……」
シャンティーと、エリスは緊張気味に、ガブリエルを見据える。
そんな、シャンティーとエリスを無視して、ガブリエル達一行は、少し離れた空いているソファーに陣取って座る。
今まで、しょうもないことで五月蝿かった3階エントランスが静まり返り、緊張感が張りつめる。
そんな緊張感をぶち壊すのは、勿論、一番の問題児のブリトニー。地元の手下である『プッシーキャット』のスケ番猫娘達を引き連れて、『フレシア』に居た、犬耳族の戦士にイチャモンを付けている。
「オーオーオーオーオー!ニャンニャンニャンニャンニャン! 毎回、この会議のたびに言ってんけど、西の大陸の『静寂の森』の犬耳が、アタイらのシマである南の大陸に来るとは、どういう案件ニャ!」
ブリトニーの一番の子分である『プッシーキャット』の団長エロチックが、フレシアの犬耳族の戦士とキスしてしまう程の距離まで、近づいてメンチを切っている。
「ヤレヤレ。本当に、毎度の事ながら面倒臭いですな。
私とて、ニャンニャン五月蝿い、猫耳などどは、重要な会議が無ければ会いたくないですな」
犬耳族の戦士は、少しも目を逸らす事もなく、エロチックに言い返す。
「オイ、アイツらって、仲が悪いのか?」
塩太郎は、物知りのディナー(S〇X)の約束をしてる、ミカサ・ムーンに質問する。
「『漆黒の森』に住む猫耳族と、『静寂の森』に住む犬耳族は、『漆黒の森』を統治するダークエルフと、『静寂の森』を統治するエルフと同じように、大昔から犬猿の仲ですね。」
「成程ね。確かに、犬と猫って、仲悪いもんな……」
塩太郎は、さもあらんと、妙に納得する。
「オイ! ガブリエル、毎度毎度、この会議の度にイチャモン付けてくる、このバカ猫達をなんとかしてくれないか?マタタビ臭くてたまらんのだが?」
まだ、チビッ子であるフレシア王国の王子が、ガブリエルに対して、尊大な態度で言い放つ。
「これはすみませんね。うちの者達は、無遠慮の者が多い荒くれ者ばかりで。
だけれども、平和な西の大陸とは違って、南の大陸では、これくらい無遠慮でないと生きていけませんので。お許し下さいませ」
ガブリエルは何事でもないように、すまし顔でフレシア王国の王子に言葉を返す。
「はぁ?何言ってんだ?俺達だって、南の大陸で、未攻略ダンジョンを攻略して、ギルドランキング10位入りしてるんだが?」
「アラ?そうでしたの?南の大陸では、あまり『フレシア』の噂を聞きませんので、知りませんでしたわ」
「あんまり、舐めるなよ……」
「アラ?舐めてるのは、貴方の方では?
決して、歳上のレディーに対する言葉遣いだとは、思えませんけど?」
ガブリエルは、そう言うと、少しだけ殺気を漲らせる。
「なっ!」
フレシア王国の王子は、殺気にあまり耐性が無かったのか、思わず尻餅を付いてしまう。
「ガブリエル様、冒険者ギルド会議中は、戦闘は御法度なのでは?」
フレシア王国の戦士長も兼ねている、犬耳族の戦士が、ガブリエルに苦情を入れる。
「ですので。少しだけ、睨んだだけですよ。私の本気の殺気には、この中にいる選ばれた者の中でも、耐えられない者が結構いそうですしね」
ガブリエルは、3階エントランスを見渡し、涼しい顔をして答えた。
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