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114. ファションヘルス『三日月』
しおりを挟む塩太郎が、お小遣い3万円になってから、1ヶ月間が過ぎた。
塩太郎達『犬の肉球』は、相変わらず、レベル上げと修行を兼ねて、未攻略ダンジョンの攻略し続けている。
そのお陰か、現在、冒険者ギルドランキング8位まで上がっている。
そう、名実共に、『犬の肉球』は、実力派名門冒険者パーティーに復活したのである。
そんなある日、
「最近、シャンティーに喧嘩売る奴も居なくなってきたな」
珍しく、『犬の肉球』の面々達と、ムササビ冒険者ギルド本部のエントランスに来てた塩太郎は、シャンティーに話し掛ける。
「当たり前でしょ! 私を誰だと思ってんのよ!
これが平常運転。300年前もこんな感じだったわよ!」
まあ、シャンティーの性格知ってたら、誰も好き好んで喋りかけたりしないだろう。
今までも、シャンティーに喧嘩を売る(注意してくる)のは、寿命が短い人間や獣族ばかりだったし。
100年、300年、500年、平気で生きるエルフ族や、ドワーフ族のような長寿種は、最初からシャンティーに近づいてこないし。
「で?何で今日は、ムササビ冒険者ギルドに戻って来たんだ?
いつも、街に泊まると宿泊費が掛かって嫌とか言ってただろ?」
そう、金に汚いシャンティーは、いつも宿泊費までケチっているのだ。
泊まりは殆ど、ダンジョンの階段フロアーだし、街で泊まる時は、見栄っ張りなのも災いして、最高級ホテルのスウィートルームに泊まらなければならなくなるから。
まあ、『犬の肉球』は、『静寂の森』のエルフの姫様であるエリスや、ガリム王国の元王様のムネオとか、身分が高い人が所属してるから仕方が無いのだけどね。
だからって、ダンジョンで野宿って、そっちの方がみすぼらしいと言えば、みすぼらしいのだけど。
「今日は、ギルドランキング10位入りしてる冒険者パーティーが集まる会議が、このムササビ冒険者ギルド本部3階で行われるのよ!」
シャンティーが、端折って説明する。
「それならそうと、最初から言えよ!
俺は、心の準備が全く出来てないぞ!」
そう、会議となれば、おっかないガブリエルやブリトニーも訪れるのだ。
結構、強くなった塩太郎でも、心の準備が必要なのである。
「じゃあ、とっととやって。『犬の肉球』の副団長である、アンタは必ず出席しないといけなから!」
「そうなのか?」
「そうよ!因みに、冒険者ギルド会議に出れるのは、1パーティーにつき、使い魔を含まず4人までと決まってんの。
昔、新参者の冒険者パーティーが、自分達の権威をみせつけようと、仲間100人くらい連れてきたアホパーティーが居たから、それ以来、1パーティーにつき4人までと決まったのよ」
「成程、俺たちは4人だけだから、全員、出れちゃう訳だな」
「そういう事!」
シャンティーは、フワフワ飛びながら、冒険者ギルドの関係者しか使えない、特別な魔道式エレベーターの方に向かう。
「もしかして、この一際豪華な魔道式エレベーターに乗れちゃうのか?」
幕末出身の無知な塩太郎でも、異世界に来て何ヶ月か経てば、魔道式エレベーターに驚かないのだ。
ただ、誰も乗ってる所を見た事がない、豪華な魔道式エレベーターに興味津々なだけである。
「そうよ! これに乗れるのは、ギルドランキング10位以内に入ってるギルドメンバーだけ!それ以外の者が乗っても起動しないわ。この魔道式エレベーターに乗る為には、上位10位に入ってる冒険者パーティーの冒険者ブレスレットが必要なのよ!」
シャンティーは無い胸を限界までに張り、何故か、1階エントランスに居る全ての冒険者に聞こえるように声高に喋る。
「俺達が付けてる冒険者ブレスレットで、もう乗れるのか?」
塩太郎は、そんな胸張りシャンティーを無視して、気になってる事を質問する。
「今日の午前0時の段階で書き換えが終わってる筈よ!」
シャンティーに説明された塩太郎は、安心して魔道式エレベーターに乗り込む。
そして、メンバー全員が乗ると、勝手に動き出し、そして、勝手に冒険者会議が行われる3階に止まった。
「ここに来るのも、300年ぶりね!」
シャンティーは魔道式エレベーターから出て、感慨深げに300畳ぐらいある赤絨毯が敷きつめられエントランスにフワフワと飛んで行く。
そのエントランスには、一際豪華なシャンデリアが何個も飾られており、ロココ調のこれまた豪華なソファーが、いくつも色んな所に配置されていて、もう何組かの冒険者パーティーが、そのソファーに座って談笑してるようである。
とかやってると、
「シャンティー様! エリス様!」
見覚えがある、何故か美人さんなのだが、全く興味が湧かない3姉妹が、塩太郎達の元に走り寄ってきた。
「久しぶりね! 塩太郎をダンジョンで見つけて以来ね!」
そう。確か、この3人は、初めてシャンティー達と出会った時に一緒に居た、シャンティーの弟子だという、『三日月旅団』のメンバー。
確か、話によると、団長である長女が、エルフとサキュバスのハーフである、エロフという珍しい種族であるらしい。
下の2人は父親違いで、種族は純粋なサキュバスだという事だ。
何でも、特別な指輪を外すと、勝手に常時発生型の『魅惑』スキルが発動して、周りの男達が、勃起して精液を撒き散らす大惨事が起こるとか……。
それにより、いつも指輪により能力が抑えられ、不必要に『魅惑』スキルが発動しなくなってるという事らしい。
なので、いつも人に相手にされない事を気にして、シャンティーに師事し、冒険者ランキングを上げて有名になろうとしてるのだが、如何せん。冒険者ランキング1位を取った今でも、『三日月旅団』の知名度は、『犬の尻尾』や『鷹の爪』より劣り、もう既に、最近復活したばかりの『犬の肉球』の知名度よりも、当然低かったりする。
まあ、『魅惑』スキルを抑えるという指輪を外せば、全て問題解決するのだけどね。
ついでに説明すると、元々の『三日月旅団』は、冒険者達を相手にして色を売る、サキュバスの旅団だったらしい。
サキュバスは、女系一族で、他の種族と交わって子供を成す。
殆どは、女のサキュバスしか生まれないのだが、たまにエルフと交わったサキュバスが、希少種であるエロフを産む場合があるらしい。
でもって、エロフは、他のサキュバスより魔法特性も高いらしく、サキュバスは、強い者が群れのボスになる習わしがあり、それにのっとって、エロフのミカサ・ムーンは、『三日月旅団』のボスになったのだとか。
そして、『三日月旅団』のサキュバス達は、代々、冒険者達が男親という事もあり、若い世代になればなるほど、冒険者の血が濃くなり、冒険者に憧れるサキュバス達が増えてきてしまったらしい。
ミカサ達姉妹も例に漏れず、冒険者に憧れ、『三日月旅団』を、ボスの特権を利用し、そのまま冒険者パーティーにしてしまったとか。
だけれども、古い世代のサキュバス達は、今迄のように、楽に食料である男性の精液を集められる性活が良かったらしく、『三日月旅団』は、ミカサが率いる冒険者パーティーの一団と、男を虜にして、食事である男性の精液を簡単に集めれる今迄の暮らしを続けていく一団に別れたとか。
因みに、その今まで通り、男の精液を貪り生きる事を決めた一団は、現在、『漆黒の森』王都モフウフで、高級ファションヘルス『三日月』を、今は亡きエロ大魔王ゴトウ・サイトに請われて経営してるらしい。
そっちのファションヘルス『三日月』の方は、サキュバスの特性である『魅惑』スキルを全開に使ってるので、エロい男性なら100パーセント知ってる超絶人気店であるのは、誰しも知ってる話であった。
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