職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

文字の大きさ
上 下
113 / 166

113. 何よりも金が好き

しおりを挟む
 
 塩太郎達『犬の肉球』の面々は、引き続き3ヶ月間の修行を経て、ハラハラ城塞都市に到着した。

 何故、ムササビじゃなくてハラハラに向かったというと、レンタル中の聖剣村正を、虎子から返して貰う為だ。

 塩太郎達は、ハラハラ城塞都市に着くと、すぐに虎子の自宅兼、工房兼、研ぎ屋に向かう。

「アッ!シャンティーさんと、エリスさんと、ムネオさん!家の旦那がお世話になっております!」

 刀研ぎの仕事をしていた虎子が、塩太郎達に気付くと、走り寄ってきて深々と頭を下げる。

「俺は、いつからお前の旦那になったんだよ!」

 塩太郎は、すぐに否定する。このまま、なし崩し的に嫁になられたら面倒だし。

「私は、レンタルした村正のお金を払う事が出来ないので、体で塩太郎さんに払う事にしたんです!」

 虎子は、全く悪びれる事なく、たわわな胸を張って言う。

「ただ、村正を身近で研究してーだけだろ!」

「アレ?バレちゃいました?」

 虎子は、テヘペロしながら答える。

「バレバレだっちゅーの!」

「でも、僕は塩太郎さんの事が好きですから、結婚するのもやぶさかではないです!
 それに、聖剣村正の側にいつも居たいので、僕が塩太郎さんのお嫁さんになる事は決定してますから!」

「ただ、お前は、レンタル料金を踏み倒したいだけだろうが!」

「お金なら、直ぐに稼げますよ!
 なにせ、今、この世界には、僕以上の刀鍛冶は居ませんから、レンタル料金なんか、直ぐに返せちゃいます!
 それに、塩太郎さん。僕と結婚するとお得ですよ!
 お金も、じゃんじゃん稼いであげますし、武器のメンテナンスもタダ。
 しかも、シャンティーさんのお小遣い制もキープしてあげます!
 なんと、いつでもお財布に100万マーブルとか、どうですか?」

「嘘だろ……いつでも財布に100万マーブルって、俺は一体、何に金を使えばいいんだよ!」

 塩太郎の心は揺れる。いつでも財布に100万マーブル入れてくれるなら、虎子と結婚してもいいかもと。

「しかも、浮気OK! 僕、刀鍛冶の仕事が忙しんで、あまり、塩太郎さんに構ってあげられないと思うんで!
 だけれども、その代わり、たまに村正を貸して下さいね!」

「やっぱり、お前の目的は村正かよ!」

「ですよ!村正80パーセントで、塩太郎さん20パーセントですね!
 だけど、僕の中で20パーセントって、かなりの割合ですよ!
 なにせ、今までの僕は、100パーセント聖剣を自分の手で作り出す事だけを考えてましたから!」

 虎子的にマトモな事を言ってる気なのか、少しも悪びれる様子が無い。

「塩太郎、いいじゃない。アンタ、虎子と結婚しなさい。そしたら、『犬の肉球』の武器や防具のメンテナンスは、一生タダになるじゃない。
 しかも、お小遣い100万マーブルを、虎子が出してくれるんなら、私がアンタに1万マーブル渡さなくて済むんでしょ?
 それって?最高の事じゃない!」

 なんか知らんが、シャンティーはとても嬉しそうだ。

「お前、それは、俺がタダ働きするという事じゃないのか?」

 塩太郎は、冷静に質問する。

「別にいいじゃないの?虎子にお小遣い貰えるんだから。しかも、アンタ、そんなにお金使わないじゃない。お金使うと言っても一人で飲みに行くだけでしょ?」

「ちがわい!俺は今、金を貯めてるんだよ!
 もしかしたら、この世界から暫く帰れねーかもしれねーから、どっかに道場でも開いて、俺が編み出した神道異界流を広めようと考えてな!
 なにせ、この世界では、俺は剣聖だし、門弟もたくさん集まると思うしな!」

 塩太郎は、剣聖になってから考えるようになった、今後の人生の目標を披露する。

「アンタ、剣聖になって、この世界に留まりたくなって来てるって事?」

 シャンティーは、塩太郎に質問する。

「勿論、元の世界にも帰りてーよ!そして、高杉を手伝い徳川家を倒して、天皇中心の世界を作る事に成功したら、もう一度この世界に戻ってこようかと思ってる。
 なにせ、この世界では、俺は剣聖様だからな!
 これは、自分の流派をこの世界に広めねーといけないだろ!
 元の世界では、誰も闘気使えないから、俺の流派使える奴、誰もいなそうだし……」

「なるほどね。アンタも欲が出てきたと。そしたら益々、働かないと行けないわね。お小遣い5000マーブルにしとく?」

「それはちょっと……」

 流石、5000マーブルはキツ過ぎる。
 そう、最近、塩太郎は、ボトルキープというシステムを覚えたのだ。
 ムササビの馴染みになった店で、日本酒の一升瓶をキープしてたりする。
 そして、一升瓶の一番安い日本酒が3500マーブル。
 お小遣い5000マーブルだと、ボトルキープしてたお酒が無くなった時、新たに日本酒をボトルキープしようとすると、おつまみ1500マーブル分しか頼めないのだ。
 それは困る。おおいに困るのだ。
 だって、いつもおつまみ代に、大体、2000マーブルから2500マーブル使ってるから。

「大丈夫ですよ! これからは、僕が塩太郎さんに、嫁としてお小遣いあげますよ!
『犬の肉球』で稼いでる分は、道場を建てる為の開店資金に回して下さい!しかも、毎月3万マーブル差し上げます!
 結婚してくれたら、直ぐにでもお小遣い100万マーブルにするのも可能です!」

 虎子は、すぐに自分の魔法の鞄の中から、3万マーブルを取り出す。

「いや、別に、シャンテーから1万マーブル小遣い貰ってるから、いいって!」

 塩太郎は、ここで3万マーブル貰ってしまうと、虎子から逃げられなくと思って、丁重に断りを入れる。

「貰っときなさい」

「えっ?」

「だから、貰っときなさいて言ってんのよ!
 どうせ、虎子はレンタル料金払う気ないんだから、貰える金は直ぐにも貰う!」

 シャンティーは、虎子の手から3万マーブル毟り取り、塩太郎に押し付ける。

「お前、本気に言ってんのか?」

「本気も本気! アンタに、1万マーブル払わなくていいなんて、最高じゃないの!」

「でも、お前は、俺が稼いだの金を貯めてくれてんだろ?
 そしたら、別に同じじゃねーのか?」

「アンタ、アホ?私は、自分の財布から少しでも現金が無くなるのが嫌なのよ!
 それが、人から預かってるお金でも!」

 シャンティーは、偉そうに上から目線で言う。というか、何故かいつもより高い位置まで飛んでるし。

「お前、どれだけ、金が大好きなんだ……?」

「ん? お金の為なら、土着の悪魔に魂を売っても良いくらい好きだけど、それが何か?」

 シャンティーは、当たり前のように言い切った。

 ーーー

 面白かったら、何か押してね!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界の剣聖女子

みくもっち
ファンタジー
 (時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。  その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。  ただし万能というわけではない。 心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。  また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。  異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。  時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。  バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。  テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー! *素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...