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97. ニャン娘な女
しおりを挟む「ハロハロに、たまたま遊びに行ったら、ハナ達が、私を差し置いて、サルガタナスと遊んでるって聞いて来たのニャ!」
メイド服を着た、猫耳族の美少女が、ハナの問い掛けに返す。
整った顔に、茶髪の猫耳、スラッとしたモデル体型なのだが、しっかりと出てるところは出てていてグラマラス。よく見ると筋肉もしっかりついていて、アスリート体型と言った方が良いかもしれない。
「ハナ! 助けに来たよ!」
続けて、ハナの影の中からもう1人、アンさんがヒョコッと出てくる。
「ドワーフ王、ドラクエルの娘まで現れたか……これは、分が悪いな」
サルガタナスの体の周りに、移転スキルで逃げようとしたのか、魔力の揺らぎを感じた瞬間!
「逃がさなのニャ!」
剣鬼ブリトニー・ゴトウ・ロマンチックが、素早く動く。
カキン! カキン! カキン!
「なっ……!」
塩太郎は、思わず息を飲む。
何故なら、ブリトニーと異界の悪魔の動きが速すぎて、何人も居るような残像が見えてるのだ。
「畜生……残像しか見えやしねえのか……」
「塩太郎君。残像が見えるだけで、凄いですよ。常人には、普通、姿も追えない速さですから」
アンさんが、塩太郎の独り言を聞いて、勝手に答えてくれる。
「ニャハッハッハッハッハッハッハッ! サルガタナス、お前、弱くなったんじゃニャいのか?」
「クッ! お前が、強くなり過ぎてるのだろ!」
サルガタナスは、防戦一方。
「ゲホッ、ブリトニー様! サルガタナスは、我らハラダ家、ハラ家の者が倒す約束になってる筈です。ゲホッ!」
ハナが、口から血を吐きながら、ブリトニーにサルガタナスを殺させないように言う。
「ニャ! ハナ、もしかして、サルガタナスにやられたのか! 私の大好きなハナちゃんを、サルガタナスが、痛めつけたのニャ!」
突然、ブリトニーの魔力が膨れ上がる。
「違います! これは塩太郎殿に蹴られただけで、サルガタナスにやられた訳ではありませんので!」
ハナが、サルガタナスのせいにしとけばいいのに、正直に、塩太郎に蹴られたと言ってしまう。
「ニャに~?コイツに蹴られただ?」
突然、ブリトニーの怒りが、塩太郎に向けられる。
「エッ!」
ちょっと不味い。あの猫耳は、どう考えてもヤバい。
というか、体が鉛を付けてるように、とても重い。
どうやら、塩太郎に対して、ガブリエルが使ってた重力魔法ってやつを、ブリトニーも使ってるようだ。
「ブリトニー様! 止めて下さい! 塩太郎殿は、何も悪くないのです!」
ハナが、慌てて、ブリトニーを止めに入る。
「私のハナを虐めた奴は、殺すニャ!」
「ブリトニー姉様! ちょっと待って下さい!」
アンも、慌てて塩太郎と、ブリトニーの間に割って入る。
しかし、ブリトニーは、全く意に介さない。
そのまま塩太郎向けて、刀を振り落としてくる。
しかし、
カキン!
ブリトニーの凄まじい斬撃を、アンの大盾が受け止める。
「どくニャ! アン!」
「どきませんよ! 姫ちゃんが、やっとこさ、召喚させた勇者候補を、みすみす、ブリトニー姉様に殺させる訳にはいきませんから!」
「ブリトニー様! 塩太郎殿は、何も悪くないんです! ゲホッ!」
ハナは、ブリトニーに懇願しながら、再び口から血を流す。
「なっ! また、ハナが血を流したニャ!
絶対に、その男許さないのニャ!チ〇コスライスしてから、体の皮を剥いで、干物にしてから食ってやるニャ!
きっと、旨み成分がたくさん出て美味しくなるのニャ!」
ヤバい。ヤバ過ぎる。人間を干物にして食べるって、どんだけ干物好きなんだよ。
確かに、干物にしたら美味しくなるかもしれんけど、それを人間でやろうとするなんて、どんだけ滅茶苦茶なんだ。
とか、しょうもない事を、思わず考えてると、
「ちょっと! アンタ! ウチのルーキーを干物にするって、舐めてんの!」
ずっと、遠くで観戦してたシャンティーが、いつの間にか近くまで来ていて、サディスティックサイコニャン娘のブリトニーに言い放つ。
「ゲッ! 腹黒シャンティー……」
何故か、ブリトニーの手が止まる。
「アンタ! ウチのルーキーをこれ以上虐めたら、初めてアンタと会った時と同じように、また、タコ殴りのボコボコにしてやるわよ!」
「そ……それは、ちょっと、嫌だニャ……」
異界の悪魔サルガタナスとの戦いでさえ楽しんでいたブリトニーが、心なしか、ブルっている。
というか、このヤバ過ぎるニャン娘を、タコ殴りで、ボコッただと?
シャンティーの奴、なんて事してるんだ。
「お……お前、コイツが怖くねーのかよ……。俺なんか、足が震えが止まんねーのに……」
塩太郎は、ブリトニーに完全にビビっている。そう、ブリトニーは、ちょっと違うのだ。
ガブリエルもやばかったが、ブリトニーに関しては、本能が、絶対にコイツに近づいたらならないと、ずっと警鐘を鳴らし続けている。
だって、塩太郎のまつ毛が、まるで電動歯ブラシのようにずっと高速で振動してるし。
「アンタ、自分の事を最強の侍と嘯いてる癖に、結構、ビビリなのね?」
「そうじゃねーだろ!その猫女、どう考えてもヤバい奴だろ!
俺のまつ毛見てみろよ! 危険を察して、ずっとピクピク動き続けてんだから!」
塩太郎は、高速でピクピクしてる自分のまつ毛を指差す。
「相変わらず、アンタのまつ毛、キモイわね……」
シャンティーが、塩太郎のまつ毛を見て、メチャクチャ引いている。
「う……うっせーやい! 俺は、このまつ毛の特殊技能のお陰で、権謀術数渦巻く京の都で生き抜く事ができたんだよ!」
「そうなの……」
シャンティーは引きながらも、何故か納得してくれる。
「そんな事より、何で、お前はブリトニーが怖くねーんだよ!
どう考えても、ありゃあ、イカレ女じゃねーかよ!
沖田とか、河上彦斎とか、人殺しを楽しむイカレ野郎共と同じ空気を感じんだよ!」
「沖田や、河上なんたらが、誰だか知らないけど、まだ、ブリトニーがルーキーだった時に、生意気だったから、シメた事があったのよ!
それ以来、ブリトニーは私にビビってんのよね!」
「猫耳で、獣に近いからか?」
「まあ、獣人のような畜生は、最初にガツン!と、殴って、どっちか上かハッキリさせとけば、ずっと、上下関係が継続するもんなのよ!」
もしかしたら異世界アルアルなのか、シャンティーは、さも当然の事のように答える。
「それで、あのイカレニャン娘、尻尾丸めてビクビクしてるのか?」
「そういう事よ!」
何故か、シャンティーはエッヘン!と、胸を張る。
どうやら、腹黒シャンティーの威光は、激ヤバサイコニャン娘、ブリトニー・ゴトウ・ロマンチックにも、有効であるようだった。
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