職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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90. 知りたくなかった男

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 ところ変わって、塩太郎と『犬の尻尾Dチーム』側。

「お前ら、手を出すなよ」

 塩太郎が、勝手に仕切り出す。
 そう、塩太郎には、タコ侍と因縁があるのだ。
 コチラの世界に飛ばされてから、何度、タコ侍と戦った事か。
 コチラの世界で、一度死んでしまったのもタコ侍のせいなのだ。
 まあ、すぐに、シャンティーに生き返らせてもらったけど。

「アンタ、本当に、何言ってんのよ!せめて、刀を持って言いなさい!」

 魔法使いの口うるさい女が、一々指摘してくる。

「だから、俺は、こいつらぐらい木刀で十分なんだよ!」

「すみません! 魔法攻撃を仕掛けます!」

 口うるさい魔法使いじゃない方の、もう1人の方の魔法使いが、勝手に、タコ侍キングに魔法攻撃を仕掛ける。

「てめぇー! 何、勝手なことしてるんだ!
 しかも、外すんじゃねーよ!」

 塩太郎が、魔法を外してしまった、残念な魔法使いを怒鳴りつける。

「勝手な事をしてるのは、アンタでしょ!冒険者パーティーには、連携てものがあるのよ!
 一人だけヘルプで参加してるんだから、アンタが私達の連携に合わせるのが筋ってもんでしょ!」

 口うるさい魔法使いが、至極最もな事を指摘する。

「確かに……シャンティーも連携は大事とかなんとか言ってたな……」

 塩太郎は、なんやかんや言って、シャンティーを信頼してたりする。
 今迄、何故か、全て上手くいってるし。(金儲け全般)
 塩太郎も、確実に強くなっていってるのである。

「分かってんなら、盾役の後ろまで下がりなさい!」

 塩太郎は、口うるさい魔法使いの言う事を大人しく聞く事にした。

「もう一度、魔法攻撃いくわよ!」

「「おお!!」」

 口うるさい魔法使いの号令とともに、タコ侍キングに向けて魔法攻撃が放たれる。

 しかし、

 カキン!カキン! カキン! カキン!

 タコ侍キングは、難無く魔法攻撃を刀で弾き返した。

「おい! 魔法攻撃効いてねーじゃねーかよ!」

「やるわね」

 口うるさい魔法使いの女は、冷静に感想を言う。

「やるわねじゃねーよ! これからどうすんだよ!」

「仕方が無いじゃない!魔法攻撃は、シャンティー様がエンチャンター掛けてくれなかったんだから!
 魔法攻撃も、50パーセントupのエンチャンターを掛けてくれてたなら、確実にタコ侍キングを殺してたに違いないわ!」

「お前、初めてシャンティーにあった癖に、シャンティーを信頼し過ぎなんだよ!
 というか、エンチャンターを期待して攻撃すんな!
 もしかして、魔法攻撃も50パーセント攻撃力upしてるかもと、思ってたのかよ!」

「分かってたけど、試してみただけよ!」

 どうやら、一応、試しただけだったらしい。本番の戦いの最中に、未確認事項のお試しって、ちょっとヤバイ気もするけど。

「おい! タコ野郎共が迫ってきたぜ!
 俺は、戦わなくていいのかよ?」

「最初の一撃は、相手の力量をはかる為に、盾役に一発だけ受けてもらうわ!」

 口うるさい魔法使いの女が、作戦を説明する。

「本当に大丈夫なのか? 魔法攻撃を刀で弾くところを見ただけで、アイツら相当な手練だぜ?」

「大丈夫よ! 防御力は、シャンティー様に50パーセントupして貰ってるから!」

 口うるさい魔法使いが、何故か自信満々に言い放つ。

「お前、どんだけシャンティーを信頼してるんだよ!」

「アンタ知らないの?『犬の肉球』の軍師シャンティー様の実力を?
 私、実は西の大陸出身だから、シャンティー様の黒龍戦争の時の武勇伝とか、小さい時から聞いてたのよね!
 軍師を志してるのも、シャンティー様の影響よ!」

 口うるさい魔法使いの女は、まさかの西の大陸出身者で、しかもシャンティーの大ファンだったらしい。
 口が悪いのも、シャンティーの真似をしてるのか?

 とか、思ってると、

「オイオイオイ! 本当にいいのかよ!
 先頭にいる2匹のタコ野郎共が、上段に振りかぶってるぜ!」

「アンタ、本当に五月蝿い男ね!シャンティー様のエンチャンターを信じてないの!」

「シャンティーのエンチャンターは信じてるけど、防御力50パーセントupしても、タコ野郎共の攻撃力が上だったらどうするんだよ!」

「そんな事ある訳ないじゃない!『犬の尻尾』を名乗ってる私達は、エリート中のエリートなのよ!例え、Dチームであったとしても!」

 口うるさい魔法使いの女が、言葉の最後に不穏な言葉を付け加える。Dチームって、どう考えても、最弱だし……。
 日本出身の異世界転移者なら誰でも知ってるお約束。そう、口うるさい魔法使いの女は、フラグを立ててしまったのだ。

「本当に大丈夫なんだろうな!」

「だから、誰に言ってんのよ!」

 勿論、幕末出身者の塩太郎には、口うるさい魔法使いの女がフラグを立てた事など気付かない。

「本当に、本当に、本当に大丈夫なのかよ! タコ野郎共の闘気が、ドンドン濃く練られて行ってんだけど!」

 そして、塩太郎の言葉も、完全のフラグのフリになってたりする事も、当然気付かない。

「アンタ、本当にクドイわね」

「しかも、あの上段の構えは、薩摩っぽが得意な蜻蛉《トンボ》の構えだぜ!」

「トンボ? 戦いの最中に、アンタ、何言ってんのよ?」

「薩摩の上段は、本当にヤバイんだって!
 薩摩の初撃は、絶対に躱せっていうのが、俺達の時代の不文律なんだよ!」

「トンボとか、サツマイモとか、本当に、アナタ、何言ってるの?」

 口うるさい魔法使いの女が、首を捻る。

「だから、タコ野郎共の流派は、薩摩示現流じゃねーのかよ!って、聞いてんだよ!」

「そんなの当たり前じゃない。だって、異界の悪魔サルガタナスは、ハラダ家初代当主ハラダ・ゴンゾウに師事した、ジゲン流の達人なんだから?」

 口うるさい魔法使いの口から、信じたくは無かったが、想像通りの答えが返ってきた。

「冗談だよな……」

「なんで、私が冗談なんか言わないといけないのよ?」

「糞ッ!だったら、絶対に避けろ!
 示現流の初撃は、絶対に貰っちゃならねーんだ!」

 塩太郎の怒声と同時に、タコ侍キングの示現流の必殺の一振が、振り落とされた。

 ーーー

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