職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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88. 異界の悪魔サルガダナス

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 ところ変わって、異界の悪魔サルガタナスとハラダ家、ハラ家側。

「これは、ハラダ・スエキチではないか。久しぶりだな」

 身長にして185センチ。異界の悪魔の癖に、侍のようなマンバンヘアーをしているサルガタナスが、スエキチ爺さんに話し掛ける。

「久しぶりじゃと。気安く話し掛けるな。
 お主は、ワシの両親と息子の仇だという事を忘れんで欲しいのじゃが」

「確かにそうだな……」

 異界の悪魔サルガタナスは、少しだけだが悲しい顔をする。

「両親の仇、絶対に取ります!」

 ハラダ・ハナも、剣呑な空気を漂わせ、異界の悪魔サルガタナスとの距離をジリジリと詰めていく。

「そっちの少女は、スエキチの孫か……政宗を持ってるという事は、今のハラダ家当主は、その少女という事になるようだな」

 サルガタナスは、目を細めてハラダ・ハナを見やる。

「聞いて驚け! この子、ハラダ・ハナは、かのカレン・ロマンチック以来に現れた剣姫じゃ!
 今迄通りには、いかんからのう!」

 スエキチ爺さんは、これみよがしに言い放つ。

「成程、ブリトニーの姉の剣姫カレン・ロマンチックの再来か……彼女も中々強かった。
 だけれども、どう考えても今のブリトニーの方が強い。
 剣姫ハラダ・ハナよ。私を失望させるなよ」

 異界の悪魔サルガタナスが、一気に、赤黒い禍々しい闘気を体に纏わせる。

 それと同時に、ハラダ家、ハラ家の者達は、後ろに飛び、一旦、距離を取る。

「反応は中々だな。よく鍛えられておる」

 よく見ると、ハラダ家、ハラ家の者達が、さっきまで居た場所に、土できたトゲトゲが剣山のように付き出ている。

「何度も、同じ手を食うと思うてか!」

「これで、お前の両親は、身動きが取れなくなって死んだのだけどな」

「貴様ぁーー!!」

 一瞬にして頭に血が上ったスエキチ爺さんは、異界の悪魔サルガタナスに向けて突撃する。しかし、

 ズドン! ズドン! ズドン!ズドン!

 それと、同時に、スエキチ爺さんの進行方向に合わせるように、地面から固い土で出来たトゲトゲが飛び出してくる。

「食らうか!」

 スエキチ爺さんは、そのトゲトゲを、ジグザグに動き躱す。

「百も承知」

 だけれども、サルガタナスは、スエキチ爺さんが土トゲトゲ剣山を躱す動きを予想して、左手指先から土魔法で固めた弾丸を飛ばす。

 スパン!!

「どうじゃ!」

 スエキチ爺さんは、突進しながら土魔法バレットを叩か斬る。

「聖剣政宗でもないのに、我の弾丸を弾くでも無く、斬り裂くか」

 異界の悪魔サルガタナスは、少し驚いている。

「フン。この日の為に、政宗を手放した後、世界中の刀を追い求めて、やっと手に入れた業物じゃ! 名を『白蜘蛛』。噂によると、新たにこの世界にもたらされた聖剣 村正に手を加えたと言われる、天才鍛冶師の傑作じゃ!」

「成程、噂は本当だったようだな。ガブリエルが、日本から勇者と聖剣を召喚させたというのは」

「召喚勇者を、気にしてる場合じゃないじゃろ!」

 スエキチ爺さんは、一気にサルガタナスの間合いに詰め寄る。

 しかし、

 ズダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ……!

 カキン! カキン! スパン!カキン! カキン! カキン!カキン!カキン!スパン!

 サルガタナスの指先から放たれた土魔法バレットの連射によって、スエキチ爺さんの斬り込みは阻止される。

「チッ! 隙がない!」

 スエキチ爺さんは、土魔法バレットを叩き落としながら後退する。

「なるほど。やはり、その刀は、聖剣には至ってないようだな。
 バレットが斬れる場合もあれば、弾く場合もある。
 しかしながら、その刀が量産されるようになったら、少し厄介だな」

 異界の悪魔サルガタナスは、冷静にスエキチ爺さんが持つ白蜘蛛を分析する。

「安心しろ! この世界に現存する白蜘蛛は、30振りだけじゃ!
 そして、その刀の内20振りは、ハラダ家、ハラ家が所有しておる!
 即ち、お主を斬り裂く事は出来ぬが、傷つけられる者が、20人増えたという事じゃ!」

 ハラダ スエキチは、捨て身の上段の構えを取る。

「異界の悪魔を、聖剣以外の刀で傷付ける?
 笑止。
 私が元居た世界、地球でも、日本刀以外で、異界の悪魔を傷付ける事が出来たのは、オリハルコンで製作された聖剣エクスカリバーただ一振のみ。
 それなのに、この世界の住人が作り出した日本刀のバッタモノで、我を斬れると思うてか!」

 異界の悪魔サルガタナスは、何を思ったのか、無防御でスエキチ爺さんの攻撃を受ける構えをとる。

「吠え面かくのは、お前じゃ!」

 上段に構えるスエキチ爺さんの体から、燃えるように真っ赤な闘気が溢れ出る。

「フム。その構え。引退しても、しっかり精進してたようだな」

「ぬかせ! ハラダ家、ハラ家でも無い者が、我らの剣術を語るな!」

 スエキチ爺さんは、怒髪天の勢いで怒り狂う。

「示現流の極意は、日々の鍛錬なり。どれだけ真剣に立ち木打ちをしたかによって、その者の強さが決まる。
 そして、我は、1日1000回の立ち木打ちの修練を、示現流を習得してから1000年。毎日欠かさずやり続けている」

 異界の悪魔サルガタナスは、少しも心を乱さず、落ち着いた様子で、スエキチ爺さんの攻撃を待ち受けている。

「お主が、何を言おうと、ジゲン流を使うのは、ハラダ家、ハラ家の者のみ!
 とくと見よ! これが本家本元のジゲン流じゃ!」

 スエキチ爺さんは、大きく飛び跳ね、上段の構えからの、必殺の一撃が振り落とされる。

「チェストー!!」

 ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダーーン!!

 凄まじい、轟音と共に、会心の一撃と思われる斬撃が、異界の悪魔サルガタナスに振り落とされた。

 ーーー

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