職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

文字の大きさ
上 下
53 / 166

53. 偉人好きの幼女

しおりを挟む
 
「ぐすん。悲しいです。辛いです」

 シロは、涙目で、吉田稔麿の最後を見ている。
 黒田官兵衛とか、玄人好みを愛する歴幼女のシロにとって、吉田稔麿は、ド直球のストライク。

 一応、松下村塾の三秀とか言われてるが、早くに死んでいる為、山口県出身者や、長州好きにしか知られていない。

 結局、生き残った奴だけが、歴史に名を残す。

 あ。そう言えば、長州出身者でも、生き残れたお陰で総理大臣にまでなれた人居るな……。

 山縣有朋が、そうだ。

 まあ、長州藩にとって、山縣有朋なんて、小物中の小物だったんだけど。お札にもなれた。

 長州藩は人材の宝庫だったけど、幕末時代に、その殆どが死んでしまっている。

 優秀な奴ほど、早く死ぬのだ。
 有名、無名、一体、何百人死んだのだろう。

 薩摩藩なんか、一番優秀だったと思われる西郷隆盛や大久保利通とか、普通に生き残ってるし。

 謹慎中だった高杉晋作や、イギリス留学中だった伊藤博文や井上馨が、蛤御門の変で死なずに生き残れてたのは、本当に奇跡的だったのだ。

 特に、高杉晋作と伊藤博文が、蛤御門の変に参加して死んでいたら、日本も間違いなく西洋国家の植民地となってただろう。

 とか、セドリックが、やたらと説明ぽい妄想をしながら、塩太郎と吉田稔麿を眺めてると、突然、場面が動き出す。

「アッ! 佐藤 塩太郎。吉田稔麿置いて、逃げたぞ!」

 セドリックは、涙を流して悲しんでたシロに、教えてやる。

「仕方が無いですよ! 死体担いで逃げられませんし!」

 以外とシロは、クールだ。
 あれ程、吉田稔麿が死んで悲しんでたのに。
 やはり、血も涙もない魔物だからか?

「ご主人様、言い方! 口に出さなくても、ご主人様の考えは筒抜けなので、気を付けて下さい!
 それから、血も涙も有りますから!
 今も、ご主人様の目の前で、悲しんで泣いてましたからね!」

 シロが、セドリックの頭を勝手に読んで抗議してくる。
 というか、泣いてると言ってる癖に、今は何故かニヤケてるんだけど。

 やっぱりシロは、血も涙もない魔物で間違い無い。

「そりゃあ、僕だってニヤケますよ!
 だって、目の前に、僕が大好きな偉人が落ちてるんですよ!」

「お前、まさか……」

「そのまさかです! 吉田稔麿は、姫ポーションで生き返らせて、僕達の世界に連れていきます!」

「ちょっと、シロちゃん。それは出来ない相談だよ!」

 ここまで黙って聞いていた、アマイモンが話に割って入る。

「お父さん。分かってますよ! 異世界に戻る魔力が、足りないと言うんでしょ!
 多分、僕と、ご主人様と、お父さんと、勇者候補、4人分の魔力しか、異世界転移用の魔道具、『金の鍵』にストックされてないんですよね?」

 どうやら、シロは全てわかった上で、吉田稔麿を、南の大陸に連れて帰ろうとしてみたいだ。

「ですよ!だから、シロちゃん。稔麿さんは、諦めて下さい!」

「問題無いです! 僕は、魔法の鞄の中に、こんな事もあろうと、魔石のストックをたくさん持ってきましたから!
 まあ、少し足りなそうですけど、残りは自分達の魔力で補います!
 幸い、地球に吸収されてしまう魔力より、僕とご主人様が発する魔力の方が多いので、後、数年もしたら一人分くらいの異世界転移に使う魔力ぐらい溜まる計算ですね」

 シロは、事も無げに話す。

「お前、何、言ってんだ? 勇者候補を確保したら、元の世界に帰るんじゃなかったのかよ!」

「お父さんと、勇者候補だけに、先に帰ってもらえばいいんじゃないですか?
 僕、高杉晋作とかも、実は確保するつもりなんですけど!」

 また、シロがトンデモ無い事を話し出す。
 というか、それが、シロが地球に来た最大の目的?
 シロは、また別の話だが、歴史的偉人を集めるのが趣味なのだ。

「お前、吉田稔麿と、高杉晋作二人も異世界転移させるのに、どんだけ魔力居ると思ってるんだよ!」

「10年くらいですかね?」

「10年って……もう、計算してるのかよ!」

 やはり、シロは、最初から計画してたようだ。

「ご主人様、それより、覚えてるんですか?
 元の世界に戻ると、ご主人様、神に狙われるって!」

「確か、そんな設定も有ったな……」

 セドリックは、すっかり忘れてたのを思いだす。

「だから、地球に居るのは、丁度、良いんですって!
 ただ、地球に居るだけで、僕達は鍛えられるんですから!
 ドラゴ〇ボールに出てきた、人工重力発生装置覚えてます?
 ナメック星に行く途中、宇宙船に設置されてた奴!
 あれで悟空が、重力を地上の100倍の環境にして鍛えたでしょ!
 地球に居るのは、僕達にとって、それと一緒の事なんですよ!」

 シロが、丁度いいじゃん。て感じで、軽い感じに言ってくる。

「というか、俺って、神と敵対するの、決定してるのか?」

「ご主人様は、僕の味方ですよね?」

「だな」

「だったら、神は敵です!」

 シロは、当たり前のように言い切る。

「嘘だろ! そんな理由で、俺、神と敵対しないといけないの!」

「セドリック君。大丈夫だよ! 僕の敵も、勿論、神だから!」

 何故か、アマイモンが胸を張り、エッヘンとする。

「そりゃあ、お前は、悪魔だから、神は敵だろうよ!」

 セドリックは、食入り気味に突っ込む。
 だって、アマイモンが言いそうな事、初めから分かってたし。

「ご主人様。諦めて下さい。これは運命ですから!
 一緒に10年間、地球で暮らしパワーアップしましょ!
 そして、神に対抗できる力を身に付けるんです!
 幸い、今の地球には神様居ませんから、地球は、この上なく安全な場所なんです!」

 まあ、地球に神様が居ない事は、何となく分かってた。
 アマイモンとか、この世界の悪魔達も、魔力が豊富な南の大陸というか、異世界に移住してるし。

 多分、魔力が全く無い地球は、神や悪魔にとって、とても住みにくい惑星なのだろう。

「じゃあ、そういう事で!」

「えっ!?  地球に10年居るのは、決定なのか?」

 セドリックは、こうして、シロと一緒に10年間、地球で暮らす事となった。

 勿論、蛤御門の変で死んだ、勇者候補の佐藤 塩太郎を、アマイモンと一緒に、異世界に送り届けて。

 まあ、自分達が帰る時の事も考えて、少し、魔力をケチったので、どこに転移したか分からないけど。
 確実に、南の大陸には送り届けれた筈だ。

 場所や時間がズレてても、誤差の範囲だろう。
 時間としては、数年。
 場所は、南の大陸のどこか。

 佐藤 塩太郎は、結構、強そうなので、なんとかなる筈だ。

 例え、南の大陸の、SSSS級のダンジョンの最下層に転移したとしてもね。

 ーーー

 番外編! 始祖とアラクネの、塩太郎観察日記。これにて終了!

 ん? セドリックとシロは、一体、何者?
 セドリックとシロの話を、もっと読みたいって?

 気になる人だけ、小説家になろうR18ミッドナイトノベルズ、総合年間2位、完了済年間1位を取った事のある、『骨から始まる異世界転生~裸の勇者はスケルトンから成り上がる』を、読んでね!
アフルァポリスにもあるよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界の剣聖女子

みくもっち
ファンタジー
 (時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。  その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。  ただし万能というわけではない。 心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。  また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。  異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。  時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。  バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。  テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー! *素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...