職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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24. 剣神になる予定の男

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「おい! シャンティー! ドラゴニュートって何だ?」

 塩太郎は、とても気になり質問する。

「龍と人間のハーフの子達よ」

 シャンティーは、端折って説明する。

「アリエッタと人間の子供みたいなもんか?」

「そう。龍の血を引く人間ね」

「という事は、強いんだな!」

「ええ。本物の龍程じゃないけど、かなりの強敵よ!」

「ガブリエルより、強いのか?」

 塩太郎の興味は尽きない。

「あんたねぇ。ガブリエルは一応、この世界No.3の実力者って事になってんの!
 黒龍、アリエッタ、ガブリエルの順ね!
 強者が集う、南の大陸の覇者が、ドラゴニュート程度に、遅れを取ると思ってんの!」

 シャンティーは、やれやれという感じで、この世界の事を何も知らない、幕末出身の塩太郎に説明する。

「だけど、ガブリエルの奴、アリエッタに、手も足も出なかったじゃねーかよ!」

「あんた、アホ? 赤龍は、この世界のバランサーで、この世界の神のような存在よ!
 実際、神聖フレシア王国では、神として崇められてるし!
 神と普通の人間が較べられる訳ないでしょ!」

「成程。ガブリエルより弱いんだな!」

 塩太郎は、少しだけ安心する。
 ドラゴニュートが、ガブリエルなみに強かったら、死を覚悟して突撃しないといけないし。

「弱いっていっても、最強の一角と言われている、黒龍、赤龍アリエッタ、ガブリエル、エルフの女王アリシア・ホワイト、大賢者モッコリーナ、ドワーフ王ドラクエルより、弱いって言ってるの!
 まあ、南の大陸には、これ以外の化け物もたくさんいるんだけどね」

 シャンティーが、少しだけ詳しく説明してくれた。

「喋ってないで、早く向かった方がいいんじゃないのか?」

「アンタが喋り掛けてくるから、説明してたんでしょ!」

 シャンティーは、プンプン怒りながら、爆発音など聞こえてくる、戦場の方に飛んでいった。

「おい! 待てよ! 作戦とかないのかよ!」

「作戦は、アンタとエリスの使い魔!
 ムネオンも居るみたいだから、何とかなるわよ!」

「ムネオンって、誰だよ!」

 塩太郎は、戦場に不安要素を持ち込む訳にはいかないので、気になる事は、全て質問する。

「だから、この国、ガリム王国の先王で、初代『犬の尻尾』の団長の末裔!
 違った、双子の妹の方の末裔!
 勇者の血筋だから、剣の才能は無いけど、無駄にポテンシャルだけは高いのよ!」

「先王って、ジジイじゃないのか?」

「ジジイと言っても、まだ40歳よ! 無駄に勇者の血筋だから、長生きだし、現役バリバリよ!
 子供の頃には、この私が鍛えてるから、剣王くらいなら余裕で倒せる実力よ!」

「剣王が、何だか分からんが、その凄そうな剣王を倒せるって、ムネオンって奴、剣の才能無かったんじゃねーのかよ?」

 塩太郎は、シャンティーの矛盾を指摘する。

「あんたねぇ、ムネオンは、間違っても勇者の末裔よ!
 勇者の末裔なら、剣神くらい倒せないといけないの!」

「また、でたよ! 一体、剣王とか、剣神って何なんだよ!」

「剣神、剣聖、剣帝、剣王は、冒険者の剣の順位みたいなものね!
 因みに、剣神なら、もう塩太郎も会ってるわよ!」

「まさか、ガブリエル?」

 確かに、ガブリエルはヤバかった。
 チラッとみただけでも、剣の覚えがあるのが分かるくらい、両刃の刀を持つ姿が様になってたのだ。

「ガブリエルは、剣神以上の存在。若い時に一度ぐらいは、剣神になってると思うけど、既に返上してるわ!
 因みに、『犬の尻尾』のブリトニー・ゴトウ・ロマンチックは、100年剣神を続けてたけど、冒険者ギルドが新たに剣鬼という名誉称号を作って、剣神の地位を返上させてるわね!」

 シャンティーは、端折り端折り説明する。

「『犬の尻尾』ヤバすぎんだろ! ガブリエルとアンさん以外にも、強い奴が居んのかよ!」

「実際、性格的に一番ヤバいのが、ブリトニーね!
 一番の得意技が、チ〇コスライス。名前の通り、チ〇コを立たせて100枚にスライスする必殺技よ!」

 シャンティーが、突然、有り得ない話をしてきた。

「お前、何言ってんだ? 戦いの最中、そりゃあ、興奮して立つ奴も居るかもしれんけど、チ〇コを100枚になんて、スライスできる訳ないだろ!」

「それをやってしまうのが、『サディスティック・サイコ・ニャンコ』の二つ名を持つ、剣鬼ブリトニー・ゴトウ・ロマンチックよ!」

 何故か知らんが、シャンティーがドヤ顔で、エッヘンとする。

「戦いの最中に、相手のチ〇コを立たせるのも大変だが、チ〇コを100枚にスライスなんて、本当に出来るものなのか……」

「まあ、剣神になる為には、それぐらいの腕が必要って事よ!」

 シャンティーは、事も無げに言う。

「で、今の剣神は、誰なんだよ!」

 塩太郎は、本来聞きたかった事を思い出し、質問し直す。
 まあ、誰しもチ〇コスライスとか、有り得ない話を聞いちゃうと、脱線するよね。

「今の剣神は、剣姫ハラダ・ハナね!」

「あの、アンさんと一緒にいた、日本人ぽい女か!」

「ええ。剣の神に愛された者に与えられる称号『剣姫』を、生まれながらに持つ、天才剣士よ!」

「成程、取り敢えずの目標は、そいつだな!
 そいつを倒して、俺が剣神になってやる!」

 塩太郎は、飢えていた。
 二つ名 的な、異名に。
 何故なら、塩太郎は、幕末伝説の人斬りだが、手際が良すぎて誰にも認知されなかった、悲しい黒歴史があるのだ。

 なので、二つ名というものに、滅茶苦茶憧れている。人斬り以蔵とか、人斬り半次郎とか、人斬り抜刀斎とか……その他諸々。

 剣神なら、冒険者ギルドで認定された称号らしいので、どんなに目立たなくても、塩田郎が、剣神だという事は、誰でも分かるシステムに違い無いのだ。

 なら、なってやるさ。

 剣神、佐藤 塩太郎と呼ばれるようにな!

 塩太郎は、「海賊王に俺はなる!」 ばりに、心の中で決心したのだった。

 ーーー

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