24 / 166
24. 剣神になる予定の男
しおりを挟む「おい! シャンティー! ドラゴニュートって何だ?」
塩太郎は、とても気になり質問する。
「龍と人間のハーフの子達よ」
シャンティーは、端折って説明する。
「アリエッタと人間の子供みたいなもんか?」
「そう。龍の血を引く人間ね」
「という事は、強いんだな!」
「ええ。本物の龍程じゃないけど、かなりの強敵よ!」
「ガブリエルより、強いのか?」
塩太郎の興味は尽きない。
「あんたねぇ。ガブリエルは一応、この世界No.3の実力者って事になってんの!
黒龍、アリエッタ、ガブリエルの順ね!
強者が集う、南の大陸の覇者が、ドラゴニュート程度に、遅れを取ると思ってんの!」
シャンティーは、やれやれという感じで、この世界の事を何も知らない、幕末出身の塩太郎に説明する。
「だけど、ガブリエルの奴、アリエッタに、手も足も出なかったじゃねーかよ!」
「あんた、アホ? 赤龍は、この世界のバランサーで、この世界の神のような存在よ!
実際、神聖フレシア王国では、神として崇められてるし!
神と普通の人間が較べられる訳ないでしょ!」
「成程。ガブリエルより弱いんだな!」
塩太郎は、少しだけ安心する。
ドラゴニュートが、ガブリエルなみに強かったら、死を覚悟して突撃しないといけないし。
「弱いっていっても、最強の一角と言われている、黒龍、赤龍アリエッタ、ガブリエル、エルフの女王アリシア・ホワイト、大賢者モッコリーナ、ドワーフ王ドラクエルより、弱いって言ってるの!
まあ、南の大陸には、これ以外の化け物もたくさんいるんだけどね」
シャンティーが、少しだけ詳しく説明してくれた。
「喋ってないで、早く向かった方がいいんじゃないのか?」
「アンタが喋り掛けてくるから、説明してたんでしょ!」
シャンティーは、プンプン怒りながら、爆発音など聞こえてくる、戦場の方に飛んでいった。
「おい! 待てよ! 作戦とかないのかよ!」
「作戦は、アンタとエリスの使い魔!
ムネオンも居るみたいだから、何とかなるわよ!」
「ムネオンって、誰だよ!」
塩太郎は、戦場に不安要素を持ち込む訳にはいかないので、気になる事は、全て質問する。
「だから、この国、ガリム王国の先王で、初代『犬の尻尾』の団長の末裔!
違った、双子の妹の方の末裔!
勇者の血筋だから、剣の才能は無いけど、無駄にポテンシャルだけは高いのよ!」
「先王って、ジジイじゃないのか?」
「ジジイと言っても、まだ40歳よ! 無駄に勇者の血筋だから、長生きだし、現役バリバリよ!
子供の頃には、この私が鍛えてるから、剣王くらいなら余裕で倒せる実力よ!」
「剣王が、何だか分からんが、その凄そうな剣王を倒せるって、ムネオンって奴、剣の才能無かったんじゃねーのかよ?」
塩太郎は、シャンティーの矛盾を指摘する。
「あんたねぇ、ムネオンは、間違っても勇者の末裔よ!
勇者の末裔なら、剣神くらい倒せないといけないの!」
「また、でたよ! 一体、剣王とか、剣神って何なんだよ!」
「剣神、剣聖、剣帝、剣王は、冒険者の剣の順位みたいなものね!
因みに、剣神なら、もう塩太郎も会ってるわよ!」
「まさか、ガブリエル?」
確かに、ガブリエルはヤバかった。
チラッとみただけでも、剣の覚えがあるのが分かるくらい、両刃の刀を持つ姿が様になってたのだ。
「ガブリエルは、剣神以上の存在。若い時に一度ぐらいは、剣神になってると思うけど、既に返上してるわ!
因みに、『犬の尻尾』のブリトニー・ゴトウ・ロマンチックは、100年剣神を続けてたけど、冒険者ギルドが新たに剣鬼という名誉称号を作って、剣神の地位を返上させてるわね!」
シャンティーは、端折り端折り説明する。
「『犬の尻尾』ヤバすぎんだろ! ガブリエルとアンさん以外にも、強い奴が居んのかよ!」
「実際、性格的に一番ヤバいのが、ブリトニーね!
一番の得意技が、チ〇コスライス。名前の通り、チ〇コを立たせて100枚にスライスする必殺技よ!」
シャンティーが、突然、有り得ない話をしてきた。
「お前、何言ってんだ? 戦いの最中、そりゃあ、興奮して立つ奴も居るかもしれんけど、チ〇コを100枚になんて、スライスできる訳ないだろ!」
「それをやってしまうのが、『サディスティック・サイコ・ニャンコ』の二つ名を持つ、剣鬼ブリトニー・ゴトウ・ロマンチックよ!」
何故か知らんが、シャンティーがドヤ顔で、エッヘンとする。
「戦いの最中に、相手のチ〇コを立たせるのも大変だが、チ〇コを100枚にスライスなんて、本当に出来るものなのか……」
「まあ、剣神になる為には、それぐらいの腕が必要って事よ!」
シャンティーは、事も無げに言う。
「で、今の剣神は、誰なんだよ!」
塩太郎は、本来聞きたかった事を思い出し、質問し直す。
まあ、誰しもチ〇コスライスとか、有り得ない話を聞いちゃうと、脱線するよね。
「今の剣神は、剣姫ハラダ・ハナね!」
「あの、アンさんと一緒にいた、日本人ぽい女か!」
「ええ。剣の神に愛された者に与えられる称号『剣姫』を、生まれながらに持つ、天才剣士よ!」
「成程、取り敢えずの目標は、そいつだな!
そいつを倒して、俺が剣神になってやる!」
塩太郎は、飢えていた。
二つ名 的な、異名に。
何故なら、塩太郎は、幕末伝説の人斬りだが、手際が良すぎて誰にも認知されなかった、悲しい黒歴史があるのだ。
なので、二つ名というものに、滅茶苦茶憧れている。人斬り以蔵とか、人斬り半次郎とか、人斬り抜刀斎とか……その他諸々。
剣神なら、冒険者ギルドで認定された称号らしいので、どんなに目立たなくても、塩田郎が、剣神だという事は、誰でも分かるシステムに違い無いのだ。
なら、なってやるさ。
剣神、佐藤 塩太郎と呼ばれるようにな!
塩太郎は、「海賊王に俺はなる!」 ばりに、心の中で決心したのだった。
ーーー
面白かったら、ブックマーク押してね!
8
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界の剣聖女子
みくもっち
ファンタジー
(時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。
その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。
ただし万能というわけではない。
心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。
また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。
異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。
時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。
バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。
テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー!
*素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる