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158. 学級委員長
しおりを挟む結局、ジュリは持ち手に桜が彫られたヒノキの杖を。アリスは、超超ジュラルミン製のトンファーになる杖を購入した。
アリスは よっぽどトンファーになる杖が気に入ったのか、寮への帰り道、ずっと、ブルー·ス〇ーの真似をしながらトンファー(杖)をブンブン振り回していた。
アリスを見ていると、最早、杖として使う気無さそうである。
そしてジュリはというと、杖を買ったのがとても嬉しかったのか、寮までの帰り道、ずっとニヤニヤしていた。
ジュリは、魔法少女に憧れる年頃なのである。
そして俺と姫はというと、サリス魔法学校に売っている定価3000マーブルの杖を購入した。
「マスターとお揃いなのです!」
姫は、俺とお揃いなのが相当嬉しいのか、定価3000マーブルの杖を、ずっと胸に抱きしめている。
しかし、俺だけとお揃いという訳ではなく、殆どのサリス魔法学校に通っている苦学生は、定価3000マーブルの杖を使っていると思うのだが……。
「俺とお揃いというより、みんなとお揃いだな」
俺の指摘に、姫は全く意に介していない。まあ、姫がそれでも満足ならそれで良いのかな……。
「アンちゃんは、どうするんだ?」
俺はアンちゃんがどうするかも気になり、一応聞いてみるを
「僕は自分で作るよ!」
アンちゃんは流石というか、どうやら手作りするようだ。
お店で杖を色々見て、インスピレーションが沸いたらしい。
そんな感じで、杖選びは終わったのだった。
そして次の日。サリス魔法学校の一組の教室。
「今日は、昨日言ってたように、このクラスの副学級委員長を決めますよ!」
シズカ先生が朝礼が終わった後、生徒に言い渡す。
「ハイ!」
姫が手を挙げる。
「ハイ! ガブリエルさん!」
「先生、私は学級委員長やりたくありません!」
突然、姫がシズカ先生に宣言する。
「それは認められませんよ! 身体能力テストが一番だった人が学級委員長をやると、サリス魔法学校では決まっていますので!」
「それなら、マスターが学級委員長をやるべきなのです!
マスターは、身体能力テストで本気を出していません!」
姫が、突然おかしな事を言いだした。
「アレンさん、それは本当ですか?」
「えっ……」
俺は学級委員長なんてなりたくないのだ。
もしかしたら身体能力テストで良い点数を出すと学級委員長とかに選ばれるかもしれないと思って、わざと手を抜いていたんだが……。
「間違えました! マスターは学級委員長なんてやりたく無いんです!
学級委員長は、凄くやりたそうなカリンさんで良いと思います!」
姫が、急遽俺の心を読みとって、かなり無理があると思うのだが、話の方向転換をした。
「エッ? アレンさんが学級委員長やるべきじゃなかったですか?」
シズカ先生は困惑する。
「間違えたのです! カリンさんがいいのです!」
姫は、カレンで押し切るつもりらしい。
まあ、学級委員長になりたくて仕方がなそうなカリンに押し付けとけば、誰も損をしない。
「だけどカリンさんの身体能力テストの結果は、このクラスでは下の方なんですが……」
「カリンさんも、本気を出して無かったと思います!」
姫は、押し通す。
「まあ確かに、カリンさんは最初の方、魔力、スキル無しで身体能力テストやってはいましたけど……」
シズカ先生が、少し悩み始める。
「先生! 私は学級委員長やりたいです!
私は、エルフの国の王位継承権第1位ですので、第3位のアレンに能力で負ける筈有りません!」
カリンは中央先頭の席を立ち、シズカ先生の真ん前で、俺をディすりながら学級委員長に立候補した。
「そうなんですか?」
「そうなんです! だから、私がこのクラスの学級委員長になる事に決めました!」
「えぇ……?」
カリンは、勝手に自分が学級委員長になると決めると、シズカ先生を押し退け教壇の前に立ち、副委員長を決めるクジをどこからともなく取り出した。
「これは、私が昨日夜なべして作った副委員長を決めるクジ引きです!
これで、副委員長を決めましょう!」
何故 カリンが副委員長を決めるクジ引きを作ってきたか謎だが、俺が学級委員長をやらないでいいのなら、まあそれは良しとしよう。
多分カリンは、自分が副学級委員長になれるように、あのクジ箱に何か細工をしていたのだろう。
結果として、無理矢理自分が学級委員長になってしまったので、そのクジ箱を有効活用しようという訳か……。
まあ俺としては、どうでも良いんだけどね。
「それでは、掻き混ぜるから、みんなクジを引いていって下さい!」
カリンがクジ箱の中を、何気に掻き混ぜようとする。
俺は、気になったので【透視】スキルを作り、クジ箱の中を確認する。
カリンはクジ箱の中の上側に貼り付けられている、怪しいクジを剥がし、他のクジの中に混ぜ合わせた。
多分、クジ箱の上に貼り付けられていたクジが当たりなのだろう。
カリンは、わかりやす過ぎる。
誰もが、カリンが八百長しようとしていた事に気付いている。
自分で、クジ箱を用意してる段階でバレバレだ。
そんな奴を、学級委員長にして良いのかと思うが、誰も好き好んで面倒くさそうな学級委員長なんてやりたくない。
サリス魔法学校には、日本の学校のような内申点など無いのだから。
そして、厳正なるクジ引きの結果、副学級委員長にはネム王子がなった。
まあ実際は、俺が【全知全能君】を使って、ネム王子が当たりを引くように操作したのだが。
だって、考えてもみてよ。
ブリトニーやエロチックさんが、副学級委員長になんかなったら、それこそ地獄だからね。
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