上 下
158 / 222

158. 学級委員長

しおりを挟む
 
 結局、ジュリは持ち手に桜が彫られたヒノキの杖を。アリスは、超超ジュラルミン製のトンファーになる杖を購入した。

 アリスは よっぽどトンファーになる杖が気に入ったのか、寮への帰り道、ずっと、ブルー·ス〇ーの真似をしながらトンファー(杖)をブンブン振り回していた。
 アリスを見ていると、最早、杖として使う気無さそうである。

 そしてジュリはというと、杖を買ったのがとても嬉しかったのか、寮までの帰り道、ずっとニヤニヤしていた。
 ジュリは、魔法少女に憧れる年頃なのである。

 そして俺と姫はというと、サリス魔法学校に売っている定価3000マーブルの杖を購入した。

「マスターとお揃いなのです!」

 姫は、俺とお揃いなのが相当嬉しいのか、定価3000マーブルの杖を、ずっと胸に抱きしめている。

 しかし、俺だけとお揃いという訳ではなく、殆どのサリス魔法学校に通っている苦学生は、定価3000マーブルの杖を使っていると思うのだが……。

「俺とお揃いというより、みんなとお揃いだな」

 俺の指摘に、姫は全く意に介していない。まあ、姫がそれでも満足ならそれで良いのかな……。

「アンちゃんは、どうするんだ?」

 俺はアンちゃんがどうするかも気になり、一応聞いてみるを

「僕は自分で作るよ!」

 アンちゃんは流石というか、どうやら手作りするようだ。
 お店で杖を色々見て、インスピレーションが沸いたらしい。

 そんな感じで、杖選びは終わったのだった。

 そして次の日。サリス魔法学校の一組の教室。

「今日は、昨日言ってたように、このクラスの副学級委員長を決めますよ!」

 シズカ先生が朝礼が終わった後、生徒に言い渡す。

「ハイ!」
 姫が手を挙げる。

「ハイ! ガブリエルさん!」

「先生、私は学級委員長やりたくありません!」

 突然、姫がシズカ先生に宣言する。

「それは認められませんよ! 身体能力テストが一番だった人が学級委員長をやると、サリス魔法学校では決まっていますので!」

「それなら、マスターが学級委員長をやるべきなのです!
 マスターは、身体能力テストで本気を出していません!」

 姫が、突然おかしな事を言いだした。

「アレンさん、それは本当ですか?」

「えっ……」

 俺は学級委員長なんてなりたくないのだ。
 もしかしたら身体能力テストで良い点数を出すと学級委員長とかに選ばれるかもしれないと思って、わざと手を抜いていたんだが……。

「間違えました! マスターは学級委員長なんてやりたく無いんです!
 学級委員長は、凄くやりたそうなカリンさんで良いと思います!」

 姫が、急遽俺の心を読みとって、かなり無理があると思うのだが、話の方向転換をした。

「エッ? アレンさんが学級委員長やるべきじゃなかったですか?」

 シズカ先生は困惑する。

「間違えたのです! カリンさんがいいのです!」

 姫は、カレンで押し切るつもりらしい。
 まあ、学級委員長になりたくて仕方がなそうなカリンに押し付けとけば、誰も損をしない。

「だけどカリンさんの身体能力テストの結果は、このクラスでは下の方なんですが……」

「カリンさんも、本気を出して無かったと思います!」

 姫は、押し通す。

「まあ確かに、カリンさんは最初の方、魔力、スキル無しで身体能力テストやってはいましたけど……」

 シズカ先生が、少し悩み始める。

「先生! 私は学級委員長やりたいです!
 私は、エルフの国の王位継承権第1位ですので、第3位のアレンに能力で負ける筈有りません!」

 カリンは中央先頭の席を立ち、シズカ先生の真ん前で、俺をディすりながら学級委員長に立候補した。

「そうなんですか?」

「そうなんです! だから、私がこのクラスの学級委員長になる事に決めました!」

「えぇ……?」

 カリンは、勝手に自分が学級委員長になると決めると、シズカ先生を押し退け教壇の前に立ち、副委員長を決めるクジをどこからともなく取り出した。

「これは、私が昨日夜なべして作った副委員長を決めるクジ引きです!
 これで、副委員長を決めましょう!」

 何故 カリンが副委員長を決めるクジ引きを作ってきたか謎だが、俺が学級委員長をやらないでいいのなら、まあそれは良しとしよう。
 多分カリンは、自分が副学級委員長になれるように、あのクジ箱に何か細工をしていたのだろう。

 結果として、無理矢理自分が学級委員長になってしまったので、そのクジ箱を有効活用しようという訳か……。
 まあ俺としては、どうでも良いんだけどね。

「それでは、掻き混ぜるから、みんなクジを引いていって下さい!」

 カリンがクジ箱の中を、何気に掻き混ぜようとする。
 俺は、気になったので【透視】スキルを作り、クジ箱の中を確認する。

 カリンはクジ箱の中の上側に貼り付けられている、怪しいクジを剥がし、他のクジの中に混ぜ合わせた。
 多分、クジ箱の上に貼り付けられていたクジが当たりなのだろう。

 カリンは、わかりやす過ぎる。
 誰もが、カリンが八百長しようとしていた事に気付いている。
 自分で、クジ箱を用意してる段階でバレバレだ。

 そんな奴を、学級委員長にして良いのかと思うが、誰も好き好んで面倒くさそうな学級委員長なんてやりたくない。

 サリス魔法学校には、日本の学校のような内申点など無いのだから。

 そして、厳正なるクジ引きの結果、副学級委員長にはネム王子がなった。
 まあ実際は、俺が【全知全能君】を使って、ネム王子が当たりを引くように操作したのだが。

 だって、考えてもみてよ。
 ブリトニーやエロチックさんが、副学級委員長になんかなったら、それこそ地獄だからね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...