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252. スキルスッポンソードは5億マーブル?

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 続いて、七つの大罪悪魔、アスモデウスことセバスチャンが魔素を放出する。

 こちらもアマイモン程ではないが、凄まじい魔素総量だ。

 アスモデウスに倣い、ゴキ男爵、メリル達シスターズやブリトニー、アンちゃんも魔素を放出する。

 ラスボス部屋は、超濃厚度の魔素で充満されて息苦しさを感じる程だ。

 そして俺が魔素を放出した後、姫も同じように魔素を放出させた。

 姫が魔素を放出させると、部屋の中がどんどん赤黒くなっていく。

 普通、魔素に色がつく事などないのだが、姫の魔素は濃すぎるが故に、赤黒く見えるのだ。

「エッ! オイ、姫?」

 姫の魔素は止まらない。
 姫の尽きる事のない魔素のせいで、部屋はどんどん赤黒く染まり、どんどん濃い色になっていく。
 最終的に部屋は真っ黒に染まり、真っ暗闇になってしまった。

 バタッ、バタッ、バタッ、バタッ

 暗闇の中で、人が次々に倒れる音がした。


「皆さん! お待たせしました!」

 アマイモンが30分後、トイレ掃除から戻って来ると、ラスボス部屋には薄らと赤黒いモヤがかかり、そこにいた全ての人間が床に倒れていた。

「こ……これはもしや……
 密室殺人事件?!」

 アマイモンが、驚愕の表情をしながら固まった。

「では、ないですね!
 これは、想像以上、魔女様とんでもない娘を覚醒させちゃいましたね!
 これも姫様を助ける為に、急遽、仕方がなく呼び寄せる事になったゴトウ·サイトによるイレギュラーなのでしょうか?
 才能も何も無し、姫様を必ず助けそうという理由だけで召喚者に選ばれた幼女好きのロリコン、ゴトウ·サイト!
 そのゴトウ·サイトに、姫様を助ける力を与える為、大盤振る舞いでレア魔道具や自分の持ってたスキルを与えて、何とか姫様を助ける事に成功したのは良いですが、姫様がロリコン変態男ゴトウ·サイトと共に行動しているせいなのか、思いもよらない副作用が起こっているようですね……
 まあ、私には関係無い事です!
 それより、この気絶した者達をどうしましょうか……
 取り敢えず、このままほかってても良いですが、僕が暇すぎるから起こしますか!」

 ツンツン

「ん? アレ? 俺どうして倒れてるんだ?」

「ゴ……ゴトウさん! 生きていたようですね!
 僕がこの部屋に戻ってきたら、皆さん死んだように倒れていたので、密室殺人事件が起こったのかと思いましたよ!」

 アマイモンが、わざとらしく大袈裟な感じで話し掛けてくる。
 なんで、こいつはいつも騒がしいんだ……
 確か、姫がヤバイ程魔素を放出して、部屋が真っ黒になった所まで覚えているが、多分、そのまま気を失ったのか。

「皆さん! 朝ですよ!
 間違えました! 16:30ですよ!」

 アマイモンが俺に続き、ゴキ男爵や皆を次々に起こしていく。

「ん?!  ハッ!!……」

 ゴキ男爵が、起きると同時にみるみると青ざめていく。

「み……皆様方、大変です!
 アジトのダンジョンが、S10ダンジョンになってしまっているようです!
 今のこのダンジョンの状態は、ダンジョンマスターの私より強い魔物がウヨウヨでてくるような、有り得ない状態になってしまっています!」

 最近のゴキ男爵としては、珍しく取り乱している。

「ゴキ男爵さん! 確かゾイさんが作ったダンジョン管理用のiPad型魔道具がありましたよね!
 ちょっとそれを、僕に貸してくれませんか?」

 アマイモンは、焦りまくっているゴキ男爵をよそに、テンションは高めだが冷静な口調で、ゴキ男爵に魔道具を貸してくれるように頼む。

「ど……どうぞ」

 ゴキ男爵は何とか動揺を抑え込み、アマイモンにiPad型魔道具を渡した。

「ハイ! ありがとうございます!」

 アマイモンはiPad型魔道具を受け取ると、慣れた手つきでダンジョンの設定を次々としていく。

「ハイ! 完了しましたよ!
 一応、2000階層まで、拡張できそうだったので最大値まで拡張しました!
 取り敢えず、1800階層から1900階層を修行用に使わせてもらいますね!
 それでは皆さん! 修行しに行きますよ!」

 アマイモンが、どこでもドア鍵を取り出し、ダンジョン1800階層階段フロアーに繋がる扉を開いた。

「ゴトウさん! 階段フロアーにヤバイ魔物が入って来れないようにする為、すぐに【聖級結界】を張って下さい!
【聖級結界】ならS10レベルの魔物でも、問題なく抑える事ができますので!
 魔女様の【聖級結界】は、特殊な結界で本当ならどんな剣でも斬る事は出来ないのですが、例外的、スキルスッポンソードと異世界からこの世界に持ち込んだエクスカリバー、草薙の剣、それから原田家に伝わる剣でなら、会心の一撃を出せれば、結界を破れるように魔女様がプログラムされているようです。
 それ以外にも、魔女様が認める者で、ある程度の剣の実力があれば、実はどんな剣でも破れたりするそうです。
 ですが、それ以外の者ですと、この世界で【聖級結界】を破れる者は存在しません。
 ただし魔女様は例外的に、黒龍だけは頑張れば【聖級結界】を破れるかもしれないと言ってました。
 黒龍だけは、本来なら交わる筈のない全く別の異世界から召喚された神獣ですので、この世界からも、ゴトウさんがいた世界からも、完全に理か外れてますからね!
 という訳で、【聖級結界】さえ張っておけば、黒龍が現れない限り、殆ど安全という事です!」

 アマイモンが長ったらしく【聖級結界】について説明した後も、引き続き話を続ける。

「メリルちゃんやメイドちゃん達は、1850階層で、アスモデウスに異世界デーモンの魔法について学んで下さい!
 そしてブリトニーさんが、持ってるスキルスッポンソードは、スキル効果だけで本来ならこの世に出すべきではない神級アーキテクチャーなんですが、今回は敵が七つの大罪、怠惰のベルフェゴールなので、本来の力を少しだけ開放しましょうか。
 実をいうと、スキルスッポンソードは鞘の部分が魔道具となってる為、刃の部分は取り替え自由だったりします!」

 アマイモンが驚愕の事実を披露した。

 アマイモンが言う事が事実なら、スキルスッポンソードはとんでもないない剣になってしまう。

 現在のスキルスッポンソードの刃は、見た目通り攻撃力が低い、駆け出し冒険者などが使う普通の鉄の刃なので、スキルを奪うにはかなり使い勝手が悪い剣だったのだが、神級レベルの剣の刃に取り替える事ができるのならば、スキルを奪えて斬れ味まで良い、超激レア神級アーキテクチャーになってしまうのだ!

「ブリトニー! その剣返せ!」

「貰ったん物は返さないのニャ!
 どっちみち、私が敵を倒せば、ご主人様にもスキルが入るので問題ないのね!」

 ブリトニーは、捨て台詞を吐いて、自分の影に溶けるように消え逃げて行った。

「糞! 逃げられた!」

 ブリトニーに逃げられてから数分程、つもりに積もったブリトニーの俺への態度を愚痴っていると、突然、俺の影から何かが現れた。

「お待たせニャ!」

 逃げたと思ったブリトニーが直ぐに【影渡り】で戻ってきたのだ。

「ん?」

 ブリトニーが持っていたスキルスッポンソードの刃の部分が、どこかで見た事ある剣にいつの間にか変わっている。

「アッ! それは、もしかしてお父さんが作った剣?」

 アンちゃんが、ブリトニーが持ってる剣を見て、すぐに自分の父親、世界一の武器職人ドラン·ドラクエルが打った剣だと気付いた。

 そうだ……あれは確かに見覚えがある。
 ムササビ『ウルフデパート』のVIP部屋に飾ってあった、世界一の武器職人ドラン·ドラクエル作の1番高い5億マーブルする神級の剣だ。

「ニャッハッハッハッハッハッ!
 ヨネンを掴まえて、前から目をつけていた剣を譲ってもらったのニャ!」

「どうやったら5億マーブルの剣を、譲って貰えるのだ!?
 どう考えても、ヨネンを脅して奪ったんだろ!」

「私は、ただヨネンの顔をじっと見て、この剣頂戴と言っただけなのニャ!
 そしたら、ヨネンは、オシッコをチビりながら、『この剣は差し上げるので、殺さないで下さい』と、言ったのニャ!」

「それを、脅していると言うんだよ!」

 この戦争が終わったら すぐに、ドワーフ王国と揉めない為にも、サンアリに剣の代金を支払って貰おうと思うゴトウ·サイトなのであった。
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