上 下
219 / 286

219. 金〇一少年

しおりを挟む
 
「シャンティーさん、貴方が言っている事は全て本当の事ですか?」

「アンタこそ、何言ってるのよ!
 私が、嘘を言っているとでも言うの?」

 シャンティーさんは、自信満々に反論する。

「ネタは揃ってるんですよ!
 貴方の今までの言動により、謎は既に解けているのです!
 じっちゃんの名にかけて、貴方の嘘を全て暴いてみせる!!」

「アンタの爺さんって誰?
 知らない爺さんの名にかけられても、それがどうしたの?って感じなんだけど……」

 確かに、シャンティーさんの言う通りだ。
 ただノリで、某アニメの真似をしてみただけで、そもそも俺は、お爺ちゃん子でもない。

「俺のじっちゃんの事は、それ程気にしないで大丈夫です。
 そんな事より、シャンティーさん!
 アナタは『三日月旅団』に、今回のレイドに参加するのは早過ぎるのよ! とか、仕方がなく引率してあげている。
 とか、言っていましたが、それは全て嘘だ!」

「ハァ~何を言ってるの? 全部本当の事じゃない!」

 シャンティーさんが、俺を睨めつけながら、またも反論する。

「それでは、何故、『三日月旅団』が、このレイドに参加したいと言った時に、シャンティーさんは賛成したのですか?

 シローさんは、『三日月旅団』が、このレイドに参加するのは無理だと納得させる為に、『三日月旅団』に滅茶苦茶ダメ出ししてたのに、シャンティーさんは、自分がホローするから大丈夫だと言っていました。
 それなのに、今になって、『三日月旅団がレイドに参加するのは早過ぎた』とか言うのは、おかしくないですか?
 シャンティーさんが、ホローするから大丈夫だったんじゃなかったのですか?」

「それは、私の善意よ!
 少し『三日月旅団』が、可哀想に思ったから助けてあげようと思ったのよ!」

「自分も最初は、そう思っていました。
 しかし、シャンティーさんは、そんな奇特な人ではないです!
 ただ『三日月旅団』を利用して、尚且つ次いでに、レイドの報酬まで踏んだくろうと企んでいたのではないのですか!」

「な……何を、訳のわからない事いってるの!
 付き合ってられないわ!
 エ……エリス、もう行くわよ!」

 シャンティーさんは、少し動揺しながら、この場を去ろうとする。

「シャンティーさん、最後まで話を聞いて下さい。
 アナタは『三日月旅団』を利用して、宝箱を開けさせたかったんですよね」

 シャンティーさんは、固まり、立ち止まる。
 どうやら、図星だったみたいだ。

「自分は、このダンジョンで、初めて死の魔法を使う宝箱の魔物に遭遇しました。
 実際、宝箱を開ける場面になると足がすくみます。
 やはり、死ぬという事は恐ろしい事です。
 どれだけ、後から生き返らせてくれると言っても、やはり自分は死にたくはありません!

 そこで、シャンティーさんは考えました。

『三日月旅団』を利用しようと。

『三日月旅団』に、修行をつけるという口実で、『三日月旅団』を隔離し、シャンティーさんの言葉が全て正しいと錯覚させ、思いのままに動くように『三日月旅団』を洗脳し、使い倒してやろうと!」

「アンタ、本当に何を言ってるの!
 洗脳って!
 私は【洗脳】スキルも【調教】スキルも、何も持ってないわよ!」

 シャンティーさんが、物凄い形相で反論する。

「スキルを持っていなくても洗脳する事は可能です。
 自分は、始まりの魔女の結界の中にいた時、書斎に置いてあった異世界の本に、洗脳の仕方について、詳しく書かれた本があったのです。
 その中に書かれていた本の内容と、シャンティーさんの洗脳方法が、まるっきし同じだったのです。

 その方法とは、
 まずは、痛めつける。
 次に、承認して認めてあげる。
 そして、外の情報が入ってこないように、隔離する。
 隔離した後、繰り返し簡単な言葉を使って、やらせたい事、思想を刷り込む。
 これを、ひたすら繰り返す事で、人を簡単に洗脳する事ができる。
 と、書かれていたのです!」

「そ……そんな事言われたって知らないわよ!
 私は異世界の本なんて、読んだ事も聞いた事もないんだから!」

「まあ、シャンティーさんが知らなくて当然です。
 異世界の本なのですから。
 しかし、シャンティーさんは、知らなくても無意識のうちにそれを実践し、自分の思いどうりに『三日月旅団』が、言う事を聞くように、計画的に時間をかけて洗脳していったのです!

 まずは、徹底に痛めつける為に、実際の5Sダンジョンでは有り得ないようなフロアーボス12匹を配置して、『三日月旅団』を完膚なきまでにボコボコにし、自信をへし折りました。
 シャンティーさんは、それでも飽き足らずに、念には念を入れて、ブリトニーと『三日月旅団』を戦わせ、たった1人の人間に2秒で瞬殺されてしまうという悪夢を『三日月旅団』に味あわせ、冒険者としての尊厳まで奪ってしまったのです。

 ここまでやれば、後は簡単です。

 シャンティーさんは、『三日月旅団』に修行をつけるという口実で、ダンジョン内に隔離し、飴と鞭を繰り返し、シャンティーさんに絶対服従するようになるまで、洗脳していったのです」

「それが、何だって言うの?
 そんなの普通の事じゃない!
 それくらいの事、誰だってやってるわよ!」

 シャンティーさんは、完全に開き直ってしまった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

18禁乙女ゲーム…ハードだ(色んな意味で)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:2,813

秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:4,830

トラック野郎親父の雌堕

BL / 完結 24h.ポイント:369pt お気に入り:86

度を越えたシスコン共は花嫁をチェンジする

恋愛 / 完結 24h.ポイント:390pt お気に入り:1,951

前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:198

転生令嬢は庶民の味に飢えている

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:13,114pt お気に入り:13,926

処理中です...