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219. 金〇一少年
しおりを挟む「シャンティーさん、貴方が言っている事は全て本当の事ですか?」
「アンタこそ、何言ってるのよ!
私が、嘘を言っているとでも言うの?」
シャンティーさんは、自信満々に反論する。
「ネタは揃ってるんですよ!
貴方の今までの言動により、謎は既に解けているのです!
じっちゃんの名にかけて、貴方の嘘を全て暴いてみせる!!」
「アンタの爺さんって誰?
知らない爺さんの名にかけられても、それがどうしたの?って感じなんだけど……」
確かに、シャンティーさんの言う通りだ。
ただノリで、某アニメの真似をしてみただけで、そもそも俺は、お爺ちゃん子でもない。
「俺のじっちゃんの事は、それ程気にしないで大丈夫です。
そんな事より、シャンティーさん!
アナタは『三日月旅団』に、今回のレイドに参加するのは早過ぎるのよ! とか、仕方がなく引率してあげている。
とか、言っていましたが、それは全て嘘だ!」
「ハァ~何を言ってるの? 全部本当の事じゃない!」
シャンティーさんが、俺を睨めつけながら、またも反論する。
「それでは、何故、『三日月旅団』が、このレイドに参加したいと言った時に、シャンティーさんは賛成したのですか?
シローさんは、『三日月旅団』が、このレイドに参加するのは無理だと納得させる為に、『三日月旅団』に滅茶苦茶ダメ出ししてたのに、シャンティーさんは、自分がホローするから大丈夫だと言っていました。
それなのに、今になって、『三日月旅団がレイドに参加するのは早過ぎた』とか言うのは、おかしくないですか?
シャンティーさんが、ホローするから大丈夫だったんじゃなかったのですか?」
「それは、私の善意よ!
少し『三日月旅団』が、可哀想に思ったから助けてあげようと思ったのよ!」
「自分も最初は、そう思っていました。
しかし、シャンティーさんは、そんな奇特な人ではないです!
ただ『三日月旅団』を利用して、尚且つ次いでに、レイドの報酬まで踏んだくろうと企んでいたのではないのですか!」
「な……何を、訳のわからない事いってるの!
付き合ってられないわ!
エ……エリス、もう行くわよ!」
シャンティーさんは、少し動揺しながら、この場を去ろうとする。
「シャンティーさん、最後まで話を聞いて下さい。
アナタは『三日月旅団』を利用して、宝箱を開けさせたかったんですよね」
シャンティーさんは、固まり、立ち止まる。
どうやら、図星だったみたいだ。
「自分は、このダンジョンで、初めて死の魔法を使う宝箱の魔物に遭遇しました。
実際、宝箱を開ける場面になると足がすくみます。
やはり、死ぬという事は恐ろしい事です。
どれだけ、後から生き返らせてくれると言っても、やはり自分は死にたくはありません!
そこで、シャンティーさんは考えました。
『三日月旅団』を利用しようと。
『三日月旅団』に、修行をつけるという口実で、『三日月旅団』を隔離し、シャンティーさんの言葉が全て正しいと錯覚させ、思いのままに動くように『三日月旅団』を洗脳し、使い倒してやろうと!」
「アンタ、本当に何を言ってるの!
洗脳って!
私は【洗脳】スキルも【調教】スキルも、何も持ってないわよ!」
シャンティーさんが、物凄い形相で反論する。
「スキルを持っていなくても洗脳する事は可能です。
自分は、始まりの魔女の結界の中にいた時、書斎に置いてあった異世界の本に、洗脳の仕方について、詳しく書かれた本があったのです。
その中に書かれていた本の内容と、シャンティーさんの洗脳方法が、まるっきし同じだったのです。
その方法とは、
まずは、痛めつける。
次に、承認して認めてあげる。
そして、外の情報が入ってこないように、隔離する。
隔離した後、繰り返し簡単な言葉を使って、やらせたい事、思想を刷り込む。
これを、ひたすら繰り返す事で、人を簡単に洗脳する事ができる。
と、書かれていたのです!」
「そ……そんな事言われたって知らないわよ!
私は異世界の本なんて、読んだ事も聞いた事もないんだから!」
「まあ、シャンティーさんが知らなくて当然です。
異世界の本なのですから。
しかし、シャンティーさんは、知らなくても無意識のうちにそれを実践し、自分の思いどうりに『三日月旅団』が、言う事を聞くように、計画的に時間をかけて洗脳していったのです!
まずは、徹底に痛めつける為に、実際の5Sダンジョンでは有り得ないようなフロアーボス12匹を配置して、『三日月旅団』を完膚なきまでにボコボコにし、自信をへし折りました。
シャンティーさんは、それでも飽き足らずに、念には念を入れて、ブリトニーと『三日月旅団』を戦わせ、たった1人の人間に2秒で瞬殺されてしまうという悪夢を『三日月旅団』に味あわせ、冒険者としての尊厳まで奪ってしまったのです。
ここまでやれば、後は簡単です。
シャンティーさんは、『三日月旅団』に修行をつけるという口実で、ダンジョン内に隔離し、飴と鞭を繰り返し、シャンティーさんに絶対服従するようになるまで、洗脳していったのです」
「それが、何だって言うの?
そんなの普通の事じゃない!
それくらいの事、誰だってやってるわよ!」
シャンティーさんは、完全に開き直ってしまった。
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