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141. 姉妹対決

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「姉上、もう逃げたりしないので、離して下さいなのニャ!」

 ブリトニーが、疲れた目をして剣姫カレンに懇願する。

「ブリトニー、先程から気になっていたんですけど、その語尾に『ニャ』を付ける話し方は、一体何なのですか?」

 カレンが、ブリトニーの首根っこを掴みながら、質問する。

「これは、ご主人様の趣味なのニャ!
 ご主人様は猫耳美少女に、語尾に『ニャ』をつけさせて話させる事に、興奮して喜ぶ変態なのね!
 それに、私だけじゃないニャ!
『シルバーウルフ』の団長も、オナペットにして、語尾に『ワン』をつけさせているのニャ!
 尚且つ、オナペットなので服を着る事さえ許されてないのね!」

 カレンが、ドン引きした顔で、俺の事を見る。

「こんな所に、妹を置いていく事は、できないわ!」

「そうだ! 妹は渡さない!」

 ブリトニーの兄、ブリトーも、何故か腰を引いた前屈みの状態で俺に抗議する。

 すると、王の間をクルクル飛び回っていたブリジアが、カレンとブリトーの前に飛んできた。

「妾は、ご主人様のオナペットのブリジアだワン!
 裸なのは、オナペットの職務としてご主人様を興奮させる為と、裸でいるのが楽だからワン!」

 ブリジアは、ふんぞり返って抗議する。

 しかし、俺へのフォローには全くなってない気がする。

「尚更、ブリトニーをここに居させる訳にはいけません!」

「そうだ! そうだ!」

 ブリトーは、ますます腰を後ろに引き、殆どしゃがんだ状態で抗議している。

 どうやらブリジアの裸を見て、勃起してしまっているようだ。

「姉上! 私もこのニャンニャン語が気に入ってるニャ! 
 それに、ここの生活にも満足しているので、お家に帰る気などないのね!
 ここで、贅沢しまくって、敵を殺しまくって、ご主人様とSEXしまくるのね!」

 今まで静観していたガルムの眉が、ピクリと動く。

 カレンは顔を赤く染めて、剣を抜く。

「ゴトウ·サイト! 貴方を殺して妹の洗脳を解きます!」

「ご主人様には指1本触れさせないワン!」

 いつもなら姫が介入する所だが、今回は静観するようだ。

「チャンスニャ!」

 ブリトニーが、カレンの猫掴みから逃れた。

「私は、絶対にお家には帰らないのニャ!
 姉上だから、本気をださなかったけど、力づくでお家に戻されるというなら、本気を出して抵抗するニャ!」

「僕も許さないぞ!」

 何やら、チンコを勃起させた状態のままのブリトーも叫んでいる。

 そのブリトーの前まで、ブリジアが空中浮遊で飛んでいく。

 ブリトーは股間を押さえて、身動きできない。

 ブリジアは後ろを振り返り、尻尾を上げてお尻を突き出し、その毛の生えてないパイパンのお股を見せつけた。

 ブシュー!!

 ブリトニーの兄、ブリトーは鼻血を盛大に噴出させて、気絶してしまった。

 カレンとブリトニーとガルムは、残念な子をみるような覚めた目つきで、ブリトーを一瞥した。

「姉上! 勝負ニャ!」

「妹の貴方に、姉であり、剣術の師匠でもある私を倒す事ができるのかしら?」

「私は、昔の私じゃないニャ!」

 ブリトニーが鞘から剣を抜いた。

 ブリトニーが剣を抜く所など、最近ではチンコスライスをする時しか見た事がない。

 それ程までに、剣姫カレン·ロマンチックは強敵なのか……

「いくニャ!!」

 ブリトニーが踏みこんだ!

 カキンッ! カキンッ! カキンッ! カキンッ! カキンッ! カキンッ! カキンッ! カキンッ!

 王の間に、剣と剣がぶつかり合う金属音だけが響き渡る。

 全く見えない……

 ハイレベル過ぎて、ついていけない。

「凄いですね! 僕でも目で追うのがやっとです!
 あのスピードで攻撃されたら、手も足もでませんね」

「アンちゃん、見えるの?」

「ハ……ハイ、一応見る事は出来ますが、あのスピードには身体は反応しませんよ」

 見えるだけでも凄いんじゃないのか……

 それにしても、ブリトニーの攻撃は、全て会心の一撃だ。それを普通に受けるとは、剣姫カレン·ロマンチックの攻撃も また会心の一撃という事なのか……

 全く持って、ブリトニーの家族はとんでもない。
 兄ちゃんのブリトーを除いては……

 カキンッ!!

「グッ! 流石は姉上なのね!
 剣の実力では、まだまだ遠く姉上には叶わないのニャ!
 ここからは、私の本当のスタイルでやるのニャ!」

 ブリトニーはハァハァ言いながら剣を構え直した。

「ブリトニー、そろそろ諦めなさい。
 貴方の実力では、剣姫の私には勝てません!」

 ズドドドドーン!!

 ブリトニーが突然、土魔法の弾丸をカレンに、向けて放った。

 カレンは飛び上がる。

 それを狙いブリトニーが斬り掛かる。

 カレンは空中でブリトニーの剣を受け流す。

 ボコッ!!

 カレンがブリトニーの剣を受け流した瞬間、ブリトニーの蹴りがカレンの腹部に、ヒットする。

「クッ! そうでした、貴方は手癖、足癖が悪いのでした。
 折角、貴方が近衛騎士になった時に矯正したのに、暫く見ないうちに元に戻っているなんて。
 しかし、驚きました。
 いつの間にか無詠唱魔法まで使えるようになったのですね!
 私の見立てでは、今のブリトニーを倒す事は、私にはできませんね。
 剣術だけなら、何とかなりますが、体術と魔法まで使われたらお手上げです!
 取り敢えず、今日の所は諦めるとしましょう!」

 まだまだ戦いが続きそうだと思っていたのだが、すんなり片がついたようだ。

 やはり、剣姫ほどの達人になると相手の力量がスグに分かるのかもしれない。

 確かに、ブリトニーは剣術よりステゴロを好む。

 純粋な剣術の戦いより、より実戦的な戦い方をするのだ。

 それは幼い時から、ダンジョンで自分より格上の魔物との肉弾戦をやってきた成果だ。

 剣が折れたから闘えないとか、言ってたらスグに殺されてしまう。

 ある物は何でも使う。そうしないと過酷なダンジョンで、ソロの冒険などできよう筈もないのだ。
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