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137.サイトの休日(2)
しおりを挟むヤンヤンに、「ゴトウ様、何をやってるんですか?」と言われても、俺自身、一体何をやってるのかイマイチ解らない。
しかし、やっとヤンヤンが俺の事に気付いてくれた。
流石は、『犬の尻尾』専属広報といった所か。
先程ぶつかった時に、俺だと全く気付いていなかったので、『犬の尻尾』専属広報を首にしてやろうと思っていたのだが、どうやらヤンヤンは首の皮一枚で、首が繋がったようだ。
「モフウフの街の探索だ!」
改めて、先程のヤンヤンの、「一体何をしてるのですか?」という質問の答えを返した。
「騒がしいな。ん、ゴトウ·サイトか。
丁度良い。話したい事があったのだ。
ここではなんだから、ギルト長室に来てくれ」
モフウフ冒険者ギルド長のマンコーが、エントランスが騒がしかったので、様子を見に来たようだ。
俺は言われたまま。マンコーの可愛らしくプリッとしたお尻を眺めながら、3階にあるギルド長室に着いて行った。
「サイト、漆黒の森正統継承者であるガブリエル·ツェペシュが、モフウフを新しい王都にするという話は、私を通じて冒険者ギルド本部に伝えた。
これにより、世界中にある冒険者ギルドで号外として、この話が伝えられたようだ。
それにより、漆黒の森は戦乱になるだろう。
北の大魔王は、表向き3つの城塞都市しか治めていない事になっているが、実際には、漆黒の森の3分の1の城塞都市を、北の大魔王が支配している。
しかし、漆黒の森正統継承者ガブリエルが立ち上がったとなれば、話は別だ。
漆黒の森の王家に仕えていた者達が、ガブリエルを旗印に集まってくるだろう。
それでだ。
実際に、兄上の所にニャンゴンの城主が連絡を入れて来たらしい。
私の所にも、ケルベロス教の総本山があるイヌヤマから、お前にアポを取り付けてほしいと連絡があった。
知っての通り、ニャンゴンは、ブリトニーの父君が城主をしている。
娘の暮らしぶりを見る次いでに、モフウフに来たいらしい。
イヌヤマの方も、ペロ様がどういう場所に住んでいるか見たいらしいので、こちらもモフウフに来るそうだ。
それで、頼みなのだが、ニャンゴンとイヌヤマにある『ミノ1番』の【聖級結界】と【聖級移転】を少しの間、ニャンゴンとイヌヤマの関係者が通れるように解放して欲しいのだが」
ニャンゴンとイヌヤマが味方になってくれるのは大歓迎だが、ブリトニーの父親には会いたくない。
誰が好き好んで、自分が性奴隷にしている父親と、会いたいというのか。
「ゴトウ·サイト、どうしたのだ?」
マンコー·サンアリが、不思議そうな顔をして、俺の顔を覗いてきた。
この人は何で気付かないのだ?
普通の感覚として、性奴隷にしている相手の父親に会う事など、できる筈がない。
どんな顔をして、顔を合わせれば良いのだ。
マンコーは、長寿命のダークエルフなので、その辺は疎いのか?
ダークエルフにとって、人間の寿命など一瞬だ。
奴隷になったとしても、暫く我慢すれば、人間の方が死んでしまう。
マンコーに、正論を説いても無駄だな……
「分かった。イヌヤマとニャンゴンの【聖級結界】と【聖級移転】を解放しよう。ただし、それぞれ3人限定だ。
ゴトウ族以外の人間が3人だけ通れるようにする」
条件付きで、OKを出した。
「それでは先方に連絡するので、少し時間をもらえるか?
そうだ! ゴトウ·サイト、お使いを頼めるか!
どうせ、暇なのだろう。
用事もないのに、冒険者ギルドでうろついているくらいだからな。」
「や……やはり暇そうに見えたのか……
そうだ、確かに俺は暇を持て余している。
姫やブリトニーがいないと、全く目標がない、ダメニートになってしまうようなのだ……
だから頼まれてやる!
それではマンコー·サンアリ! 俺は何をすれば良いのだ!」
俺は開き直り、マンコーに強気に聞いた。
「ア……アア……
ただ、兄上に先程の話を伝えて欲しいだけなのだが……」
俺が良くわからない強気な態度で、お使いを承諾したので、マンコーは引き気味にお使いの内容を教えてくれた。
「そ……それだけか……」
「ああ……それだけだ……
すまぬな……」
マンコーは申し訳なさそうに返事をした。
ーーー
街の様子を散策しがてら、『ミノ1番』に移動する。
相変わらず、誰も自分に気づかない。
俺はモフウフの支配者なのだぞ……
俺の前に、モフウフの支配者をやっていた牛魔王でさえ、皆に認知されていたのに……
暗い気持ちになりながら歩いていたら、いつの間にかサンアリがいる、『ミノ1番』の社長室の前に到着していた。
トントン!
「どうぞ!」
ガチャ!!
「サンアリ! お使いに来たぞ!」
「これはこれは、ゴトウ殿!
先程、私もゴトウ殿に用事がありましたので、アジトに赴きましたが、お出かけのようでありましたので。
で、お使いとは、マンコーに会ったのですか?」
「そうだ! マンコーに、お前がニャンゴンの件で話があると聞いたので、その要件について俺の見解を話に来た。
先に答えを言うと、3人だけ【聖級結界】と【聖級移転】を通れるようにする」
「ハッ!それで、問題ありません。
ニャンゴンからは、城主のガルム·ロマンチックと息子のブリトー·ロマンチック、ブリトニー様の姉君のカレン·ロマンチックが、モフウフの新王都に来る予定だと申しておりましたので」
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