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78. ざわめく冒険者ギルド
しおりを挟む「ハイハイそうですか……
ドン爺達が好きにするなら、僕も好きにするよ。
せいぜいデーモンちゃん達と、楽しい余生を過ごしてくださいな」
アンちゃんは呆れた顔をして、肩をすくめた。
「勘違いするでないぞい!
あくまでワシらは、姫様の親衛隊じゃぞい!
デーモンちゃんと姫様とでは、比べる対象ではないのじゃぞい。
マロンちゃんはマロンちゃん、姫様は姫様じゃぞい!
両方を両立させる為に、ここで働きながら姫様のお供をする事に決めたのじゃぞい!」
と、ゾイ爺は、あてがわれたデーモンちゃんの胸を揉みながらアンちゃんに熱弁した。
「そう言われてもねぇ……
女の子の胸を揉みながら話している人達の話に、説得力など微塵もないのですけど……
まぁ……僕は関係ないので、お好きにして下さいな」
「アンちゃん、そのへんでいいかな……
取り敢えず、そのエロ爺さん達は、アンちゃんの教育係として接すればいいんだよな。
それより、気になる事があるんだが、ドン爺とかいう人、【鑑定】スキルを持ってるのか?」
「スキルというか、魔眼ですね。
大昔に、元々【鑑定】スキルを持っていた、伝説のドワーフの賢人の目を移植したらしいですよ。
本来の自分の目じゃないから、制限があるみたいですけど」
「ワッハッハッハッ! ゴトウ·サイトよ!
ワシの魔眼が気になるか!
お主の秘密は、全てワシにはお見通しじゃぞ!
お前さんが、元々この世界の住人ではない事とかな。
しかし、この魔眼はお前さんの【鑑定】スキル程の能力は失われておる。
なにせ、片目しか移植できなかったからのう。
それに、こいつを使うには、かなりの量の魔素を持っていかれる。
1日5分使うのが限度じゃわい!
しかし、【鑑定】スキルは特別なスキルじゃ!
なにせ、敵の弱点も全て分かってしまうんじゃからの。
これを持っていた初代ドワーフ王は、西の大陸を平定して、栄華を誇っていたと言われている。
【鑑定】スキルは、探究、研究好きなドワーフ族の固有スキルじゃ!
しかし、1000年に1度出るかでないかのレアスキルじゃ!
それを、ドワーフ族でも無い人間が持っているなど、考えられぬ事なのじゃ!
しかし、流石ワシらが育てあげた姫様じゃ!
やっとの事で見つけられたと思ったら、【鑑定】スキルを持つ、未来の帝王をものにしておったとはな! ワッハッハッハッハッ!」
ドワーフの爺さん達は、デーモンちゃん達とイチャつきながら高笑いをした。
「………」
ーーー
「ゴキ男爵、取り敢えずこの調子で、秘密基地の建設を頼む!
俺は、これから冒険者ギルドに行く」
「御意!」
『妖精のあくび亭』に設置している【聖級移転】を使い、モフウフの町に移動し、冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドの扉を開けると、いつものようにどよめきが起こった。
「『犬の尻尾』が来たぞ!!」
「キャー!! 姫様可愛い!」
「ブリトニーさん! どうか私を踏みつけて下さい!!」
「ア……アンたんは 、今日も優雅な佇まいなのにロリロリだなぁ……僕のお嫁さんになって欲しいなぁ……」
「オイ! 今日の夕方のギルドランキングが発表されるぞ!」
丁度、ランキング発表の時間だったようだ。何位になっているか?
正直、ポイントを計算するのがめんどくさい。
受付のお姉さんが、いつものように、ポイントと順位をメモを見ながら、書き換えていく。
「オッ……オイ見ろよ!
『犬の尻尾』14535ポイントで19位になってるぞ!
昨日が18034ポイントだったのに、一気に10000ポイント以上も稼いでいるぞ! どんなスピードだよ!」
「やはり、始まりの魔女の弟子というのは伊達じゃないな。
それに、我らの姫様やケルベロス様もいる。
それからあのドワーフ娘、ドワーフ王ドラクエルの娘らしいぞ!
最近、ドワーフの爺さん達が、ここで「姫様はどこじゃ!」と、騒いでたからな……」
「な……なんてパーティーなんだ……
姫様が2人もいるなんて、羨ましいぞ!
間違いなくここ数年で、色んな意味でもナンバーワンのルーキー達だ!」
冒険者ギルドの中が盛り上がっているが、いつもの事なので無視して、コアを換金してもらう為に受付カウンターに向かう。
受付にはいつもの失禁娘が、待ち構えている。
「換金お願いな!」
「ハイ! この『犬の尻尾』専門受付のヤンヤンにお任せ下さい!」
「あ…あ……」
「ところで、凄いですね!
未攻略ダンジョンの攻略を始めてからたった2日で、19位に入るなんて聞いた事ないです!
それも、A級ギルドの状態のままで、ギルドランキングが19位なんて益々聞いた事ないですよ!
ほとんどの上位ギルドは、SSランク以上のダンジョンに潜っていますからね!
A級やS級の未攻略ダンジョンを細々やるより、SS以上のダンジョンを攻略した方が一気にポイントを稼げますからね!
A級ギルドの状態のままだと、S級のダンジョンまでしか入れないから不便じゃないですか?」
そ…そうだったのか……
次はSSダンジョンに入ろうと思ってたのだが、A級ギルドでは入れないと言う事か……
「オイ! お前! S級ギルドになるには、どうすればいいんだ!」
「お前じゃないです!
ヤンヤンですよぉ! 覚えてくださいね!
S級ギルドになる条件ですけど、『犬の尻尾』はその条件を既に満たしています。ギルドポイントを1年間で1000ポイント稼ぐ事ができるギルドは、申請をすればいつでもS級ギルドになれますよ!」
「おおー! そうか!
なら、早速にS級ギルドにしてくれ!」
「えーと、その前に冒険者ブレスレットの等級を変えましょう。
多分、ゴトウ様達は、既にA級冒険者ではない筈ですので。
姫様など、魔王なのにA級冒険者だなんて、かなりおかしいです。魔王はS級以上しか存在しません!
取り敢えず、どれくらいのレベルが調べる為に、この石版にブレスレットをかざして下さい!」
言われるまま、カウンターの上に置いてある石版の上に、ブレスレットをかざした。
「ウエェェェェ……!!
な……なんですか?! これは!」
ヤンヤンという受付嬢の悲鳴で、冒険者ギルド内にいる人の目が、カウンターに注目した。
「ゴ……ゴトウさん……
大魔王になってますよ……
前に見た時は、確かに違ったのに……
こんな短期間で大魔王になるなんて……
大魔王になるには、最低2人以上の魔王を配下にしないとなれないんですよ……
た……確かに、姫様は魔王ですけど……後1人はやはり、牛魔王……」
冒険者ギルドが、ざわめき立つ。
分かっていたけど、やはりこうなるか……
「オイオイ! 勘違いしないでくれよ。
俺は牛魔王など配下にしてないぞ!
オイ! ブリトニー、お前も石版にブレスレットをかざせ!」
「はいニャ!」
ブリトニーが石版にブレスレットをかざす。
「エェェェェェェ………!!
こ……今度は、魔王、剣王、拳王?!
魔王だけでも凄いのに、さらにレアな、剣王と、拳王?
ブリトニーさん……既に最強の一角に片足突っ込んでるんじゃないんですかぁ?」
更に冒険者ギルドが、ざわめき立つ。
「オイオイオイ……
あの猫耳族の嬢ちゃん……そんなに凄い子だったのか……俺はエロ担当の性奴隷だと思ってたぞ……
性奴隷なのに魔王で剣王で拳王だと……
デタラメだろ!
今まで、姫様とゴトウ·サイトがあまりに強烈だったので目立たなかったが、あの娘も規格外の化物だったのか……」
みんなブリトニーのステータスを知って冷や汗を垂らしているようだ。
「これで魔王2人を配下にしてる事になるな!
だから言っただろ!
牛魔王は配下にしてない。
ただの友達だって!」
「ハハハハ……
最早、笑うしかないです。
牛魔王を配下にするより、剣王、拳王を配下にするほうが、もっと凄いですよ」
ヤンヤンの顔が青ざめていた。
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