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35. 剣豪ブリトニー·ゴトウ·ロマンチック

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「次は、92階層下り階段フロアーを封鎖するぞ!」

 92階層上り階段フロアーを出て、すぐ目の前にある牛魔王が作った92階層ショートカット転移装置を使って、92階層下り階段フロアーの扉の前に移動した。

 先程と同じように、階段フロアーに張られている上級結界と、階段の移転装置を破壊した。

「これで92階層には、ゴトウ族しか侵入出来ないようになったな。」

「ハイなのです!」

「ハイニャ!」

「ワン!」

 92階層封鎖の作業が終わったので、今後の方針を話さないといけないな。

「『カワウソの牙』のメンバーは、いつものようにミノタウロスを狩り続けてくれ。
 俺たちは一日1回、朝9時頃にミノタウロスの肉の回収にくる。
 牛魔王と何らかの話し合いか、戦いが終わるまでは、何があるかわらないので92階層の階段フロアーで生活してくれ!

 俺が92階層に新たに張った結界は、今まで決して破る事ができなかった、始まりの魔女の結界だ!
 牛魔王が怒って92階層に攻めて来ようとも、絶対に92階層に侵入できない筈だ!
 緊急で何か困った事があれば、【影渡り】を使って俺の所に直接報告しろ!
 以上だ!」

「イエス!  マイロード!」

『カワウソの牙』のメンバーが揃って返事をした。

 92階層問題はひとまず解決したな。
 これで俺自身が何もしないでも、永遠にお金を稼ぐシステムが完成した訳だ。
 それから気になるのは、ゴキ男爵の職業のダンジョンマスターの件だな。
 ダンジョンマスターは、各階層のボスを決めれると言っていた。
 各階層のボスをミノタウロスにしたら、もっと儲かりそうだ。


「おい! ゴキ男爵出て来い!」

 ブリトニーの影から、ゴキ男爵がヌッと現れた

「キモいのニャ!」

 ブリトニーが穢らわしい者を見るような目をしてゴキ男爵を睨んでいる。

「お呼びでしょうか。
 マイロード。」

「確か、お前の職業ダンジョンマスターだったよな!
 ここのダンジョンの、ダンジョンマスターになれるのか?」

「私は元々この第93ダンジョンのダンジョンマスターだったので、もう一度ダンジョンマスターになる事はできます。
 しかし、今のダンジョンマスターを倒さないとなる事はできません。」

「今のダンジョンマスターを倒す事は可能か?」

「簡単です。私は爵位持ちのデーモンです。ただのデーモンなど、赤子を捻る程度ですな。」

「お前がこのダンジョンのダンジョンマスターになれば、全ての階層にミノタウロスを配置する事は可能か?」

「全ての階層にミノタウロスを配置するのは、難しいです。
 階層に漂う魔素濃度の関係で、強いモンスターは、下の階層でしか産まれません。
 92階層から下の階層なら、全てのモンスターをミノタウロスにする事ができますな」

「それでは、ゴキ男爵!
 今からこのダンジョンのボスを倒してこい!」

「御意!」

 ゴキ男爵は自分の影に溶けていく。

「ちょっと待て!」

「なんでしょうか?
 グラントマスター?」

「やはり、ボスは俺が倒す!
 今からボス部屋に行って待っていろ!」

「御意!」

 ゴキ男爵は影の中に消えた。

「消えたという事は、もうゴキ男爵は最下層のボス部屋に着いてるな。」

「俺達も行くぞ!」

「ハイなのです!」

「ハイニャ!」

「ワン!」

 ーーー

 一番最後に影渡りをすると、すでにラスボスが命乞いをしていた。

「お許し下さい!
 どうか、命だけは勘弁してください!」

 ラスボスは泣きながら土下座している。

「グラントマスター。お待ちしていました。
 全ての準備はできております。
 どうぞ、トドメをさしてください。」

「大魔王様! どうか! どうか!
 ご慈悲を! 助けてくだされば、永遠の忠誠を誓います!」

 やりにくい……
 ここまで下手に出られると倒しにくい……

 ゴキ男爵もそうだったが、自分より強い者が現れるとスグに命乞いするのは、デーモン族の習性なのか?
 しかし、俺はダンジョンマスターのスキルが欲しい。

 スキルすっぽんソードで倒さないと、ダンジョンマスターの職業をスキルにできないからな……

 殺るしかないな。

【一撃】を放つ為にスキルすっぽんソードの鞘を握った。

「お願いします!
 殺さないで!  なんでもしますから!」

「お前、うるさいニャ!
 黙って、ご主人様に殺されろ!」

 ブリトニー……なんて残酷なんだ……

 やはり、俺には殺せない……

 他のダンジョンのボスを倒そう。

 デーモンはヘタレすぎて、倒しにくい。

 冒険者試験でデーモンが使われてるのは、強い割に捕まえやすいからか……

 普通、強いモンスターを無傷で捕らえるの難しそうだからな……

「分かった。殺さないでおく。
 その代わり、俺に永遠の忠誠を誓え!」

「ハハー!
 私は、貴方に永遠の忠誠を誓います!」

 デーモンは、ゴキブリの様に四つん這いで頭を下げながらシャカシャカ近づいてきて、俺の足にキスをした。

「お前、名前はなんて言うんだ?」

「ハッ! デーモンで御座います!」

「デーモンの名前は、みんなデーモンなのか……
 姫。名前を付けてやれ!」

「ハイなのです! ゴキAなどいかがでしょうか?」

 早ッ!!   相変わらず即答かよ!
 まっ。デーモンの名前なんて何でもいいか。

「そしたらお前は、今からゴキAだ!
 ここのダンジョンのダンジョンマスターの地位は、ゴキ男爵に明け渡せ!
 そしてお前は、これからはゴキ男爵の指示に従え!」

「ハハー! イエス!  マイロード!」

「ゴキ男爵!  92階層から下の階層全てのモンスターをミノタウロスに変えろ!」

「グラントマスター! 
 恐れながら、各階層の下りの階段フロアーの上級結界を解除してくれませんか?」

「何故だ?」

「各階層のボス部屋は、元々下りの階段フロアーなのです。
 そこに冒険者ギルドが結界を貼り、各階層のボスが出現できない仕組みにしているのです。
 唯一ボスが出現するのは、最下層の階段が無いラスボスの部屋だけになっています。
 下り階段フロアーの結界を解除して下されば、すぐにでもミノタウロスのボスを任命できます」

 困ったな、既に4回【一撃】を使っているので、後1回しか【一撃】を使えないぞ。

 確か、ブリトニーに【一撃】のスキルを与えてたな。

 ブリトニーは何回【一撃】が使えるんだ?

 ブリトニーを【鑑定】して見るか。


 ギルド『犬の尻尾』
 ブリトニー·ゴトウ·ロマンチック
 剣豪lv.10、大賢者lv.3、性奴隷lv.5
 スキル;経験値2倍、咆哮、必ずイカせる、お掃除、入門魔法全書、闘気、一撃、恫喝、調教、影渡り、斬撃波

 ブリトニーが剣豪になってるぞ!!
【闘気】と【一撃】のスキルを与えていたからか?
 しかもlv.10だと!
 俺よりもレベルが高いじゃないか!
 騎士と獣戦士の職業が無くなってる。
 剣豪の職業に統合されたという事か。
 新しく、斬撃波のスキルを覚えてるな。
 斬撃を飛ばせれるのか?
 これは間違いなくカッコいいぞ!

「ブリトニー。
 お前は剣豪になったようだ。
 新しく【斬撃波】というスキルが使えるはずだ」

「へ?なんで?私は何もしてないのニャ?
 また、ご主人様の力なのかニャ?」

「まあ、そんな所だな!」


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