上 下
13 / 286

13. 城塞都市モフウフ

しおりを挟む
 
「ここから1番近い冒険者ギルドは、漆黒の森の城にありますが、さすがに戻れませんので、その次に近い漆黒の森で第3の都市モフウフに行きますニャ!」

「漆黒の森は、北から来た大魔王が今は支配してるんじゃないのか?」

「全く問題ないですニャ!
 南の大陸は群雄割拠です。
 漆黒の森の中のそれぞれの都市にはそれぞれ違う魔王や、王が治めていますニャ!
 ただ単に、漆黒の森の王城がある都の王が漆黒の森の盟主なのは間違いないのですが、それほど権限はないですニャ!」

「そんなもんなの?」

「そんなもんですニャ!
 南の大陸一帯はダンジョンだらけなので、他の大陸からも凄腕の冒険者達がわんさか集まっています。
 魔王や大魔王が治めている大きい町や国には必ず冒険者ギルドがありますニャ!
 冒険者ギルドは魔王や大魔王が悪さをしたとしても、ある程度は許容しますが、あまりに残虐非道の事をしたり支配地域を広げすぎると、冒険者ギルトが冒険者に魔王駆除依頼をかけますニャ!」

「ふーん。という事は、北から来たという大魔王もこれ以上勢力を伸ばすと冒険者ギルドが動くって事ね!」

「その通りですニャ!」

 ふむふむ。やはり中庸が大事って事だな。

「モフウフまでどれくらいかかるんだ!」

「何もなければ、歩きで3時間位で着くと思いますニャ!
 しかし、モンスターを倒しながらだと5時間位はかかると思われますニャ!」

「それは、まずいな。
 俺はlv.2になった事により【一撃】が1日2回使えるようになったが、既に1回使っている為、あと1回しか【一撃】が使えない。
 MPもそれ程早く回復しないのでモンスターと遭遇したら殺られてしまう」

「大丈夫ですニャ!
 ご主人様と姫様はブリトニーが護りますニャ!剣さえ持っていれば、この辺りの魔物だったら大体なんとかなりますニャ!」

 これ程MPが回復するのが遅いのだったら、初期設定の時にボーナスポイントで能力値を上げておけば良かったと思いながら、自分と自分の種族の攻撃力と最大HPとMPをチェックしてみた。

 《ゴトウ族》
 ゴトウ サイト
 攻撃力    30
 最大HP  50
 最大MP  35

 ブリトニー·ゴトウ·ロマンチック
 攻撃力   520
 最大HP  650
 最大MP  150

 ガブリエル·ゴトウ·ツェペシュ
 攻撃力  45
 最大 HP  60
 最大 MP 8500

 ブリトニーには負けると思っていたが、まだ3歳の姫にも全ての数値で負けるとは……

 俺はスキルが使えなかったら最弱だ……

 それにしても姫のMPはなんだ?

 飛び抜けているが……

 この世界では普通の事なのか?

「姫のMPが異常に高い気がするがこれは普通の事なのか?」

「魔素総量の事ですかニャ?
 姫様は特別でございますニャ!
 エルフ族は元々魔素総量が多い種族なのですが姫様はその中でもダントツに魔素総量が多いのです…ですが……」

「ですが…?」

「マスター!私は不器用すぎて魔法が使えないのです。
 ダークエルフは闇の召喚魔法が普通は得意なはずなのですけど、私は魔物に嫌われているみたいで、だれにも契約してもらえないのです。」

「そ…そうか……
 悪い事を聞いたな。
 でも大丈夫だ!
 姫が魔法を使えなかったとしても俺が守ってやる。
 だから、いつまでも俺のそばにいろ!」

「は…ハイなのです!マスター!」

 姫が赤い顔をして俺の顔を見つめてきた。

 幼女に見つめられて緊張するとは……

 俺は照れ隠しに姫の頭をぐるぐる撫で回した。

 ーーー


 モフウフに着いた。

 途中2度程モンスターと遭遇したが、ブリトニーが難なく倒した。

 俺と姫は何もしていないが、俺は剣豪と大賢者がlv.3になった。

 パーティー内の誰か1人が敵を倒したとしても経験値はパーティーに所属している全ての人に行き渡るシステムか。

 姫は奴隷lv.4になり、スキル【お掃除】を取得した。

 多分、掃除が上手くできるようになるのだろう……

 モフウフは、城塞都市だ。

 ブリトニーの話では、南の大陸の都市は大体 城塞都市だという事だ。

 何故かというとダンジョンが多い為、モンスターがダンジョンから溢れて、町を襲うらしい。

 街を壁で覆わないとオチオチ眠る事もできないのだ。

 その為、殆どの都市は、魔王や大魔王、王が統治、防衛を担っているのだ。

 都市に住む人々はその為、ある程度は魔王達に自由を与える。

 しかし魔王が都市の人々に危害を与えた場合は、即座にギルドが動き有無を言わさず魔王は滅ぼされるのだ。

 まさに中庸サイクル。

 モフウフは6メートル程の壁に覆われた城塞都市である。

 南の大陸の都市は大体同じ作りで、冒険者ギルドと協会は中心にあり、そこから放射線状に十字に大通りがある。

 正面の大門から近い右下のブロックは商店や宿屋がある商業区、左下は貧民街、左上は自由民が住む住宅地、右上が、そこの都市を治めている魔王や大魔王、王の部下が住んでいる、貴族街。
 右上奥の壁際に王城があるという造りだ。

 Aクラス以上の冒険者は検問をフリーパスでどこの街にも入る事ができる。

 ブリトニーがAクラスの冒険者なので検問を受けずに入城する事ができた。

「ご主人様!まず使わない武器や防具を売ってしまいましょう!ニャ」

「俺はこの世界の事が何も分からないのでブリトニーに任せる」

 ブリトニーは連れられて商店が建ち並ぶ区間の方に入って行ったが、文字が分からない。

 異世界あるあるだ。

 でも俺は大丈夫。アイコンが出てるので、何屋さんか日本語表記されている。

 ブリトニーは防具屋さんを見つけて入って行った。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

18禁乙女ゲーム…ハードだ(色んな意味で)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:2,813

秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:4,830

トラック野郎親父の雌堕

BL / 完結 24h.ポイント:404pt お気に入り:86

度を越えたシスコン共は花嫁をチェンジする

恋愛 / 完結 24h.ポイント:404pt お気に入り:1,951

前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:198

転生令嬢は庶民の味に飢えている

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,825pt お気に入り:13,926

処理中です...