上 下
7 / 11

7. 去勢

しおりを挟む
 
「カイト! 【魔力操作】lv.5まで上がったよ!」

 ニコが嬉しそうに、俺に報告してくる。
 ニコとマリーが【魔力操作】の特訓を初めてから丁度30分。
 俺の魔力の色付け魔法が解けたのだ。

「順調でちゅね! この調子で頑張るのでちゅ!
 ここからは、中々レベルが上がらなくなるので、地道に熟練度を上げるのでちゅ!」

「てっ! カイト先生。これは、どういう状況?」

 俺の話をウンウン聞いていたニコは、俺の後ろに雑然と積まれた狼の死骸の山に気付き、釘付けになっている。

「アッ! これはでちゅね、ニコとマリーの特訓の邪魔をしようとしたので、僕ちゃんが、片付けておいたのでちゅよ!」

「カイトちゃん、片付けたって、こいつら餓狼族だよ。
 ゴブリンにとっては、不倶戴天の敵と言っても過言じゃない奴らよ!」

 マリーが、俺に餓狼属について教えてくれる。

「そんな話、聞いた事なかったでちゅ!
 餓狼族は、ゴブリンの天敵なのでちゅか?」

「天敵というか、ナワバリが隣り同士だから、いつも牽制しあってるって感じかな?」

「そうだったんでちゅか!
 でも、やっつけたんで、今日の夕飯は餓狼族のステーキでちゅ!」

「ヤッター!」

 ニコが飛び跳ねて喜んでいる。

「でもカイトちゃん、折角たくさん仕留めたのに、殆ど捨てないといけないのは、もったいないね……」

「本当だよ。折角カイト先生が仕留めたのに、穴ぐらには持ってけないもんね!
 これを穴ぐらに持ってたら、カイト先生の本当の実力がバレちゃうもんね!」

 マリーとニコは、既に俺の実力を理解しているようだ。

 まあ、俺が教えた有り得ない威力の水魔法を自分自身で発動させた時点で、俺が只者では無いと、流石に気付いたのであろう。

「大丈夫なのでちゅ! 今日、僕ちゃんも魔法を解禁したので、インペントリが使えるようになったんでちゅ!」

「インペントリ?」

 マリーが、俺の言葉を繰り返す。

「インペントリは、物を仕舞う魔法なのでちゅ!
 物の出し入れには少し魔力を使いまちゅが、その代わり、無制限に物を仕舞えるのでちゅ!
 それに、インペントリの中は、時間が止まっているので、物を入れた状態の鮮度のまま保管できるんでちゅよ!」

「よく分からないけど、凄い魔法なんだね! カイト先生は本当に凄いよ!
 カイト先生の凄さを実感する度に、私の子宮が疼くのは、何でなのかな?」

「ニコちゃんも? 私もカイトちゃんを見てると、いつも子宮が疼くんだよね」

 何故かニコとマリーがおかしな事を言っている。

 10ヶ月の赤ん坊に、子宮が疼くとかおかし過ぎるだろ!
 この二人は、俺が大人になったらどうなるのだ?
 やはり、基本はゴブリンなので異性を犯したい衝動が止められないのか?

 今までは、雄ゴブリン達に貶められて自信を無くしていたようだが、ボブゴブリンに種族変更して超絶美少女になった事で、自信が出てきたのか?

 というか、マリーとニコが森を出て、イケメンの人間の男性と会ったら、逆レイプしてしまうんじゃないのか……

 マリーとニコに犯された人間の男は、嬉しいだけだと思うが……

 これは不味い、不味いぞ!

 マリーとニコは、俺だけの物だ!
 誰にも渡さない!

 今の内に、手を打っておかねば。

 俺はマリーとニコのステータスを確認する。

 名前:マリー
 種族:ボブゴブリンメイジ(雌)lv.1
 スキル:人語lv.10、子育てlv.12、魔力操作lv.5
 HP:85
 MP:110
 特技:子育て
 趣味:カイト·シルフィードに夢中。人語

 名前:ニコ
 種族:ボブゴブリンメイジ(雌)lv.1
 スキル:人語lv.10、子育てlv.12、魔力操作lv.5
 HP:85
 MP:110
 特技:子育て
 趣味:カイト·シルフィードに夢中。人語

 種族が、ボブゴブリンメイジになっている。
 魔法が使える様になったからだな。
 MPの数値も少し上がっている。
 それからニコの趣味欄が、カイト·シルフィードに興味から、夢中に変わっている。

 というか、俺が書き加えた、趣味欄の人語は、もう必要ないな。
 二人とも既に、人語ペラペラだし。

 趣味欄から人語を消して、『カイト·シルフィードに夢中』って所に、【鑑定書き換え】で、『だけ』を書き加えれば、『カイト·シルフィードにだけ夢中』になり、他の男には興味が無くなるというか、欲情しなくなる筈だ。

 名前:マリー
 種族:ボブゴブリンメイジ(雌)lv.1
 スキル:人語lv.10、子育てlv.12、魔力操作lv.5
 HP:85
 MP:110
 特技:子育て
 趣味:カイト·シルフィードだけに夢中。

 名前:ニコ
 種族:ボブゴブリンメイジ(雌)lv.1
 スキル:人語lv.10、子育てlv.12、魔力操作lv.5
 HP:85
 MP:110
 特技:子育て
 趣味:カイト·シルフィードだけに夢中。

 これでいい。
【鑑定書き換え】かなり使えるスキルだ。

 今は、趣味欄の書き換えと、書き加えが、5文字づつ可能だが、【鑑定書き換え】の熟練度をもっと上げて行けば、特技欄や、もしかしたら種族欄やスキル欄とかもイジれるようになるかもしれない。

 これはマリーとニコを、もっともっと【鑑定】せねばならないな!
 嫌な奴を【鑑定】し続けるのはキツイが、マリーとニコだったらいくらでも【鑑定】できる。
 ただ、マリーとニコの事を知りたいと考えてるだけで、【鑑定】の熟練度が上がるのだ。
 俺にとっては、こんなのご褒美と一緒だ。

 俺はマリーとニコが好きだ。
 好き過ぎて独占したい。
 そして【鑑定】すればする程、俺の【鑑定書き換え】の熟練度が上がる。

 すると、どうだろう。
 大人になって、2人とエロいプレイをするようになった時、俺の口から頼む事が恥ずかしいような事を、趣味欄に書き込んでしまえば、相手の方からそのプレイを求めてくれるようになるのだ。

 フフフフフ、俄然ヤル気が出てくる。
 ガンガン、マリーとニコを【鑑定】しまくってやる!

「カイトちゃん、どうしちゃったの?」
 マリーとニコが、心配して俺の様子を見ている。

 どうやら妄想しすぎて、暫くの間トリップしていたようだ。

「マリーとニコは、僕の事好きでちゅか?」

「勿論! 私はカイト先生だけが大好きだよ!」

「私もカイトちゃんだけが好きよ。
 他の人なんか、全く興味が湧かないもん!」

 ニコとマリーに、しっかり【鑑定書き換え】の効果が、発揮されてるようだ。
 二人とも、しっかり『だけ』と言葉に入れている。

 フフフフフ、これでマリーとニコを他の男に取られる事は、無くなった!

 すこし狡い気がするが、二人にはゴブリンの血が流れている。
 雄ゴブリンが美女を好んで犯すように、将来的に、マリーとニコもイケメンを犯したい衝動を抑えられなくなる筈なのだ。

 これは一種の去勢だ。

 俺は二人をその内、人間界で暮らせる様にさせたい。
 それなのに、二人が人間の男に欲情しまくって、雄ゴブリンのように所構わず犯しまくったら、人間界では暮らせなくなってしまうのだ。

 俺が、マリーとニコにやった事は仕方が無い事だったのだと、自分自身に言い聞かせる。

 昔の俺なら、絶対にスキルに頼らないで何とかしようとしただろう。
 しかし俺は、前世に仲間に裏切られて殺された。

 いくら二人が、俺の事を慕ってくれていても、『突然裏切られるかも?』
 という思いが、どうしても心の奥底に引っ掛かり、その為の保健を掛けて置かないと、不安で不安で仕方が無いのだ。

 俺も弱くなったものだな……

「カイト先生、もうお昼だよ!
 今日は、私のオッパイ飲んでよ!」

 ニコが俺を抱き上げる。

「ニコちゃん、今日の当番は私だよ!
 抜け駆けはダメだよ!
 喧嘩しないように、順番でカイトちゃんに、オッパイあげるって決めたじゃない!」

 マリーが俺を、ニコから奪い返す。

「ウゥ……マリー、ゴメン……
 カイト先生に今日はたくさん教えて貰ったから、テンションが上がり過ぎちゃってたんだよぉ……
 だって、今、私に出来る事といったら、カイト先生にオッパイあげる事だけだもん!」

 なんていい子達なんだ。
 俺は、心から思う事が出来る。
 マリーとニコの為なら、何だって出来る。
 俺は既に、マリーとニコにたくさんのものを与えてもらっているのだ!

 マリーとニコを傷付ける奴らは、誰も許さない。

 マリーとニコを傷付つけた雄ゴブリン達は、必ず俺が殺す。

 もしも、俺達が町に出て、人間にマリーとニコが傷付けられたら、俺は躊躇なくその人間を虐殺するだろう。

 それ程 俺は、マリーとニコに依存しているのだ。

 今だって、俺は凄い魔法が使えるようになったが、二人とはぐれてしまったらゴブリンの巣穴に帰れなくなってしまう。

 何せ俺は、まだハイハイしか出来ない赤ちゃんなのだから。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜

MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった お詫びということで沢山の チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。 自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません 俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。 本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。 幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。 そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。 彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。 それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』 今度もまた年上ヒロインです。 セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。 カクヨムにも投稿中です

処理中です...