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2. 人語を喋る、雌ゴブリン

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 俺はひたすら、目の前にいる雌ゴブリンを【鑑定】し続ける。

 一人の人物というか、一匹のゴブリンを、これ程迄【鑑定】し続けた事など記憶に無い。

 俺は雌ゴブリンのオッパイを吸いつつ、ひたすら【鑑定】を続ける。

 雌ゴブリンは、どうやら雄ゴブリンと同じく毎日が発情期らしく、赤ちゃんを見るとお乳が出るようだ。

 ここにいる雌ゴブリンは、二匹とも体のラインが崩れていない。
 二人共子供を産んでいない証拠だ。

 雌ゴブリンは、子供を産まないと言われているが、もしかしたら単に、ゴブリン同士で交尾しないから子供を産まないだけかもしれない。

 [【鑑定】スキルの熟練度が上がり、lv.2になりました]

 雌ゴブリンを【鑑定】する為に、ひたすら雌ゴブリンの事だけを考えていたら、突然、神の声が聞こえてきた。
 スキルは神の祝福と言われており、スキルが上がる時に聞こえる声は、神の声と言われている。

 前世で、【鑑定】スキルのレベル上げの時は、色々な物を【鑑定】しまくり熟練度を上げたのだが、どうやら1つの物を【鑑定】し続けるだけでも、問題なく熟練度は上がるようだ。

 目の前にいる雌ゴブリンをもう一度【鑑定】してみる。

【鑑定】すると、その【鑑定】している対象の前に半透明の文字が現れ、そこに鑑定結果が書かれている。

 種族:ゴブリン(雌)lv.5

【鑑定】lv.2になった事で、雌ゴブリンのレベルが分かるようになった。

 俺はこれ程までに、一匹の雌ゴブリンの事を考えた事がなかった。
 普通、【鑑定】をする場合、その対象を【鑑定】しようと考えるだけで、自然と【鑑定】できてしまう。
 しかし、その対象が一つの場合、ひたすらその対象の事を知ろうと考えなくては、【鑑定】画面が消えてしまうのだ。

 その【鑑定】画面を消さないで熟練度を上げる為には、ひたすらその対象の事を考え続けないといけない。

 そして俺は、雌ゴブリンの事だけを、ひたすら3時間も考え続け、レベルが1つ上がったという訳だ。

 そしてこの時、ずっとゴブリンを観察するだけなのは辛いので、栄養補給をしながら【鑑定】をする事を思いついた。
 しかし、ここで問題が発生する。

 雌ゴブリンは、子供達に順番でオッパイを与えていたのだが、俺は雌ゴブリンを独占したい。
 その為、俺は少し狡い方法を思いついたのだ。

 雌ゴブリンは交尾したくても、雄ゴブリンに相手にされない為、ひたすらモンモンとしている。

 そこで俺の出番だ。
 俺はこう見えても、賢者をやっていた時は、それなりに女遊びをしてきた。
 冒険者は、宵越しのお金は持たない。
 俺も冒険者として稼いだお金は、装備と飲み代、そして女で使い切ってきた。

 その女遊びで培ってきたテクニックを、男を知らない雌ゴブリンに使ってやったのだ。

 するとどうだろう。

 雌ゴブリンは、俺を離そうとはしなくなったのだ。

 俺の超絶テクで、雌ゴブリンの乳首を舌で転がしてやると、ハァハァ言いながら、俺を少しだけキツめに抱きしめてきた。

 この雌ゴブリンは、俺をヤリ部屋から救ってくれてから、僅か15分程で、俺の舌テクで完全に俺の虜になってしまったのだ。

 思えば、この雌ゴブリンも可哀想なものだ。

 雌ゴブリンは、普通のゴブリンに比べ顔立ちは整っているのだが、やはり人間の女と比べてしまえば、容姿が完全に劣っている。

 俺はひたすら雌ゴブリンを観察し続け、気付いた事がある。
 雌ゴブリンは、俺にオッパイを吸われながらも、隣のヤリ部屋でSEXしまくっている雄ゴブリンの様子を、物欲しそうに見続けているのだ。

 その顔には、自分もその輪に加わりたいという思いが、アリアリと見受けられるのだ。

 俺はこの雌ゴブリンを【鑑定】し続けた弊害か、少しだけ雌ゴブリンを応援したくなってしまったようである。

 ーーー

 1週間が経った。

 何故 薄暗い穴ぐらで、1週間経ったと分かるかと言うと、毎日、決まった時間に、このゴブリンの巣穴のボスであろうゴブリンチャンピオンが、人間の女を犯しにやってくるのだ。

 俺はその間も、【鑑定】、オッパイ、睡眠のサイクルを繰り返しやり続け、オレの【鑑定】の熟練度も、順調に進み、今では【鑑定】lv.14になっている。
 ここまでいくと雌ゴブリンのステータスは、こんな感じに見えている。

 種族:ゴブリン(雌)lv.5
 スキル:人語lv.2.子育てlv.8
 HP:25
 MP:35
 特技:子育て。
 趣味:今はカイト·シルフィードに夢中。

 カイト·シルフィードというのは、俺の名前で、どうやらこの雌ゴブリンは、俺の舌技に夢中のようだ。

 まあ男として、例えゴブリンだったとしても女性に夢中と言われるのは嬉しいものだ。
 雄のゴブリンは醜悪だが、雌ゴブリンは、ギリギリ許容範囲になってきた。

 人間誰しも、自分に好意を持ってくれる人に対して、優しくなってしまうものなのだ。

 それに1週間も、この雌ゴブリンだけの事を考えてきたのだ。
【鑑定】の熟練度を上げる目的であったとしても色々考えてしまうものだ。

 俺は孤児だったので、前世での母親の顔は覚えていない。

 唯一 お母さんと言えたのは、ヤリ部屋で俺を産み落とした女だけなのだが、俺が産まれてすぐ死んでしまったので、こちらもあまりよく覚えていない。

 とすると、毎日、俺にオッパイを与えてくれている雌ゴブリンが、俺の母親と言えるのではないかとか、余計な事を考えてしまうのだ。

 俺は正直、一人立ち出来るようになったら、このゴブリンの巣穴を焼き払って、ゴブリン全員皆殺しにしてやろうと思っていたのだが、この俺を育ててくれている雌ゴブリンだけは、助けてやろうと思うようになってきている。

 雄ゴブリンは、村の女を襲うので生かせておけないが、雌ゴブリンはそれほど害は無い。

 これもギブアンドテイクだ。
 この雌ゴブリンは、俺を育てる事によって、何年後かに命が助かる。
 今は、そう考えるようにしよう。

 [【鑑定】スキルの熟練度が上がりlv.15になりました。
【鑑定】派生スキル【鑑定書き換え】を覚えました。]

 頭の中で神の声が響いた。

 何だ……【鑑定書き換え】だと?
 何やら、凄そうなスキルを覚えたようだ。

 前世では、【鑑定】スキルは、カンストのlv.20に達していたが、派生スキルは発現しなかった。
 もしかしたら、同じ人物だけをひたすら1週間【鑑定】し続けた事により発現した、新たに発見されたスキルかもしれない。

【鑑定書き換え】スキルを【鑑定】で調べてみる。

 [【鑑定】スキルで、同じモノを【鑑定】し続けると取得するスキル。
【鑑定書き換え】lv.1で、趣味欄を1文字書き換えできる。
【鑑定書き換え】lv.2で、趣味欄を2文字書き換えできる。
【鑑定書き換え】lv.3で、趣味欄を3文字書き換えができる。]

 この【鑑定書き換え】スキルは、もしかして物凄いスキルじゃないのか?
 今は趣味欄を1文字しか書き換えられないので、使い道がないが、レベルが上がれば色々出来るようになる筈だ!

 兎に角、今は【鑑定書き換え】のレベル上げが最重要課題だ。
 雌ゴブリンを【鑑定】しまくって、【鑑定書き換え】のレベルを上げてやるぞ!

 ーーー

 7ヶ月が経過した。

【鑑定書き換え】スキルはlv.5迄が、趣味欄の書き換えだったが、lv.6からは趣味欄の文字追加ができるようになった。

 俺は7ヶ月目に【鑑定書き換え】lv.7に達した時、2人いる雌ゴブリンの趣味欄に、人語を追加してみた。

 それから3ヶ月経ち、カイトが産まれてから10ヶ月後。

「カイトチャン、ワタシニモナマエツケテ!」
 二匹の雌ゴブリンは俺の想像を超え、たった3ヶ月で、ある程度の人語をマスターしたのであった。

「そうでちゃね、君の名前は、マリーにしまちゅ!」
 俺は俺の母親代わりをしてくれていた雌ゴブリンをマリーと名付けた。
 それから、俺が赤ちゃん語なのは、気にしないで欲しい。

「ワタシハ!」

「君は、そうでちゅね……
 笑顔が素敵でちゅから、ニコなんてどうでちょうか?」

「ソレイイ!」

 もう1匹の雌ゴブリンの名前は、ニコに決定した。

 2匹の雌ゴブリンは、元々人語スキルを持っていたので、人語を覚えるのが滅茶苦茶早かった。

 多分、毎日、ゴブリン達のエロい営みを見ていたからだろう。

 言葉はエロと絡めると、覚えが早いと聞いた事があったが、この2匹の雌ゴブリン、マリーとニコが証明してくれたようだ。

 これで、ゴブリン語が話せなかった俺は、雌ゴブリン達と意思疎通ができるようになったのだ。

 久しぶりに2匹のステータスを見てるか!

 名前:マリー
 種族:ゴブリン(雌)lv.5
 スキル:人語lv.9、子育てlv.12
 HP:25
 MP:35
 特技:子育て
 趣味:カイト·シルフィードに夢中。人語

 名前:ニコ
 種族:ゴブリン(雌)lv.5
 スキル:人語lv.9、子育てlv.12
 HP:25
 MP:35
 特技:子育て
 趣味:カイト·シルフィードに興味。人語

 『早っ! もう名前が記載されてるのか!』

 一応、俺のステータスも見てみる。

 名前:カイト·シルフィード
 職種:賢者見習いlv.1
 スキル:鑑定lv.20、幻惑lv.20、鑑定書き換えlv.10、隠密lv.8
 HP:15
 MP:110
 特技:変装、観察
 趣味:雌ゴブリンの観察

 職種が、最初から賢者見習いなのは嬉しい誤算だ。

 賢者は、何度も職種変更を繰り返さないとなれない、超レアな職種なのだ。
 賢者見習いとは、賢者の一歩手前、賢者見習いlv.50に達すると、再び俺は賢者に戻る事が出来る。

「カイトチャン、イマ、アタマノナカデ、ジンゴlv.10ニナッタカラ、シュゾクヘンコウデキルッテ、ヒビイタヨ!」

「カイト! ワタシモ!」

 マリーとニコが、揃って俺に話しかけてきた。

「種族変更でちゅか?」

「ソウダヨ! ホブゴブリンニナレルッテキコエタヨ! OKシテイイノ?」
 ニコがニコニコしながら聞いてくる。

「勿論、OKでちゅ!」
 俺は、少しだけワクワクしながら答える。
 ホブゴブリンになるという事は、少しだけ人型に近づく事なのだ。
 嬉しくない訳が無い。

「「リョウカイ!」」

 雌ゴブリンは二人揃って返事をした。

「変わらないでちゅね?」

「ナンデダロ?」

「ナンデ~!」

 マリーもニコも首を横に掲げ、何で変身しないか、よく分からないといった顔をしている。

 しかし次の日の朝、二人の雌ゴブリンは、とんでもない変化を見せるたのである。




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