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96. 悪い行い
しおりを挟むやはり、何かおかしい。
メリルは、最下層階段フロアーに到着してから、扉の前で考え込んでいる。
扉の前に待ち構えている敵は、5人。
アスタロトの一派としては、少な過ぎるのだ。
『部下が、アスタロトに嫌気をさして、出ていったのか?』と、メリルは一瞬、考えたが、直ぐに考えを改める。
アスタロトは性格は悪いが、何故か、自分に従う部下にだけは好かれていた。
ああ見えて、親分肌であったのだ。
それにアスタロトが、これ程までの少人数で行動する事など有り得ない。
アスタロトは、超絶慎重な男なのだ。
5人などという少人数で行動していたら、例え悪魔将軍アスタロトと言えども、倒されてしまうのが南の大陸なのである。
南の大陸は、この世界の猛者が集まってくる冒険者の楽園なのだ。
アスタロトも、滅茶苦茶強いと言っても、ベルゼブブ程では無い。
ベルゼブブを倒すのには、冒険者ギルドがタイミングを見計らって、全戦力を使って倒すしか手が無かったのだが、アスタロトは違う。
普通に、『漆黒の森』の女王ガブリエル·ゴトウ·ツェペシュとかなら、一人で、アスタロトとアスタロトの配下、総勢300人を纏めて相手にしても、一人で勝つ事が可能であるのだ。
故に、ガブリエルは、アスタロトを放置している。
ガブリエルにとって、アスタロトは、いつでも倒せる相手なのである。
ガブリエルは、自分の主人であったゴトウ·サイトが、ベルゼブブに殺されてから350年間、ベルゼブブを倒す事だけを目標に生きてきた。
そして、今から50年前に、ガブリエルは自らの手で、悲願であったベルゼブブを倒す事に成功したのだ。
しかし、ベルゼブブを倒した後のガブリエルは、全ての事にヤル気を、無くしてしまった。
ガブリエルにとって、最大の壁だったベルゼブブさえ殺せたら、後の些細な事など、どうでも良い事柄になってしまったのだ。
アスタロトなど、簡単に殺せる。
羽虫のような物だ。
大きな事を成し遂げた者にとって、それ以下の事柄など、全てが取るに足らない事なのである。
そんな理由でアスタロトは、ガブリエルに放置されている。
ガブリエル的にも、メリルに任せておけば、大丈夫だと思っているのだろう。
そんな取るに足らないアスタロトが、たった5人とか、少人数で行動する筈など無いのだ。
5人なんかで行動していたら、たまたま暇潰しに、例えばブリトニー·ゴトウ·ロマンチックなどが、美味しい果物を求めて、世界樹のダンジョンに現れたらどうするのだ……
間違いなくアスタロトは、ブリトニーによる、チンコスライスの餌食にされてしまう。
ブリトニーは、メリルの強さより、1段上の段階にいる化け物であるのだ。
ブリトニーは、結構、色んな街やダンジョンなどを、巨根を求めて徘徊しているらしい。
自らの欲望の為に、自分の配下であり、ギルドランキング第4位である『カワウソの牙』を使って、巨根の情報収集を毎日させているらしいのだ。
世の中の巨根達から言わせれば、悪夢でしかない。
故に『カワウソの牙』も、鬼畜ギルドとか言われていたりする。
少し脱線してしまったが、そんな訳もあるので、アスタロトが絶対に、5人などという少人数で行動する筈が無いのだ。
メリルが、敵の魔素を探ると、敵はやはり悪魔で間違いないようである。
悪魔が2匹と、冒険者が話していた攫われた女騎士、それから人型の魔物と、世界樹の妖精が居る事が確認できる。
そして、悪魔の内の1匹は、完全に土着の悪魔なのだが、もう1匹の悪魔が問題なのだ。
この悪魔からは、異世界人特有の魔素の匂いがするのだ。
異界の悪魔なら、当然と言えば当然なのだが、少し異界の悪魔とは異質の魔素の匂いがするのだ。
そう、メリルのご主人様である、大魔王ゴトウ·サイトに似た、異界人の匂いがするのだ。
強いて言うなら、土着の悪魔と、異世界人の魔素が混ざった匂いがすると言った方が良いかもしれない。
もしかしたら、扉の奥にいる土着の悪魔は、異世界の人間の記憶を持って、この世界に誕生した悪魔かもしれない。
それがどうしたかって?
土着の悪魔から、異世界人の匂いがする事がとても重要な事なのだ。
ダークエルフであるガブリエルは、異世界人の魔素に惹かれてしまう。
そして厄介な事に、メリルはガブリエルのDNAを、多分に受け継いでいる。
これは『犬の肉球』のエリスにも言える事だが、この世界のエルフとダークエルフは、異世界人が大好きなのである。
これはDNAに刻まれていると言っても、過言で無い。
ガブリエルは、『漆黒の森』に住む、ハラダ家をとても重宝している。
これは単に、ハラダ家が剣術に精通していて、戦闘力が強いという事だけではない。
ハラダ家が、異世界人の家系だからだ。
50年前に、この世界に召喚された、勇者サトウ·シオタロウが現れた時も、ガブリエルは、『犬の肉球』のエリスと、一悶着あった。
エルフとダークエルフは、異世界人に惹かれてしまう。
相当激しく、サトウ·シオタロウの取り合いになり、その時は、『犬の肉球』のエリスに軍配が上がった。
これらの事から分かるように、ガブリエルのDNAを受け継いでいるメリルも、ガブリエルと同じように、異世界人にとても惹かれてしまうのだ。
『クゥ……何故、こんな事になったのだ……
世界樹のダンジョンに居るのは、異界の悪魔アスタロトで無かったのか……』
メリルのお股から、愛液が溢れ出てくる。
こんなにお股から愛液が溢れ出るのは、大魔王ゴトウ·サイトのお世話をしていた400年ぶりの事である。
懐かしい、匂い。
メリルは、大魔王ゴトウ·サイトを懐かしむ。
クチョクチョクチョクチョ
いつの間にかメリルの右手が、純白のカボチャパンツの中に入っている。
『サイト様ぁ……サイト様に匂いが似ているからといって、サイト様以外の者に、欲情してしまって、申し訳ありません……アッアッアッアッアッアッ……』
クチョクチョクチョクチョクチョククチョクチョクチクチョクチョクチョクチョ
メリルは、指を止める事ができない。
エルフやダークエルフと同じように、Gデーモン族もまた、異世界人の呪縛から抜け出せないのである。
メリルは、想定外の出来事に対処出来ずに、暫くの間、扉の前で、自慰行為を続けた。
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