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86. ニャックハイボール

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「皆様! 『ミノ一番』ニャンゴン支店に、ようこそお越し下さいましたニャン!」

 メイド服を着たナイスバディの猫耳少女が、両耳の横で、招き猫のような手をして、「ニャン! 」とやっている。

「アナ先生! メイド服を着た猫耳族って、もしや、あの人は『犬の尻尾』の絶対の関わってはいけない危険人物と言われているブリトニー·ゴトウ·ロマンティックさんですよね!」

 俺はあまりの動揺に、思わず声を発してしまった。

「エー君違うよ! ブリトニーさんは確かにニャンゴン出身だけど、本物だったら私達は、恐怖のあまりオシッコをもらして、喋る事など出来ない筈よ!」

 アナ先生が、真剣な顔をして否定する。

「ハッハッハッハッ! ブリトニー様の悪名は本当に凄いですな。
 流石のブリトニー様でも、普通にお店にただ座っている人に対して、暴力など振るいませんよ。
 ただ、ブリトニー様は、可愛い女の子と大きな逸物に目が無いので、やはり『鉄血の乙女』の皆様方は危ないかもしれませんね……」と、サンアリさんは笑いながら語る。

 それを聞いた俺は、サーっと、血の気が引いた。

 俺は、エーバル城塞都市の荒くれ冒険者達に、ブリトニー·ゴトウ·ロマンティックの鬼畜技。チンコスライスの話を、嫌という程 聞いている。

 話によるとブリトニーは、絶えず巨根を探しているみたいなのだ。

 何故かと言うと、ブリトニーはチンコスライスの新記録を目指しているらしく、巨大な男根の男を見つけては喧嘩を吹っかけ、チンコスライスの餌食にしているという噂があるのだ。

 現在、ブリトニーのチンコスライスの公式記録は、123枚。

 ブリトニーは記録更新を目指して、絶えず男を物色しているらしい。

 そして、俺の逸物は、悪魔的でゴツゴツしてぶっとい巨根なのだ。

 俺はエーバル城塞都市に行く度に、毎回、「タイツ悪魔。お前はブッといナニを自慢したくて、いつもおっ立てているかもしれないが、自重しておいた方ががいいぞ。
 お前のそのブッといナニは、必ずブリトニー·ロマンティックに狙われる筈だ!」と、脅されていたのだ。

 俺は、好きでチンコをおっ立ててる理由では無いのだが、悪魔の性質上、すぐにナニが反応してしまう。
 まだ目立たない、緩めのズボンなど履いていたら良いのだが、悪魔的にはピッタリしたタイツに魅力を感じてしまうのだ。

「では、あの方は?」

 俺は猫耳娘を見ながら、サンアリさんに聞いてみる。

「普通のニャンゴン出身の娘ですよ。
『ミノ一番』の制服は、メイド服ですからね」

「私は、ただのウェートレスニャン!
 最初に飲み物の注文を取りに来たニャン!」と、頭の横で招き猫の様な手をする、にゃんこポーズをしながらオーダーを聞かれる。

 俺達はメニュー表を見ながら、何を頼むか決める事にする。
 ドリンクメニューは、エール、レカンサワー、ワイン、ニャック、ニャックハイボール、テキーラ、イチゴオレ、フルーツオレ、オレンジジュース、サイダーとある。

 確かニャックは、ニャンゴンで人気のあるマタタビの成分が入っているお酒だった筈だ。
 ニャックハイボールという事は、ウィスキーのような味がするのか?
 話によるとウィスキーとは違う味だったようなのだが……

「定員さん! ニャックとニャックハイボールの違いってなんですか?」

「どちらも猫耳族をヘロヘロにするお酒ニャ!
 でも味は、全然違うニャ!
 ハイボールは最近流行り出したお酒で、大人の味がするのニャ!」

「エーサクさん、ニャックハイボールは、日本のハイボールと同じ味らしいですよ!
 何でも、昔、ガリクソンさんの主だった方が異世界から缶のハイボールをこの世界に持ち込んて飲んでいたのを、ガリクソンさんが最近思いだしたみたいなんです!
 それと同じ味を、この世界で再現して、ハイボールを作ったんですよ!
 その時期たまたま、ブリトニー様からニャックの味を何とかしろと、ガリクソン様は言われていたらしく、苦肉の策でハイボールの中にニャックを入れたみたいなんです。
 ご存知の通り、ニャックは変な味がするので!」
 と、ヨネンさんはいつの間にか勝手に頼んでいたニャックハイボールを飲みながら答えてくれた。

「ニャックは、悪魔が飲んでも大丈夫なんですか?」

 俺は気になり質問する。

「大丈夫ですって! ヘロヘロになるのは、猫耳族限定です!
 エーサクさんも猫耳族の女の子を落としたいなら、ニャックを飲ませればイチコロですよ!」

 ヨネンさんは、嬉しそうに答えてくれた。

 確かに、にゃんこウェートレスは、ヨネンさんのニャックハイボールに釘付けだ。

 多分、ニャンゴンの『ミノ一番』では、敢えてニャックを飲むのが正解なのだろう。

 ウェートレスの猫耳娘が、発情しているのを見ながら焼肉を食べるのが、この店を良く知ってる、通の食べ方なのだ。

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