上 下
15 / 97

15. クモ、料理をする。

しおりを挟む
 
「アナ先生! このスライムって、服とか溶かしたりするんですか?」

 俺は少し気になり、アナ先生に質問する。

「エー君。もしかして、『ベッドが溶けるんじゃないか?』とか、心配しているの?
 スライムの中にはそういう種類のスライムもいるけど、このスライムは、1番低級のスライムだからベッドが溶ける事はまずないわ!
 それに蜘蛛の糸は、スライムに溶かされるほどヤワな糸じゃないわよ!」

 アナ先生の話を聞いて、少し安心した。
 寝てる間にベッドが溶かされて、スライムの中に沈んで窒息死とか、洒落にならない。

「安心しました! ところでアナ先生。スライムって、どうやって倒すんですか?」

「生け捕りにしましょ!
 動くベッドって、考えただけでゾクゾクするでしょ!」

 アナ先生が、またおかしな事を言っている……

「ベッドが動いてたら、眠れないでしょ!」

「そっか……そうだよね!
 エー君の言う通りだよ!
 ベッドが動いたら、流石に眠れないよね!」

 この人は俺が否定しなければ、必ずスライムを生け捕りにして、動くベッドにしていただろう。

 俺は、この数日で完全に気づいてしまったのだ。

 アナ先生は、相当イッてる快楽主義者である事を。
 快楽の為なら、手足を失っても何とも思わない本当にヤバイ人なのだ。

「ビーちゃん! 中のコアを壊せばスライムは死ぬよ!
 出来れば、コアは使えるから壊さないで抜き取れれば良いけどね!」

「ワカッタ!」

 ビーコがムチを振るう。

 ビーコのムチがスライムの体を突き破り、矢印シッポが変形して、コアを掴み戻ってきた。

 どうやら、ビーコの鞭は『鋼鉄糸』と融合させた事で、先っぽの形状を自由に変化させる事が出来るようになったようだ。

「ビーちゃん! 凄いよ!」

「ウン! ゴシュジンサマノオカゲ!
 ゴシュジンサマ、スキ!」

 ビーコが俺に近ずき、何故か俺の耳元に息を吹き掛けてくる。

「(アナ先生の真似か……)」

 そしてアナ先生と同じように、オレのチンコの反応を見ている。

 勿論、俺は、ビーコの事も好きなので、チンコがビンビンに勃起する。

「アナ、ヤッタノ!」

「よく頑張ったわね!
 偉いわよ!」

 アナ先生は、ビーコをどのように育てたいのだ……

 ビーコはアナ先生に褒めらた後、凄い勢いでスライムのコアを抜き取っていく。

 コアを抜き取られたスライムはその場に、崩れ落ち、まるで砂浜に打ち上げられたクラゲのようになっている。

 スライムを倒すのはビーコに任せ、俺とクモでコアが抜けたスライムを拾い、冒険者バックに入れていく。

 30分程で100匹以上のスライムを倒したのだが、スライムのレベルが低すぎるのか、全く俺達のレベルは上がらなかった。

「これくらいで十分だろ!」

「そうね! 今日の夜が楽しみだわ!」

「ワタシモ!」

「ギー!」

 俺達は再び、本来のダンジョン攻略に戻る。

 殆どの敵は、ビーコとクモの2人で倒してしまう。

 観察していると、ビーコは一応、火魔法も使えるようだ。

 ビーコは本来、悪魔らしく魔法使いなのだが、そうとう矢印鞭が気に入ってるのか、殆どの敵を鞭で倒していってしまう。

 ハッキリ言って、凄腕の鞭使いにしか見えない。

 そして、もう1人の俺達のパーティー。
 クモはと言うと、クモは蜘蛛らしく糸使いである。

 糸の種類も色々あるらしく。
 敵によって糸の種類を変えているようである。

 硬い糸。
 弾力性がある糸。
 粘着力がある糸。
 時には蜘蛛の巣を張り、敵を絡めつける。
 いつも捕まえた敵を、生のまま食べたそうにしているが、俺に嫌われるのが相当嫌なのか、決して敵を生では食べない。

 その他に、クモは、風魔法も使えるようだ。
 糸を風に乗せたり、普通に敵を切り刻んだりしている。

 それから、どうやら俺が使うエアーカッターが気になるようで、ダンジョンの移動中に、ひたすら練習しているようだ。

 そんな感じで今日は、俺が活躍する事なく160階層まで攻略した。

 俺とビーコはlv.33に、クモはlv.30、アナ先生は変わらずlv.49のまま、クモは【粘着糸】と【毒糸】のスキルを覚えた。

 そして、早速クモが料理を始める。

 どうやら夕食を作る気マンマンらしい。
 昨日、褒めらたのが相当嬉しかったのだろう。

 俺は昨日の夜、冒険者バックの中の物を色々調べていたら、『料理入門』なる本を見つけた。
 それには何故か、日本食のような料理もたくさん乗っており、図解が多く、文字が読めなくても何となく作れそうな感じであったのだ!

「クモ! お前にこれをやろう!
 文字が分からなくても、何となく分かるだろう!」

「アリ……ガト!」

 クモが嬉しそうに料理の本を受け取り、何やら一生懸命、料理の絵を眺めている。

「コレト、コレ……ツクル!」

 どうやら、ゆで卵と、鳥の唐揚げを作る気らしい。

 今日、ダチョウのような魔物がいる階層があり、そのダチョウを大量にゲットしたのだ。
 そして、そのダチョウのドロップアイテムが、大きな卵だったのだ。

 それにしても、どうやって作る気なのだ?
 ゆで卵は、茹でるだけなので何とかなると思うのだが、唐揚げを作ろうにも、片栗粉も醤油も何もないんだぞ……

 ある調味料は、塩、胡椒、唐辛子、香草のみだ。

 せめて醤油があれば良いのだが……

 何故か、油が入った鍋が冒険者バックの中にあったので、揚げる事だけは出来るだろう。

 クモはまず、寸胴に水を入れ、ゆで卵を作る。
 火は、冒険者バックの中から薪を見つけらしく、俺に着火だけ頼んできた。

 ダチョウもどきは、あっという間に解体し、唐揚げの大きさにモモ肉をカットする。

 それからパンを取り出し、完全な粉末になるまで粉々にする。

 この時、練習中のエアーカッターを使ってミキサー代わりにしようとしていたのだが、上手くいかなかったらしく、結局、得意の包丁で、目にも止まらぬ早さで粉末にしてしまった。

 味付けは塩と胡椒でするらしい。
 まあ、調味料がそれしかないので仕方が無い。

 肉に味付けをした後、ミクロン単位まで粉々にしたパン粉にまぶし、火にかけていた油であげる。

 パチパチパチと、食欲がそそる音がする。

 絵を見ただけで、油の火加減が何故わかるのかは不明だが、失敗はしていないようだ。

 やはり【料理】スキルの補正があるのかもしれない。

「デキタ!」

 そうこうしているうちに、見た目美味しそうな唐揚げと、ゆで卵が完成した。

 完成した料理を皿に乗せる。

 デッカイゆで卵の皮を、どうやって剥けば良いのだろうと悩んでいると、クモが指先から鋭い糸を出し、華麗に皮ごと4等分に輪切りにしてしまった。

 ビーコがアナ先生に命令されて、グラスに赤ワインを注ぎ、乾杯の準備をする。

「チンチン!」

 突然アナ先生が、おかしな言葉を口走る。

「アナ先生、流石に食事の時、チンチンというのは下品だと思いますよ!」

 流石の俺も、アナ先生を窘める。

「別に下品じゃありません!
 お酒を飲む時は、最初にグラスをぶつけてチンチンと言うのが、正しいマナーなんです!」

 アナ先生が真面目な顔をして、俺に反論する。

 待てよ……確かイタリアなどでは、乾杯の時、チンチンと言うような……
 しかし何故、乾杯だけイタリア式なのだ? 謎が深まる。

「すみませんでした。アナ先生が正しいような気がしてきました」

 俺は自分の非を認めて、アナ先生に謝罪する。

「分かればいいよ!
 それじゃあ、改めてチンチンするよ!」

 アナ先生が声を掛ける。

「アナ先生! いつでもOKです!」

「それじゃあ、チンチン!」

「「「チンチン!」」」

 アナ先生に続き、みんな無事にチンチンと言えた。

「おいしそうだね!」

 アナ先生が、ヨダレを垂らしている。
 しかし、アナ先生は腕が無いので、ビーコの介護待ちだ。

 俺は、早速ゆで卵を食べてみる事にする。
 塩を1振りし、1口食べる。
 普通のゆで卵だった。

 続けて唐揚げを食べてみる。

 旨い……何故、醤油も生姜もニンニクも入っていないのにこれだけ旨いのだ……

 クモが緊張しながら、俺の顔を見ている。
 俺の批評を待っているのか?

「クモ。この唐揚げ、凄く美味しいよ!」

 クモの顔が、パッと明るくなる。

「ウレシイ……スキ!」

 美味いと言われて、嬉しいという気持ちは分かるが、何で嬉しいと、俺の事が好きになるのだ?

 [クモの【料理】スキルがlv.6になりました!]

 突然、天の声が聞こえた。

 また、クモの【料理】スキルが上がったみたいだ。
 どうやら【料理】スキルには、料理の味を補正する力もあるような気がする。

 でないと、醤油も生姜もニンニクも入ってない ただの唐揚げが、こんなに旨くなる筈がないのだ!

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...