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15. クモ、料理をする。
しおりを挟む「アナ先生! このスライムって、服とか溶かしたりするんですか?」
俺は少し気になり、アナ先生に質問する。
「エー君。もしかして、『ベッドが溶けるんじゃないか?』とか、心配しているの?
スライムの中にはそういう種類のスライムもいるけど、このスライムは、1番低級のスライムだからベッドが溶ける事はまずないわ!
それに蜘蛛の糸は、スライムに溶かされるほどヤワな糸じゃないわよ!」
アナ先生の話を聞いて、少し安心した。
寝てる間にベッドが溶かされて、スライムの中に沈んで窒息死とか、洒落にならない。
「安心しました! ところでアナ先生。スライムって、どうやって倒すんですか?」
「生け捕りにしましょ!
動くベッドって、考えただけでゾクゾクするでしょ!」
アナ先生が、またおかしな事を言っている……
「ベッドが動いてたら、眠れないでしょ!」
「そっか……そうだよね!
エー君の言う通りだよ!
ベッドが動いたら、流石に眠れないよね!」
この人は俺が否定しなければ、必ずスライムを生け捕りにして、動くベッドにしていただろう。
俺は、この数日で完全に気づいてしまったのだ。
アナ先生は、相当イッてる快楽主義者である事を。
快楽の為なら、手足を失っても何とも思わない本当にヤバイ人なのだ。
「ビーちゃん! 中のコアを壊せばスライムは死ぬよ!
出来れば、コアは使えるから壊さないで抜き取れれば良いけどね!」
「ワカッタ!」
ビーコがムチを振るう。
ビーコのムチがスライムの体を突き破り、矢印シッポが変形して、コアを掴み戻ってきた。
どうやら、ビーコの鞭は『鋼鉄糸』と融合させた事で、先っぽの形状を自由に変化させる事が出来るようになったようだ。
「ビーちゃん! 凄いよ!」
「ウン! ゴシュジンサマノオカゲ!
ゴシュジンサマ、スキ!」
ビーコが俺に近ずき、何故か俺の耳元に息を吹き掛けてくる。
「(アナ先生の真似か……)」
そしてアナ先生と同じように、オレのチンコの反応を見ている。
勿論、俺は、ビーコの事も好きなので、チンコがビンビンに勃起する。
「アナ、ヤッタノ!」
「よく頑張ったわね!
偉いわよ!」
アナ先生は、ビーコをどのように育てたいのだ……
ビーコはアナ先生に褒めらた後、凄い勢いでスライムのコアを抜き取っていく。
コアを抜き取られたスライムはその場に、崩れ落ち、まるで砂浜に打ち上げられたクラゲのようになっている。
スライムを倒すのはビーコに任せ、俺とクモでコアが抜けたスライムを拾い、冒険者バックに入れていく。
30分程で100匹以上のスライムを倒したのだが、スライムのレベルが低すぎるのか、全く俺達のレベルは上がらなかった。
「これくらいで十分だろ!」
「そうね! 今日の夜が楽しみだわ!」
「ワタシモ!」
「ギー!」
俺達は再び、本来のダンジョン攻略に戻る。
殆どの敵は、ビーコとクモの2人で倒してしまう。
観察していると、ビーコは一応、火魔法も使えるようだ。
ビーコは本来、悪魔らしく魔法使いなのだが、そうとう矢印鞭が気に入ってるのか、殆どの敵を鞭で倒していってしまう。
ハッキリ言って、凄腕の鞭使いにしか見えない。
そして、もう1人の俺達のパーティー。
クモはと言うと、クモは蜘蛛らしく糸使いである。
糸の種類も色々あるらしく。
敵によって糸の種類を変えているようである。
硬い糸。
弾力性がある糸。
粘着力がある糸。
時には蜘蛛の巣を張り、敵を絡めつける。
いつも捕まえた敵を、生のまま食べたそうにしているが、俺に嫌われるのが相当嫌なのか、決して敵を生では食べない。
その他に、クモは、風魔法も使えるようだ。
糸を風に乗せたり、普通に敵を切り刻んだりしている。
それから、どうやら俺が使うエアーカッターが気になるようで、ダンジョンの移動中に、ひたすら練習しているようだ。
そんな感じで今日は、俺が活躍する事なく160階層まで攻略した。
俺とビーコはlv.33に、クモはlv.30、アナ先生は変わらずlv.49のまま、クモは【粘着糸】と【毒糸】のスキルを覚えた。
そして、早速クモが料理を始める。
どうやら夕食を作る気マンマンらしい。
昨日、褒めらたのが相当嬉しかったのだろう。
俺は昨日の夜、冒険者バックの中の物を色々調べていたら、『料理入門』なる本を見つけた。
それには何故か、日本食のような料理もたくさん乗っており、図解が多く、文字が読めなくても何となく作れそうな感じであったのだ!
「クモ! お前にこれをやろう!
文字が分からなくても、何となく分かるだろう!」
「アリ……ガト!」
クモが嬉しそうに料理の本を受け取り、何やら一生懸命、料理の絵を眺めている。
「コレト、コレ……ツクル!」
どうやら、ゆで卵と、鳥の唐揚げを作る気らしい。
今日、ダチョウのような魔物がいる階層があり、そのダチョウを大量にゲットしたのだ。
そして、そのダチョウのドロップアイテムが、大きな卵だったのだ。
それにしても、どうやって作る気なのだ?
ゆで卵は、茹でるだけなので何とかなると思うのだが、唐揚げを作ろうにも、片栗粉も醤油も何もないんだぞ……
ある調味料は、塩、胡椒、唐辛子、香草のみだ。
せめて醤油があれば良いのだが……
何故か、油が入った鍋が冒険者バックの中にあったので、揚げる事だけは出来るだろう。
クモはまず、寸胴に水を入れ、ゆで卵を作る。
火は、冒険者バックの中から薪を見つけらしく、俺に着火だけ頼んできた。
ダチョウもどきは、あっという間に解体し、唐揚げの大きさにモモ肉をカットする。
それからパンを取り出し、完全な粉末になるまで粉々にする。
この時、練習中のエアーカッターを使ってミキサー代わりにしようとしていたのだが、上手くいかなかったらしく、結局、得意の包丁で、目にも止まらぬ早さで粉末にしてしまった。
味付けは塩と胡椒でするらしい。
まあ、調味料がそれしかないので仕方が無い。
肉に味付けをした後、ミクロン単位まで粉々にしたパン粉にまぶし、火にかけていた油であげる。
パチパチパチと、食欲がそそる音がする。
絵を見ただけで、油の火加減が何故わかるのかは不明だが、失敗はしていないようだ。
やはり【料理】スキルの補正があるのかもしれない。
「デキタ!」
そうこうしているうちに、見た目美味しそうな唐揚げと、ゆで卵が完成した。
完成した料理を皿に乗せる。
デッカイゆで卵の皮を、どうやって剥けば良いのだろうと悩んでいると、クモが指先から鋭い糸を出し、華麗に皮ごと4等分に輪切りにしてしまった。
ビーコがアナ先生に命令されて、グラスに赤ワインを注ぎ、乾杯の準備をする。
「チンチン!」
突然アナ先生が、おかしな言葉を口走る。
「アナ先生、流石に食事の時、チンチンというのは下品だと思いますよ!」
流石の俺も、アナ先生を窘める。
「別に下品じゃありません!
お酒を飲む時は、最初にグラスをぶつけてチンチンと言うのが、正しいマナーなんです!」
アナ先生が真面目な顔をして、俺に反論する。
待てよ……確かイタリアなどでは、乾杯の時、チンチンと言うような……
しかし何故、乾杯だけイタリア式なのだ? 謎が深まる。
「すみませんでした。アナ先生が正しいような気がしてきました」
俺は自分の非を認めて、アナ先生に謝罪する。
「分かればいいよ!
それじゃあ、改めてチンチンするよ!」
アナ先生が声を掛ける。
「アナ先生! いつでもOKです!」
「それじゃあ、チンチン!」
「「「チンチン!」」」
アナ先生に続き、みんな無事にチンチンと言えた。
「おいしそうだね!」
アナ先生が、ヨダレを垂らしている。
しかし、アナ先生は腕が無いので、ビーコの介護待ちだ。
俺は、早速ゆで卵を食べてみる事にする。
塩を1振りし、1口食べる。
普通のゆで卵だった。
続けて唐揚げを食べてみる。
旨い……何故、醤油も生姜もニンニクも入っていないのにこれだけ旨いのだ……
クモが緊張しながら、俺の顔を見ている。
俺の批評を待っているのか?
「クモ。この唐揚げ、凄く美味しいよ!」
クモの顔が、パッと明るくなる。
「ウレシイ……スキ!」
美味いと言われて、嬉しいという気持ちは分かるが、何で嬉しいと、俺の事が好きになるのだ?
[クモの【料理】スキルがlv.6になりました!]
突然、天の声が聞こえた。
また、クモの【料理】スキルが上がったみたいだ。
どうやら【料理】スキルには、料理の味を補正する力もあるような気がする。
でないと、醤油も生姜もニンニクも入ってない ただの唐揚げが、こんなに旨くなる筈がないのだ!
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