85 / 179
85. ラスボス部屋
しおりを挟む俺達は、順調に塔のダンジョンの攻略が進んでる。
俺も、良さそうなスキルを持ってそうな魔物から、ジャンジャンスキルを奪ってる。
『握手』スキルの派生スキル以外でも、スキルが得られてしまうって、本当に俺はどこまで強くなってしまうのだろう。
何故だか、俺がスキルを得るのが、サクラ姫はとても嬉しそうだ。
多分、自分の未来の旦那が強くなるのが嬉しいのだろう。
そんでもって、俺、魔法も使えるようになっちゃったんだよね。
人間も、13歳に女神様からスキルを得て魔法を使えるようになったりするから、魔物の魔法も、どうやらスキルだったみたい。
ナナミさんも、多分、魔法系のスキルを得たから魔法使いを名乗ってる訳で、実際は、鍛冶師やら、魔道具師やら、建築士、はたまた、棍棒使いとか名乗った方が良いと思うけど。だけれども、魔法スキルを持ってるから魔法使いなのだ。滅多に魔法は使わないけど。
それにしても、魔法を使えると戦闘の幅が広がる。
俺達のパーティーって、全員前衛なんだよね。
超攻撃的パーティーなのだ。今でも基本は、司令塔というか回復役として戦っていたけど、俺は、本格的に後衛で戦う事とした。
うちらのパーティーって、実際、不安要素が多々あるのだよね。
アマンダさんは、疲れたりHPが減ってくると、すぐバーサーカー化しちゃうし。
サクラ姫なんか、呪いの影響上、HPやMPが元々少ないのだ。
俺が、しっかりHP管理してないと、いつ死んでもおかしくない綱渡りの戦いをしているのである。
一番、俺が守らなくてはならないお姫様が、一番ハイリスクハイリターンの戦いをしてるって、やっぱり、サクラ姫はトンデモない戦い方をしているのだった。
こんなにリスキー過ぎる戦い方を子供の頃からしてたら、一体、13歳になったらどんなスキルを女神様から授かるやら……本当に楽しみである。
多分、俺が井戸掘りばかりしてた子供時代より、サクラ姫の方が、余っ程、過酷で生と死の隣り合わせの生き方をしているのだから。
そうこうしてるうちに、俺達『銀のカスタネット』は、75階層に到達した。
俺は、魔物からスキルを奪いまくって相当強くなっている。
多分、今ではナナミさんとも対等に戦えるだろう。
まあ、ナナミさんって、奥の手をいっぱい持ってそうだから、本当に対等に戦えるかは謎だけど。
そして、75階層を攻略して行き、フロアーボス部屋に到着したのだが、
「トト、なんかいつもと違うよ!」
サクラ姫が、フロアーボス部屋を見て興奮してる。余っ程興奮してるのか、お子様モードだ。
「コレは、もしかしてラスボス部屋って奴じゃないかな?」
アマンダさんが、真面目な顔をして指摘する。
俺は、ナナミさんを見やる。
ナナミさんは、一番歳上で、冒険者歴も長いので、何か知ってるかもと思ったのだ。
だけれども、よく考えたら、ナナミさんって、マールダンジョンでも32階層で鉱石を取りに行ってただけだと、途中で気付いしまう。
なので、敢えて、何も聞かなかったのだが、
「うん。コレはラスボス部屋で間違いない。まだ、武蔵野国に居た頃、一度、たまたま見つけダンジョンで、素材採取に精を出してたら到達した事がある」
ていうか、まさかの回答。
というか、ナナミさん、ダンジョン完全攻略した事があったのかよ!
「エッ?! それって、どういう事?!」
アマンダさんが、ビックリした表情をして、ナナミさんに質問する。
「うん。まだ武蔵野国に居た時、たまたま森に採取に出掛けてたら、ダンジョンを見つけた。そして、そのダンジョンは、結構、貴重な鉱石が取れたからドンドン攻略したの」
なんか、聞きたい回答ではない。
鉱石の話じゃなくて、ダンジョン攻略の話を聞きたいのだ。
「違う違う。ナナミさんが、どうしてダンジョンを完全攻略した事があったのかって話だよ!」
アマンダさんは、質問を言い換える。
「そういう事なら、した事はある」
ナナミさんは、平然と答える。
「でも、そしたら、何でナナミさんがダンジョンを完全攻略した事が、誰にも知られてないのでしょう?
普通、ソロでダンジョンを完全攻略したら、一大事件ですよね?
国に所属してたら爵位を受勲出来ると思いますし。
冒険者なら、間違いなくプラチナに昇格してる筈ですよ?
なんてたって、未だに、ソロでダンジョンを完全攻略した人物など居ないのですから」
サクラ姫が、もっともな事を言う。
「アッ……それなら、僕はその当時冒険者じゃなかったし、そのダンジョンは誰にも知られていないダンジョンだったので、しょうがない」
ナナミさんが、なんかよく分からない事を言い出した。
「でも、普通は、ダンジョンを見つけたら国や冒険者ギルドに報告する義務があると思うのですが……」
「それは、誰にもダンジョンで取れる素材を奪われたくなかったから、誰にも内緒にしてた。
お爺にも話してなかったし、おっととトト君は、私の旦那様だから話した」
ナナミさんらしい回答だが、権蔵爺さんにも話さなかった事を、俺達に話してくれたのか?
「それは、なんでですか?」
サクラ姫が、俺の代わりに質問する。
「夫婦は隠し事しないものだから。もう、お風呂で裸も見られてるから、僕には、もう、おっととトト君に隠すものなど何もないの……」
何故だか知らないが、ナナミさんは、頬を真っ赤に染めて答えたのだった。
ーーー
面白かったら、お気に入りにいれてね!
121
お気に入りに追加
869
あなたにおすすめの小説
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
自動翻訳だけでも欲しかった!
姫川 林檎
ファンタジー
1話短めになっています。
暇つぶしに読んでくれたら嬉しいです。
瑠音(ルネ)は家族旅行の最終夜に光に飲み込まれ異世界へ飛ばされてしまう。しかしラノベのお決まりの何故か言葉が解る能力はなく、助けてくれた相手と意思の疎通が出来ない。
頑張って言葉を覚え様とするが食べ物が合わず体調を崩してしまう。この世界の食事が期待出来ないので自力で改善して、頑張って生きていく。
後宮の最下位妃と冷酷な半龍王
翠晶 瓈李
ファンタジー
毒を飲み、死を選んだはずなのに。なぜか頭にお花が咲きました……。
♢♢♢
~天より贈られし『甘露』降る大地
仁政を施す王現れる証
これ瑞兆なり~
♢♢♢
甘露とは天から与えられる不老不死の霊薬。中国古来の伝説では天子が仁政を行う前兆として天から降るといわれている。
♢♢♢
陥落寸前の瑤華国で死を望み『毒』を飲んだ最下位妃、苺凛(メイリン)。
けれど『毒』は〈死〉ではなく『霊力のある花』をその身に咲かせる〈異能〉を苺凛に与えた。
一方、軍を率いて瑤華国を征圧した釆雅国の第二王子、洙仙(シュセン)。
彼は龍族と人の血が混ざった冷酷な男だった。
「花が咲き続ける限り、おまえは俺から逃れられない」
死を願う苺凛に洙仙は冷たく笑う。
冷酷で意地悪な洙仙が嫌いな苺凛だったが、花に秘められた真実を知ってから気持ちに変化が……。
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる