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47. 言い訳

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 アマンダさんは、結構、慌ててるんだけど、ナナミさんは結構落ち着いてる。

 まあ、ナナミさんの場合、権蔵爺さんがやらかして自分の国を追われた過去があるもんね。こんな風に、自分の家に兵士が押し入ってくるのは慣れっこなのだろう。

 そんなこんなで、俺達はそのまま王様の謁見の間まで連れてかれたのだけど、アマンダさんにとって、今日2度目の衝撃の事態が起きたのである。

「お父様!何で私達が捕まるの! 私、何も悪い事なんてしてないもん!」

 サクラ姫が、突然、マール王国のトップ。マール王をお父様と呼んだのだ。

「え?王様を、お父様?! あれ?サクラちゃん? 何、言ってるのよ!じゃなくて、何、言っておられるのですか??」

 もう、アマンダさんは、頭がこんがらがって、完全におかしくなってしまってるし。

「トトは、ワシとの約束を破ったのだ。即ち、マール王国との約束を破ったと同意。マール王国がトトと、それに加担した者達を捕まえる事は、何も間違った事ではないぞ!」

 王様は、相当怒り心頭。
 俺でも、流石に、堂々と約束破られたら頭に来るもんね。て……約束破った張本人が言う言葉じゃないけどね。

「私は、約束破ってないもん! ただ、同じ冒険者パーティーメンバーのナナミさんの家にお呼ばれしただけだもん!」

「家じゃと?サクラよ……お主、何を言っておるのじゃ?」

 王様は、サクラ姫がおかしくなってしまったのかと、少し呆けてしまう。

「私の冒険者パーティーメンバーのナナミさんの家が、マールダンジョンの31階層にあるの!」

「だから、サクラよ……お主は、本当に何を言っておるのじゃ? 普通、ダンジョンの中に冒険者個人の自宅がある訳ないじゃろ? しかも、31階層のようなA級冒険者しか訪れれないような下層に……」

「だから、本当にあるんだって! 多分、私が所属してるトトが作った冒険者パーティー『銀のカスタネット』の事、私の護衛担当の人なら、何だって調べてるでしょ!
 その人達に、聞いてみなよ!」

 王様が、謁見の間の端で待機してたサクラ姫の護衛の人を見やると、すぐさまサクラ姫の護衛の者は、王様の元に訪れて耳打ちする。

「なんじゃと! それは誠なのか?!
 まさか、31階層ほどの下層に、本当に家を建てて住んでいる者がいるとは! しかもその者は、かの元武蔵野国三賢人が一人、坂田権蔵殿の孫じゃと!
 というか、元武蔵野国三賢人が一人、坂田権蔵殿が我が国に居るじゃと!」

 王様は、唾を飛ばし興奮している。
 どうやら、ナナミさんがマールダンジョンの31階層に家を建てて暮らしてる事より、自分が王として君臨してる王国に、元武蔵野国三賢人が一人。坂田権蔵が、貧民街で店を出していた事の方が、おったまげたみたい。

「どう! 本当だったでしょ! だから何度も言うように、私達は、ただ、パーティーメンバーの家にお呼ばれして遊びに行っただけだから、何も悪い事などしてないわ!」

 サクラ姫は、エッヘン!と、自信満々に言い放つ。

「そ……そうじゃな……それよりも、武蔵野国、元三賢人が一人、坂田権蔵殿に使者を出せ! マール王国の王、ナゴヤジョー・フォン・マールが会いたがってると!」

 サクラ姫は、王様から『そうじゃな』と、言質を取り御満悦。

 それで俺達は、まあ、パーティーメンバーの家に行くならいいんじゃない?という事でお咎め無し。
 しかも、サクラ姫の護衛の人達って、誰もA級冒険者居ないから、30階層にワープする移転魔法陣使えないんだよね。

 なので、俺達がマールダンジョンの下層で何をやってるのかなんて調べられないし、もうやりたいようやれちゃう事が決定。

 だって、俺達、毎日、ただパーティーメンバーの自宅に遊びに行くだけだから。決して、ナナミの別宅がある31階層から、下の階層には行ってないからね!
 そういう建前を、俺達『銀のカスタネット』は、手に入れたのであった。

 それにしても、サクラ姫は、口と頭が回る。
 自分がフルート侯爵の娘だと、アマンダさんに偽った時もそうだが、今回も、たまたまナナミさんの別宅が31階層にあったのを利用して乗り切った。

 多分、これが王族としてのサクラ姫の特技なのだろう。
 王族って、自国民を言葉で信用させれなければ国を治めれないしね。

 だけど、もう、アマンダさんにもサクラ姫が王族とバレちゃったし、どうするつもりなんだろう。
 なんか、城から出た後、ずっとアマンダさん、ソワソワしてるし。

 まあ、サクラ姫が、侯爵令嬢でも気を使うのに、それが一国のお姫様。それも自分が暮らす国のお姫様だったら尚更だよね。

「えっと、アマンダ……サクラの事なんだけど……」

 俺は、アマンダにサクラ姫の事をふってみる。

「ああ! ええと、サクラ姫様に至っては、本日は、お日柄も良く、大変失礼致しました!」

 何故か分からないが、アマンダさんはおかしな敬語を使って、その場で土下座した。

「ちょっと、アマンダさん、お顔をお上げ下さい! 今迄通り、同じ『銀のカスタネット』の仲間であるサクラでいいですから!」

 これには、流石のサクラ姫でも慌てる。
 いままで、アマンダと呼び捨てだったのに、アマンダさんと、敬語で呼んでるし。

「同じ『銀のカスタネット』の仲間……て、アッ! 銀?! もしかして『銀のカスタネット』の銀って、王族の象徴である銀髪の銀?!」

 なんか、今はどうでも良い事に、アマンダさんは気付いてしまったようである。

「えっと、それはそうですけど。私はアマンダさんの事を、もう家族と思ってますから。今迄通りサクラちゃんと、呼んで下さい。私が、トトの本妻になって、アマンダさんが、妾というか第2夫人になるのですよね?それなら、もう私達は家族ですよ!」

 どうやら、サクラ姫は、家族という言葉で攻めるようである。

「エッ! 私が王族でお姫様であるサクラちゃんと家族……そんな事って……」

「そうです!私とアマンダさんは、もうれっきとした家族なのです!」

「という事は、私もお貴族様の仲間入りしたって事?」

「そうですね! アマンダさんは、アマンダ・カスタネット子爵夫人になるのですから!」

「やった! 私、アマンダ・カスタネット夫人になる!」

 なんか知らんが、アマンダさんは感極まって泣いている。
 完全に、サクラ姫の口車に踊らされてるような気もするけど……
 まあ、アマンダさんって、貴族に憧れを持ってるようだから、チョロインだよね。

「私も、ナナミ・坂田・カスタネット第3夫人になる」

 何故か知らんが、ナナミさんも便乗してきた。それから、坂田の名も捨てたくないようだ。
 まあ、権蔵爺さんが大好きだから、坂田の名も名乗りたいのであろう。

 そんな感じで、サクラ姫にいいように言い含められて、
 ただの冒険者パーティーの1つだった『銀のカスタネット』は、名実共に、俺の家族によるハーレム系冒険者パーティーになったのだった。

 まあ、ハーレム系と言っても、エロい事は、まだ何もしてないし、する予定も無いのだけど。

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