上 下
2 / 172

2. スキル覚醒

しおりを挟む
 
『今日からたくさん握手しなきゃ! 』

 もう、トトは、居ても立っても居られない。人とたくさん握手して、レベルを上げて、もっと開示される情報を増やしたいのである。興奮するなってのが、無理な話。

 握手するだけで簡単にレベルが上がる『握手』スキルに、物凄い可能性を感じ、もう一度、何度も、何度も、無駄に御者と握手してみたのは、しょうが無い話。

 だけれども、同じ人と続けざまに握手しても、全くカウントに入らないと知るのは、そんなに時間が掛からない事だった。

 俺は、その日の内に、屋敷に居る女性以外の庭師やら、奉公人と握手しまくったからね。
 その数20人くらいだけど、100回以上握手したのに、レベルが上がらなかったから。

『何で、レベルが上がらない?もしかして、同じ人と握手してもカウントされないのか?』

 色々考察してみた結果。結局、握手は同じ人と握手されてもカウントされる。ただし、同じ人とは1日1回しか握手とカウントされないので、同じ人と、1日に何度も握手しても仕方が無い事が分かった。

 なので、毎日、握手してくれる使用人と毎日1回握手してから、街に繰り出し、知らない人達と握手しまくる生活を何日か続けた結果。
 俺は、握手スキルがLv.10になったのだ。

 その結果、名前、職業、年齢、スキル、種族、性別、趣味、嫌いなもの、好きな物、HPとかMPとかスキルポイントとかのステータスまで分かるようになった。

 もうコレって、完全にレアスキルの鑑定スキルだよね。まあ、普通の鑑定スキルと違って、手を握らないと全く分からないのだけど。

 だけれども、俺は、握手スキルの可能性を見出した。普通の戦闘スキルとかは、魔物を倒して経験値を得るとスキルが上がるのだが、俺の場合は人と握手するだけで、経験値というか、スキルポイントが上がる。

 因みに、自分のステータスを見る場合は、自分の右手と左手で握手すると見える事に気づいた。

 そしてコレが、俺の今のステータス。

 名前: トト・カスタネット
 年齢: 13歳
 職業: カスタネット準男爵家三男
 スキル: 握手Lv.10(次のレベルに必要なスキルポイント200)
 HP: 80
 MP: 120
 スキルポイント:114

「ウッヒョー! 俺、スゲー!!」

 こんなの見ると、興奮しちゃうよね。
 最初は、名前しか分からなかったのに。

 他にも、好きな物とか、趣味とかも見えるけど、そこは個人情報なので、内緒。

 握手するとスキルポイントが1つ上がる。
 それから、何回握手すればスキルポイントが貯まって、レベルアップ出来るかまで知れちゃうのだ。これは、普通の鑑定スキルでは無い機能。

 でもって、この握手スキルで開示されるステータスを利用して、商売できるかもしれないと思って、早速、商売を初める事にした。

 何だと思う。

 それは、手相占い。手相占いなら、自然に人と手が握れる。
 客が勝手に、俺と手を握りに来てくれるし、スキルポイントも稼げるし、お金も稼げるし、俺って、本当に頭がいい。

 実を言うと、最近、人と握手するのが辛くなってきてたのだ。
 毎日、同じ人に、「握手しよ!」とか、やってたので、カスタネット準男爵家の三男は、しょぼいスキルを得て、自暴自棄になり、ヤバい奴になってしまったと思われてそうだったし。
 俺が一応、街を統べる領主の息子だから、握手してくれてたけど、普通、同じ人と毎日、握手するものじゃないしね。

 でもって、路肩に椅子を持ってきて商売始めたら、すぐに、露天商のヤクザ屋さんが来て、みかじめ料を請求してきたのだが、
 何で、カスタネット準男爵領の領主の息子が、自分の父親が統治する街で、みかじめ料払わなきゃいけないのか聞いてみたら、ヤクザ屋さんは、「カスタネット家のお坊ちゃんでしたか。それはそれは」とか、何とか言って、直ぐに居なくなってしまった。

 その日ばかりは、本当に、カスタネット準男爵家の子供で良かったと思った。流石に、ヤクザ屋さんは怖いしね。

 一応、手相占いの値段は、高くもなく、安くもない1500マールに決めた。

 マールとは、この国、マール王国のお金の単位で、パンが一つで150マールする。
 簡単に言うと、パン10個分の値段で手相占いする感じ。

 最初はお試しとして、その辺のオバチャンを何人か捕まえて、タダで占いしてやったら、直ぐに、よく当たると評判になり、若い女の人なんかが、占いに来てくれるようになった。

 本当に、オバチャンの情報発信能力というか、噂話の効果は凄い。

 まあ、手相占いというより、握手して分かった名前やら、年齢やら、好きな事や嫌いな事など、完全に分かってる事も含めて、適当に相手の顔色を見つつ、どっちとも取れるような話を、相手に合わせて話してるだけなんだけど……女の子達は信じちゃうんだよね……

 毎日、少なくとも30人位は、手相占いするから、1日に4万5000マール位は、確実に稼げちゃう。

 ここまで来ると、俺はもう、庭の井戸なんか掘らないし、別に継母に、井戸掘らないからって、晩飯抜きにされたとしても気にしない。どうせ、成人したら出て行く家だし、外で外食すれば良いだけだしね。

 そんなこんなで、俺は、齢13歳にして、家に縛られない経済的自由を手に入れてしまった。

 スキル覚醒、ウッヒョー!だよね!

 ーーー

 面白かったら、お気に入りに入れてね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~

秋鷺 照
ファンタジー
 強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)

処理中です...