上 下
31 / 32

31. 石像

しおりを挟む
 
 リーナは、何故か、戦争が行われたリーナ渓谷に連れて来られている。目の前には、石になった神聖教会の聖騎士1万人、多分、その後ろにドミノ倒しになった兵士約2万人が死んでいるのであろう。

 そして、リーナは、神聖教会軍の司令官と思われる石像の前に連れて来られる。

「リーナお嬢様、このビチ糞野郎の石化を解いて下さいませ!」

 可愛い顔をしたミミが、端たない言葉使いを使う。

「ビチ糞野郎って……」

「こんな奴は、ビチ糞野郎なのです!
 神であるリーナお嬢様が治めるリーナ神聖国に攻め込んで来た大罪人なのですから、本来、ミンチにして豚の餌にする価値もない、糞野郎なのです!」

 ミミは、リーナに敵対する者に容赦ない。
 豚の餌にもならないなんて、このまま砕いて、砂利にでもすればいいのだろうか?
 じゃなくて、石化を解くんだった。

 危うく、その辺の石コロを、『鑑定書き換え』スキルで、ハンマーにして、石像を砕く気満々だったリーナは反省する。

 また、石ころを拾って、『鑑定書き換え』スキルで、『石化解除ハンマー』と書き換えて、石化してた敵軍の司令官の頭を、コツン!と、叩く。

 すると、

 石化していた司敵軍の令官が、ワナワナ震え出す。
 どうやら、石になった後も、目はしっかり見えていたようだ。

「虫けら! 偉大なる神、リーナお嬢様の前で頭が高いです!」

 ミミが、尊大な態度で、敵軍の司令官に言い放つ。
 というか、可愛らしいミミが、こんな汚い言葉使いをするように育てた記憶無いけど、『超記憶』スキルを持つミミは、汚い言葉も勝手に覚えてしまうのだろう。

「悪魔……」

 バキッ!

 悪魔……と、呟いた神聖教会軍の司令官を、ミミは、グーパンする。
 意外とミミは、体育会系のようだ。

「コイツは殺してしまいましょう。神であるリーナお嬢様に対して、悪魔とは……また、石化して、ハンマーで粉々にして砂利にしてしまうのが良いと思われます!」

 ミミさん、怖過ぎる……
 額に血管浮き出てて、目も血走ってるし。

「殺さなくても……」

「しかしながら、この者は、存在自体が悪ですから!」

 ミミは、一歩も引かない。
 よっぽと、リーナの事を悪魔と言った事が許せなかったのだろう。

 というか、これは不味い。
 なんとか、軌道修正しなければ。
 目の前で、人が死ぬの見たくないし。

「敵軍の司令官さん、しっかりと心を入れ替え改心してくれますよね?
 このままだと、私でも忠臣のミミを止めれなくなってしまいますから」

 リーナは、ビビり過ぎて、ワナワナ震えてる敵軍の司令官に、ニッコリと微笑みながら手を差し出す。

「女神様……」

 敵軍司令官が、感動に打ち震えながら、リーナを見つめる。
 やはり、追い詰められた所で、優しくされてしまうと、グッと来ちゃうのであろう。
 瞳から、ポロリと涙まで流してるし。

「司令官さん。心を入れ替えて、私に忠誠を誓ってくれますよね?」

 リーナは、もう一押し。

「私は、女神様に、一生涯忠誠を誓います!」

 敵軍司令官は感動の面持ちで、鼻水と涙を垂れ流しながら、リーナの手を、両手でしっかりと握りしめたのだった。

 何とか上手くいったようだ。
 ミミも、何故か、ウンウン頷いてるし。
 ミミ的にも、新たなリーナ教の信者が増えて嬉しのかもしれない。

「石になってしまった人達よ! このように反省するならば、みんな暫くした後、石化を解除してあげましょう!」

 リーナは、堂々と胸を張り、石化した人々に言い放つ。
 これで、石化した人達は、ミミに、ハンマーで粉々にされるのを間逃れただろう。

 というか、ミミは、本気で石化した兵士をハンマーで粉々に砕いて、砂利にするつもりだったのだ。
 だって、リーナ神聖国の兵隊にハンマー持たせてるし。

 確かに、石になった人達、リーナ渓谷の道を塞いで邪魔だしね。

 だからと言って、持って違う場所に運ぶの大変だから、その場で砕いて、道の砂利にしてしまおうと、頭の良いミミは考えついていたのだ。

 敵軍もやっつけて、道も砂利で舗装できて、一石二鳥、私って天才だと、きっと思ってたに違いない。

しかし、重い石像は邪魔だ。
なので、結局、軽くする為に、石像を小さな石にする事にした。

「石像になった人達を、この、本当に石になるハンマーで叩いて、ズタ袋かなんかで保存しといて下さい。
 その時、決して、ズタ袋に穴が空いないか確認して下さいよ!
 その辺に落ちてしまったら、一生、石のままになっちゃいますから!」

 リーナは、ミミに固く言い聞かせ、王城に戻ったのだった。

 そして、リーナ教の狂信者になった、神聖教会の司令官には、神聖教会総本部に行って貰って、話し合いをしてもらう事にした。

 司令官に、リーナ教に逆らったら、「みんな、石にしちゃうぞ♡」と、神聖教会の偉い人に言っといてね!と、話してね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

灰いかぶり令嬢の物語

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
<※再編成しました2021/08/30> 2021/09/30完結 転生したら境遇がお伽噺の世界?え?違う?チート能力で継母も義姉もざまぁ、でも王子様?には嫁がない予定なんだけど! 残酷な描写あり 文章が下手ですみません

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい

海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。 その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。 赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。 だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。 私のHPは限界です!! なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。 しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ! でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!! そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような? ♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟ 皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います! この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

処理中です...