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31. 石像
しおりを挟むリーナは、何故か、戦争が行われたリーナ渓谷に連れて来られている。目の前には、石になった神聖教会の聖騎士1万人、多分、その後ろにドミノ倒しになった兵士約2万人が死んでいるのであろう。
そして、リーナは、神聖教会軍の司令官と思われる石像の前に連れて来られる。
「リーナお嬢様、このビチ糞野郎の石化を解いて下さいませ!」
可愛い顔をしたミミが、端たない言葉使いを使う。
「ビチ糞野郎って……」
「こんな奴は、ビチ糞野郎なのです!
神であるリーナお嬢様が治めるリーナ神聖国に攻め込んで来た大罪人なのですから、本来、ミンチにして豚の餌にする価値もない、糞野郎なのです!」
ミミは、リーナに敵対する者に容赦ない。
豚の餌にもならないなんて、このまま砕いて、砂利にでもすればいいのだろうか?
じゃなくて、石化を解くんだった。
危うく、その辺の石コロを、『鑑定書き換え』スキルで、ハンマーにして、石像を砕く気満々だったリーナは反省する。
また、石ころを拾って、『鑑定書き換え』スキルで、『石化解除ハンマー』と書き換えて、石化してた敵軍の司令官の頭を、コツン!と、叩く。
すると、
石化していた司敵軍の令官が、ワナワナ震え出す。
どうやら、石になった後も、目はしっかり見えていたようだ。
「虫けら! 偉大なる神、リーナお嬢様の前で頭が高いです!」
ミミが、尊大な態度で、敵軍の司令官に言い放つ。
というか、可愛らしいミミが、こんな汚い言葉使いをするように育てた記憶無いけど、『超記憶』スキルを持つミミは、汚い言葉も勝手に覚えてしまうのだろう。
「悪魔……」
バキッ!
悪魔……と、呟いた神聖教会軍の司令官を、ミミは、グーパンする。
意外とミミは、体育会系のようだ。
「コイツは殺してしまいましょう。神であるリーナお嬢様に対して、悪魔とは……また、石化して、ハンマーで粉々にして砂利にしてしまうのが良いと思われます!」
ミミさん、怖過ぎる……
額に血管浮き出てて、目も血走ってるし。
「殺さなくても……」
「しかしながら、この者は、存在自体が悪ですから!」
ミミは、一歩も引かない。
よっぽと、リーナの事を悪魔と言った事が許せなかったのだろう。
というか、これは不味い。
なんとか、軌道修正しなければ。
目の前で、人が死ぬの見たくないし。
「敵軍の司令官さん、しっかりと心を入れ替え改心してくれますよね?
このままだと、私でも忠臣のミミを止めれなくなってしまいますから」
リーナは、ビビり過ぎて、ワナワナ震えてる敵軍の司令官に、ニッコリと微笑みながら手を差し出す。
「女神様……」
敵軍司令官が、感動に打ち震えながら、リーナを見つめる。
やはり、追い詰められた所で、優しくされてしまうと、グッと来ちゃうのであろう。
瞳から、ポロリと涙まで流してるし。
「司令官さん。心を入れ替えて、私に忠誠を誓ってくれますよね?」
リーナは、もう一押し。
「私は、女神様に、一生涯忠誠を誓います!」
敵軍司令官は感動の面持ちで、鼻水と涙を垂れ流しながら、リーナの手を、両手でしっかりと握りしめたのだった。
何とか上手くいったようだ。
ミミも、何故か、ウンウン頷いてるし。
ミミ的にも、新たなリーナ教の信者が増えて嬉しのかもしれない。
「石になってしまった人達よ! このように反省するならば、みんな暫くした後、石化を解除してあげましょう!」
リーナは、堂々と胸を張り、石化した人々に言い放つ。
これで、石化した人達は、ミミに、ハンマーで粉々にされるのを間逃れただろう。
というか、ミミは、本気で石化した兵士をハンマーで粉々に砕いて、砂利にするつもりだったのだ。
だって、リーナ神聖国の兵隊にハンマー持たせてるし。
確かに、石になった人達、リーナ渓谷の道を塞いで邪魔だしね。
だからと言って、持って違う場所に運ぶの大変だから、その場で砕いて、道の砂利にしてしまおうと、頭の良いミミは考えついていたのだ。
敵軍もやっつけて、道も砂利で舗装できて、一石二鳥、私って天才だと、きっと思ってたに違いない。
しかし、重い石像は邪魔だ。
なので、結局、軽くする為に、石像を小さな石にする事にした。
「石像になった人達を、この、本当に石になるハンマーで叩いて、ズタ袋かなんかで保存しといて下さい。
その時、決して、ズタ袋に穴が空いないか確認して下さいよ!
その辺に落ちてしまったら、一生、石のままになっちゃいますから!」
リーナは、ミミに固く言い聞かせ、王城に戻ったのだった。
そして、リーナ教の狂信者になった、神聖教会の司令官には、神聖教会総本部に行って貰って、話し合いをしてもらう事にした。
司令官に、リーナ教に逆らったら、「みんな、石にしちゃうぞ♡」と、神聖教会の偉い人に言っといてね!と、話してね。
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