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544. メガネ君(2)

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「お~ヨシヨシ、怖かったでちゅね~」

 ユリアさんは、大泣きしてるメガネ君をあやしている。

 この状況は、何なんだろう……。

 これだから、世間知らずのお坊ちゃんは面倒臭いのだ。

 姫プレイは嫌だとか、前衛やらせろとか。
 実力も無い癖に……。

 多分、俺が簡単に魔物を倒してるから、自分も簡単に魔物を倒せると勘違いしてしまったのだろう。

 俺とメガネ君とは、生まれも育ちも違う。
 俺なんか、元々孤児だし。その日の食う物も困って、小さな時から孤児院の仲間達と徒党を組み、ゴミ漁りや盗みを働き生きてきた。
 店の人に捕まれば、ボコボコに殴られるし、違う地区の奴らとぶつかれば、抗争とかもあった。

 小さな時から、普通に死と隣り合わせだったのだ。
 冒険者になったのだって、生きていく為。

 まあ、俺の出身の孤児院では、男は大体、冒険者に、女も冒険者か娼婦になるのがお決まりだった。
 俺が売春宿に行くのも、俺の出身の孤児院の娼婦達にお金を落とす為。

 それなりに理由があったのだ。

 勿論、しっかりヤラせてもらうけど。

 なんか、兄妹のように育った娼婦達とヤルのは、イケナイ事をしてるようで興奮するし。

 そんな小さい時から、アブノーマルな生活を送って来た俺からすると、メガネ君は、やっぱり世間知らずの坊ちゃんなのだ。

 危なかしくて、見てられない。

「お母さん~怖かったよぉ~」

「だから、私は、お母さんじゃないべ……」

 ユリアさんも、困り顔。

「オイコラ! テメェら! 何やっとんじゃ!」

 なんか、セーラ先生が怒りだした。

「ほら、セーラ先生怒ってるから、ユリアさんから離れよ」

 俺は、メガネ君をユリアさんから引き離そうとする。

「やだよう~!」

 俺達は、一体、何をやってるんだ……。
 俺の考えでは、パーティの中で唯一男であるメガネ君が、一番しっかりしないといけないと思うのだが、完全に幼児返りしてしまっている。

 というか、ユリアさんが、メガネ君を突き離せば良いだけなのでは?

 俺は、さっきから、ユリアさんとメガネ君の様子を見てたが、ユリアさんは、「お母さんじゃないよ」と、言いながらも、それほど嫌な顔をしていない。
 寧ろ、メガネ君に抱きつかれて嬉しそうにしているし。

 ハッ! そうか……。ユリアさんは、今の状況を楽しんでるのだ。
 ユリアさんは、ハーフリングでチビッ子だから、今まで大人の男性に相手にされて来なかったと言っていた。

 そんなユリアさんに、メガネ君は抱きつき甘えている。
 ユリアさん的には、ウハウハ状態。
 ユリアさんは、見た目は子供だが、中身はオバサン。男の子に抱きつかれても、思春期の娘のようにドキドキする事もないのである。

「ユリアさん、いつまでやってるんですか?」

「な……なんの事だべ?」

「ユリアさん。今の状況楽しんでるでしょ!」

「な……何を言ってるべ! リコリットちゃん!」

「モテ期とか、思ってるんでしょ!」

「そ……そんな事ないべ! メガネ君をこのまま調教して、旦那様にしようなんて、決して思ってないべ!」

 ユリアさんは、本音をポロリと暴露してしまう。
 まさか、彼氏を通り越して、メガネ君を旦那にしようとしてたとは……。

「イチャイチャするのは、構いませんが、素材集めの邪魔になるので、歩きながらイチャイチャして下さい!」

「いいんだべか?」

「別にいいですよ。メガネ君に興味ありませんし、ユリアさんも、メガネ君の事を気に入っちゃったんでしょ?
 私は、人の恋路を邪魔するような、無粋な事なんてしませんよ!」

「リコリットちゃん! なんて良い子たべ!」

 なんかよく分からないが、ユリアさんが感動している。
 まあ、40代になるまで、全く男に相手にされずに生きてきたのだ。
 そんなユリアさんから、男を取り上げるなんて、俺には出来ない。

 まあ、男と言っても、メガネ君が軟弱過ぎて男に見えないんだけどね。

 これがメガネ君じゃなくて、むさ苦しい男がユリアさんに胸に抱きついてるなら、問答無用でボコボコにしてるし。

 なんか、メガネ君は中性的で許せてしまうのである。

「エッ! ちょっとメガネ君! お股に何か硬いのが当たってるべ!」

 突然、ユリアさんがメガネ君を突き放す。

 どうやら、メガネ君はユリアさんの巨乳に興奮して、勃起してしまってたようだ。

 しかしながら、顔は中性的だが、メガネ君のナニは、男らしいというか凶悪だった。

 ズボンの上からも分かる、そのナニは、メガネ君には、全く似つかわしくない、巨大なナニであったのだ。

「どうしよう……あんなに大きいの、私のに挿るだべか……」

 ユリアさんは、もう、メガネ君を、自分の彼氏か何かだと勘違いしてるようだった。

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