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500. 人海割り

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「嘘だろ……」

 サセックス国教会総本山正面前の大広場。そこには、何万もの人々が溢れていた。

「こいつらを掻き分けて、サセックス国教会に向かわないといけないのかよ……」

 俺は思わず、愚痴をこぼす。

 朝は、まだ、人もまばらだったのに、いつの間にか人でいっぱいになっていたのだ。

 これも国策として、サセックス国教会の遍路旅行を推奨したからなのだけど。

 毎日、サセックス帝国連邦中に、魔道ホログラムビジョンで、一生に一度は、『サセックス国教会総本山で御参りしよう!』と、呼び掛けてる成果かもしれない。

 サセックス帝国連邦の住民達に、サセックス国教会を信じるさせるのは、サセックス帝国連邦を統治するのに、とても重要な事なのだ。

 同じ価値観を持てば、争う事も無くなるし。
 結局、他国が争うのは、信じる神が違うから。

 まあ、その点、サセックス国教会は敷居が低い。
 何せ、フリーS〇Xを推奨してるし、一夫多妻制を越える。多夫多妻を推奨してる。

 まあ、一応、養える力がある人だけ、たくさんの妻や夫を持てる制度だけど。

 これによって、エロい奴ほど、仕事を頑張って、サセックス帝国連邦内に金を落としてくれる。
 しかも、金持ちになればなるほど、たくさんの貧乏人を養ってくれるので、国としては有り難い。

 因みに、サセックス王国の貴族であるサS〇X騎士団の連中なんて、何人もの夫を囲ってるしね!

 尚且つ、サセックス国教会は、フリーS〇Xを推奨してるので、俺とS〇Xしても不倫にはならないのである。

 人間誰しもエロいのだ。
 エロには、誰も抗えない。
 エロの為に仕事をして、エロで国が発展する。

 そして、サセックス国教会総本山のお遍路旅行の最大の楽しみは、股旅。

 諸国を股に掛けて旅するじゃなくて、言葉通りの『お股旅』である。

 知っての通り、サセックス国教会は、フリーS〇Xを推奨してるので、売春は罪にならない。

 逆に、推奨してる程だ。

 サセックス帝国連邦の皇帝の俺自身も、売春宿に頻繁に通ってる程だし。

 その代わり、エロいお店は明朗会計で、お店に働く娼婦に、会計の75パーセント払わないお店は、即摘発し、俺自身がぶっ潰す。

 俺は、若い時からエロいお店に世話になってるから、娼婦の味方なのだ。
 なので、悪徳な店や、マナーのなってない客は許さない!

 娼婦の国民年金も有るし、娼婦の病気の検査もタダ。
 エリクサーがある世界なので、どんな性病も治せちゃうし、女の子の方にも、それほどリスクが無い。
 しかも、フリーS〇Xを推奨してる帝国連邦なので、娼婦への差別も皆無。

 てな感じで、サセックス帝国連邦内に張り巡らさた高速高架下に設置された東海道中膝栗毛じゃなくて、お遍路の為に整備された道には、エロいお店や売春宿が、至る所に設置されてるのである。

 まあ、そのせいもあって、サセックス帝国連邦では、サセックス国教会へのお遍路旅行が、爆発的に人気になったのであった。

 サセックス帝国連邦に住む人々は、お金を貯めて、お股旅!

 男も女もお股旅!

 サセックス国教会が、流行らない訳ないのである。

 てな感じで、この有様。

 俺は、サセックス国教会総本山を前にして、途方に暮れているのだ。

「クッ! 前に進まなければ……しかし、私が前に進めば、人々がパニックになってしまう」

 俺は、ここまでの経験上、俺が、滅茶苦茶魅力的で、人気だという事を理解している。

 絶対に、このサセックス国教会総本山の大広場に集まってる人々の中を掻き分け歩けば、俺は、色々な人達に、色々な場所を触られてしまうのだ。

 絶対に、俺のお股やオッ〇イを触ってくる不埒な奴がいるし、中には、チ〇コを擦り付けてくる奴とかも居るかもしれない。
 それどころか、ズボンからチ〇コを出して、俺に握らそうとしてくるヤバい奴とかも、絶対にいる。
 女の子がお股を触らせてくれるのは良いが、男のチ〇コなと触りたくないのだ。

 俺は、極度の男性恐怖症。

 しかしながら、シロと合流する為には、この人混みの中を進まなければならない。

 俺は、仕方が無いので、人が失神しない程度の闘気を漲らせて歩く事にする。

 しかしながら、それがいけなかった。

 人混みの中なので、まだ子供の俺は、背の高い、遠くにいる大人には気付かれてなかったのだが、闘気を発してしまった事により、俺の半径30メートルぐらいの人間にまでに気付かれてしまったのだ。

「リコリット様がいるぞ!」

「尊い! 尊いです!」

「なんて、愛らしいんだ」

「天使だ! 天使が居る!」

「アッ!」

 ドビュ!

「あああぁぁああああぁぁ!」

 ビクッ! ビクッ! ビクッ!

 なんか、よく分からいドヨメキが起こってしまった。

 しかしながら、俺が闘気を発した事により、俺の半径3メートルに人が近づかなくなった。

 これで、サセックス国教会に入れる。

 俺は、ゆっくりと歩を進める。

「オイ! リコリット様が居るらしいぞ!」

「本当!」

「見に行こうぜ!」

 なんか、ヤバい事になってる気がする。

 俺を囲うように、住民達は、押し合いへしあい。
 大惨事を招きそうだ。

「リコリット様!」

 アホな女が、俺の闘気を押し退けて突撃してくる。

 俺は、殺気を漲らせて、アホな女を睨みつける。

「アン♡ リコリット様ぁ~」

 ビクッ! ビクッ! ビクッ!

 何故だかしらないが、アホな女は失神して倒れてしまった。
 闘気を調整して、人が失神してしまわないようにしてる筈なのにおかしい。

「ウオォォォーー!」

 今度は、下半身素っ裸で、チ〇コをビンビンにおっ立てた変態男が飛びかかってきた。

 俺は、そいつを、キッ! と睨みつける。

 ドピュ!

 そいつは、俺に抱きつく事は叶わず、その場で、射精して果ててしまった。

 やはり、おかしい。
 俺は、ただ睨んだだけなのに……。

「リコリット様! 握手して下さい!」

 今度は、後ろから若い男が、話しかけてくる。

 キッ!

 俺が振り替えって、睨みつけると、

「アッ!」

 ドピュ!

 若い男は、その場で、変な音をさせて失神してしまった。

 何で、失神するんだろう。
 闘気は抑えてるのに……。

 兎に角、俺は、群がる人達を睨みつけながらサセックス国教会総本山に向かった。

 俺の通った後には、イカ臭い失神した男女の山が積み上がってたのは、ご想像通り。

 この、モーゼの海割り ならぬ、リコリットの人海割りは、イカ臭さと共に、サセックス国教会旧約聖書に記載される運びとなったのは、俺の預かり知らぬ話だ。

 そして、しっかりと、リコリットの人海割りの後には、辺りにイカ臭さが漂うと記載されたのは、言うまでもない話だった。

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