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491. 死に戻り二週目

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「ん?!」

 俺は、気付くと、サセックス帝国学校の広大な敷地内。時計台校舎に向かう道のりを歩いていた。

 何が起こった……。

 俺は、全く、状況が呑み込めない。

 このシュチュエーション。

 何故に、歩いてる。

 俺は、歩きながら考える。

 確か、俺は、金髪縦巻きロールやクラリス達と共に、時計台校舎の無料学食で昼食をとってた筈……。

 それなのに、ここはどこだ?

 歩きながら、ボーと、考えてると、ドンドン意識がハッキリしてきて、色々な事が思い出されてくる。

「そうだ……。俺は、昼食中に、突然、眠くなって眠ってしまったんだ」

 俺は、完全に思い出した。

 アレは、確実に誰かに薬を盛られたか、精神攻撃を受けていた。

 じゃなければ、テラス席に居た俺達だけが、眠る訳無いのである。

 というか、俺は、殺されたのか?
 この道を歩いたのは、一度きり。

 そう、入学式の時に、歩いたきりである。
 今のこの状況は、死に戻りしたと考えるのが自然だ。

 じゃなければ、俺は夢遊病患者。

 眠ったまま、広大なサセックス帝国学校内を、フラフラ眠りながら歩いていた事になる。

 ここで、何を考えても無駄だ。
 兎に角、時計台校舎に向かえば分かる事。

 俺は、早急に、時計台校舎に向かった。

 ーーー

 時計台校舎前に到着すると、丁度、入学式が始まろうとする時だった。

「それでは、ただ今から、サセックス帝国学校の入学式を開催したいと思います!」

 司会と思われる女性の声が聞こえてきた。
 生徒達は、中庭に設置されてた長椅子に直ちに座る。

 俺も、慌てて、空いてる席に座った。

「まず、最初に、このサセックス帝国学校の設立に尽力された、ペーター校長から有り難いお言葉を頂きたいと思います!」

 髭を蓄えたペーター校長が、中庭に設置されてる壇上に立つ。

「え~皆さん、今日は、サセックス帝国学校開設に相応しい、素晴らしい晴れ渡る天気となりました!
 今日という日が、サセックス連邦帝国を支える素晴らしき人材が育つ、最初の一歩。最初の日になる事を切に願います!
 それでは学生諸君! 仲間達と友情を育み、共に学び、共に精進し、切磋琢磨して過ごしましょう!」

 ペーター校長が、無難な、ペーター君らしい素晴らしい演説をする。

「それでは、続いて、生徒代表、リコリット・A・サセックスさん。前に出て来て下さい!」

「ん? 俺?」

 俺は、突然、司会の女の人に呼ばれて、焦ってしまう。

 そう言えば、俺は生徒代表として、入学式で演説する予定だった。

 しかしながら、最初の1周目では、メアリーが突然怒りだし、生徒全員を気絶させ、俺の演説は中止になったというか、入学式自体が、有耶無耶のまま終わっていたのだった。

『何で、生徒代表挨拶なんかしないといけないんだよ!
 俺は、ついさっき、殺されたばかりなんだぞ! 挨拶する余裕なんかあるかよ!』

 俺は、心の中で、悪態をつく。

 しかしながら、俺が死に戻りしたとか言って、信じてくれる人間など、ここには居ない。

 ペーター君なら信じてくれるかもしれないが、ここでは、というか、入学式の席で言う話でもない。

 ん? 俺が死に戻りする事を知ってるメアリーなら、信じてくれるんじゃないかって?

 それは無い。だって、メアリーは、リコリットとセドリックが、同一人物だと思ってないし。

 まあ、帝政ロシア ロマノフ家レーダーを持ってる魔女マーリンは、今、俺を見た時点で気付いてると思うけど。

 実際、俺の事を、ヨダレを垂らして見てるし。

 というか、もしかして、俺を殺したのは、魔女マーリンか?

 よく考えたら、俺の事を殺す事が出来るのは、デスサイズを持つ魔女マーリンと、草薙剣を持つガブリエルだけ。

 ガブリエルは、ここに居ないし、俺を殺す理由が無いので犯人では絶対に無い。

 と考えると、俺を殺した犯人は、魔女マーリン?

 しかし、魔女マーリンが、俺を殺すか?

 魔女マーリンは、俺と仲良くしたいだけのようだし。
 まあ、仲が良くなったら、犯されそうな気はするけど。

 それから、メフィスト・フェレスも考えられる。俺の事をじっと見てるし。

 というか、今、俺を鑑定で見てる気がする。

 なんかよく分からないが、今、急にニヤッとした。

 どうやら、鑑定が終わって、俺の正体がセドリックで、異世界人だと気付いたようだ。

 メフィストは、俺が死ぬ前、食堂で、アメリカ大陸で戦った時に、俺が異世界人だと分かっていたら、他にやりようがあったと言っていた。

 やはり、まだ、この世界に悪魔王ルシファーを召喚する事を、諦めてないのか?

 やはり、俺を殺した犯人は、メフィスト・フェレス?

 俺は、色々考えなから、いつの間にか壇上に立っていた。
 しかしながら、演説をする気分じゃない。
 というか、頭の中で、誰が俺を殺した犯人なのかグルグル回って、演説など出来る気がしない。

 とか、思ってたら、今度は、俺の事をキツい目をして睨んでる、キャメロットと目があった。

 俺達の昼食の食事は、キャメロットが配膳してくれた。
 という事は、キャメロットは、俺達の昼食の中に、睡眠薬を入れる事が可能。

 キャメロットは、実際、『恋愛イチャイチャ キングダム』のイレギュラーである俺を、憎んでいた。

 キャメロットには、俺を殺そうとする動機が、十分にある。

 そんな事を言ったら、元々、敵国だった、神聖セドリック王国の小カールや金髪縦巻きロールにも、俺を殺す動機は十分にある。

 イベリア王国の元王子のイベリコなんか、イベリア王国を滅ぼした、サセックス王国の姫である俺を憎みに憎んでいるだろう。

 そう、ここにいる奴らには、全員、動機があるのだ。

 ん? それは無いだろうだって?

 飛躍し過ぎ?

 そんな事はない。

 俺が統治するサセックス王国の住民達は、他国の人達を、陰で豚と罵ってるし、その事を、他国の住民達も知っている。
 そんでもって、何故か、サセックス帝国学校には、サセックス王国の生徒が、一人も居なかったりするのだ。

 まあ、サセックスの住民達は、仕事が溢れてるので、サセックス帝国学校に入る必要が全くないというのが、本当の所。

 そして、サセックス王国の貴族は、サS〇騎士団のメンバーのみなので、誰もサセックス帝国学校に入学してない。

 ほら、やっぱり、サセックス帝国学校の生徒は、俺の敵だらけなのだ。

 多分、俺の味方と断言できるのは、ペーター校長と、親戚?のメアリーぐらいだろう。

 俺は、なんかメラメラと生徒達に怒りが沸いてきた。

 俺の事をチヤホヤしてくれてたのは、きっと、俺を陥れる為の罠だったのだ。

 そして、俺を安心させて、俺を殺した。

『絶対に、許さない』

 俺は、怒りに任せて、魔道マイクを持つ。

 そして、俺に注目してる生徒達を見渡し、一呼吸置いてから、

「私に、2メートル以上近寄らないで下さい。 豚臭が移りますので」

 俺は、冷めた声で言ってやった。

 これで、俺を殺そうとしてる敵が、俺に近寄って来る事は無いだろう。

 生徒も先生達も、俺の演説を聞いて、シーンと静まり返ってるし。

 そんな感じで、俺の学園生活の2週目が始まった。

 ーーー

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
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