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460. 狼耳少女クラリス
しおりを挟む俺は、シロに見送られて、時計台本校舎に向かう。
なんでも、時計台本校舎前の掲示板に、クラス分けの紙が貼られてるらしいのだ。
それを見て、自分のクラスの教室に行くという事らしい。
「リコリット様! お供しますわ!」
貴族寮のリーダーぽい縦巻きロールが、自分の取り巻きを引き連れて、俺に続く。
なんかよく分からないが、どうやら、俺は女貴族軍団の長になってしまったようである。
まあ、俺の身分が一番高いので、当たり前なのかもしれないけど。
で、聞いてもないのに、金髪縦巻きロールは、自分の事をやたらに話してくる。
何でも、金髪縦巻きロールは、神聖セドリック王国の王様カール大帝の娘であるらしく、この学校に通う中で、俺の次に身分が高い家柄の者であるらしい。
そして、この学校には、双子の兄と一緒に入学して来たとの事。
因みに、入学試験の成績は、双子の兄が魔術試験で1位。縦巻きロールは2位であるらしい。
なんか、この物語に、やたらと双子が多いのは作者の趣味だろう。
まあ、今回は、男女の双子なので良しとしておく。
そして、金髪縦巻きロールの話を総合すると、多分、俺と金髪縦巻きロールは、同じクラスになる筈という話だ。
俺は、なんてったって、筆記試験で1位だったしね!
因みに、魔法試験で入学してきた生徒は、殆ど貴族で、高位のバンパイアという事であった。
まあ、バンパイアは魔法適正が高いので、当然なんだけど。
そんでもって、筆記試験や、筆記試験と魔法試験の両方で受けてる者達は、元々、学がある商人の子弟や、メッチャ勉強した平民達。
俺みたいに、バンパイアなのに、筆記試験で合格するのは異例中の異例らしい。
まあ、俺の場合、バンパイアを越えるパーフェクト・バンパイアなんだけど、まだ、Lv.1なので、魔法試験じゃ合格できなかったというのが、正直な話。
てな、話をしつつ、時計台本校舎前に張り出されてたクラス分け表を見てみたら、案の定、俺と金髪縦巻きロールは、同じクラスであった。
縦巻きロールの取り巻き達も、身分が高く、魔法適正が高い者達4人が俺と同じクラスになった。
でもって、俺達は、Sクラスの教室に向かう。
Sクラスは20人。
他にも、成績順に、Aクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスとあるようだ。
Sクラスの教室に行くと、案の定、金髪縦巻きロールの双子の兄という男が、俺の前にやってきた。
「リコリット様! お初にお目にかかります。私は、神聖セドリック王国の第3王子、ルートヴィヒと申す者でございます!」
金髪縦巻きロールの双子の兄、金髪碧眼の目鼻の整った少年、ルートヴィヒが挨拶してきた。
「リコリットです! 宜しくお願いしますわ!」
俺は、スカートの端をもって、貴族風の挨拶で無難に返し、そのまま適当な席に座る。
「えっと! あの!」
なんか、ルートヴィヒが、挨拶の後、話し掛けようとしてたみたいだが、無視する。
だって、俺、男嫌いだもん!
俺は、取り巻きの貴族の少女達に、チヤホヤされていたいのだ。
可愛い少女達に、囲まれているのは、嬉しいし、ちょっと興奮してきてしまう。
というか、俺は、オリ姫パンツに装着されている女性用テンガを、常時、弱でONにしてるからかもしれない。
なんて、学校って気持ちいいんだろう。
これで、猫耳とか、犬耳とかの獣人がいたらいいんだけど。
とか、考えてると、
「このクラスニャー!」
「クラリス様! お待ち下さいませ!」
猫耳というか、狼耳の獣人と、兎耳の獣人の少女がSクラスの教室に入って来た。
「アッ! リコリット様が居るニャ!」
なんか、狼耳の少女が俺を見つけると、早速、挨拶にやって来た。
「ちょっと、待ちなさい! 獣人風情が、気安くリコリット様に話し掛けないでくれるかしら!」
金髪縦巻きロールが、悪役令嬢のように、銀髪の狼耳少女の前に立ち塞がる。
「お前に、関係ないニャ!」
なんか、金髪縦巻きロールと狼耳少女が、俺の目の前で火柱を発し、牽制しあっている。
「お待ち下さいませ! 貴女方は、アメリカ大陸からやって来た者達ですよね?
私は、同じ帝国連邦内の人々に差別などしません!」
俺は、サセックス帝国連邦の幼姫として、度量が深い所を見せてやる。
というか、ケモ耳少女が大好きだし!
猫耳は、ブリトニーとか、後、名前なんだったっけ、俺の家に居候してた猫?ミーナだったっけ?
奴らで、猫耳はお腹いっぱいだけど、狼耳や兎耳は、初めてだから、是非ともお友達になりたいのだ。
「流石、姫様! 話が分かるニャ!」
銀髪の活発な狼耳の少女が、まんまブリトニーの話し方で、俺に話し掛けてくる。
確か、幼い猫耳族は、語尾ニャで話すと聞いた事があったっけ。
まあ、何故、狼耳族が、語尾ニャで話すのかは、謎だけど。
「クラリス様、リコリット様に失礼ですよ!」
なんか、見覚えがある白蜘蛛ネックレスを付けてる白兎の大人しそうな獣人が、クラリス?に注意する。
「そうだったニャ! 挨拶するニャ!
私は、南アメリカ大陸から来たクラリス、10歳ニャ!
一応、南アメリカ大陸で一番大きいニャンダ王国のお姫様なのニャ!」
よく分からないが、クラリスがエッヘンとする。
「何で、リコリット様より身分が低い、貴女がエッヘンするんですか!」
どうやら、金髪縦巻きロールは、狼耳少女クラリスが気に入らないらしい。
「お前、一々、五月蝿いニャ!」
「何ですって! 獣人風情が、神聖セドリック王国の姫の私に向かって!」
「私だって、ニャンダ王国のお姫様なのニャ!」
「聞いた事も無い、ニャンコ王国なんて、由緒正しい神聖セドリック王国と比べられる国じゃありません!」
「ニャンコ王国じゃないニャ! ニャンダ王国ニャ!」
「ニャンコもニャンダも一緒です!」
「あの……私は、白兎耳族のウサウサ10歳です……。クラリス姫の従者で白蜘蛛教の神官でもあります」
なんか、変なタイミングで、白兎耳族のウサウサが挨拶してきた。
多分、タイミングが分からない子なんだろう。
「クラリスとウサウサですね。私はリコリットです!
どうか、これから仲良くして下さいませ!」
俺は、テンション高めに手を差しだし、2人と握手する。
だって、2人とも、とっても美少女なんだもん。
人目が無かったら、絶対、ケモ耳触ってる。
「仲良くするニャ! 今日から私とリコリットはマブタチなのニャ!」
クラリスが、全く悪びれる事なく偉そうに言う。
「何で、上から目線なんですか!
それから、何で、いきなりマブタチになるのよ!」
教室内に、何故が羨ましそうな、金髪縦巻きロールの声が響き渡った。
ーーー
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