上 下
456 / 568

456.リコリット・A・サセックス

しおりを挟む
 
 暑い夏が終わり、過ごしやすくなってきた9月。場所は、サセックス王国南西の港町ブライトン。
 ブライトンは、サセックス国教会の総本山がある街として栄え、風光明媚な観光地であり、巡礼地でもある。

 そんなブライトンに、神童と名高いサセックス王国の幼姫、リコリット・A・サセックスが降り立った。

「リコリット様、遅れてしまいますよ!
 なにせ、リコリット様は、超難問と言われていたサセックス帝国学校の筆記試験で、唯一100点満点の点数を叩きだした神童なんですよ!
 入学試験1位の者は、生徒代表として皆の前で挨拶しないといけないので急いで下さい!」

 サセックス王国の宰相で、リコリットの教育係のシロが話し掛ける。

「シロが悪いんですよ!
 制服なんて、みんな一緒ですのに!
 私のだけ、特別仕様にするとか急に言い出して、入学式ギリギリまで製作してるんですもん!」

 シロは、移転装置があるからと、入学式ギリギリまで、制服作りに没頭していたのだ。

「それは、リコリット様が、これ程まで変わられると思っていなかったんですよ!
 何なんですか?
 1ヶ月前まで、ずっとオリ姫パンツのテンガコントローラーを決して離さずに、毎日猿のようにオ〇ニーばかりしていたのに!
 3日前に久しぶりに会ったら、完璧なお姫様に変身してるって!
 流石に、まともなお姫様に、テンガ付きのビキニアーマーを着させて、サセックス帝国学校に入学させれませんよ!」

 シロが、呆れ気味に答える。

「それは、毎日、オ〇ニーして悟ったんです!
 このままでは、自分が、駄目になってしまうと。
 そして、急遽、入試試験を受けて裏口入学ではなく、堂々とサセックス帝国学校に入学して、必死に勉強し、立派な大人になってみせると!」

 セドリック改め、リコリット・A・サセックスは、まな板胸を張り宣言する。

 因みに、リコという名は王族にしては、アホっぽい名前だったので、急遽、シロが王族らしい長ったらしい名前にした。
 それから、ミドルネームのAは、アマイモンのAであったりする。

 とか話してる内に、いつの間にかサセックス帝国連邦の威信を掛けて建設されたサセックス帝国学校の校門の前に到着していた。

「リコリット様、僕がついて来れるのはここまでです!
 サセックス帝国学校は、基本、生徒1人につき、従者1人、従魔1匹までと決まってますから!」

「オリ姫が、私の従者と従魔をやってくれるのですね!」

「キュイ!」

 一応、下着として制服の下に着てる、ビキニアーマーにactチェンジしてるオリ姫が答える。

「オリ姫を下着として着ていれば、どんな輩に襲われても犯されませんから!」

 シロが、まるで、誰かに説明するように話す。

「オリ姫、お願いしますね!」

「キュイ!」

「アッ!」

 リコリットが、突然、声を出して悶絶する。
 オリ姫パンツが、テンガを振動させて答えたのだ。

「オリ姫、私をテンガで遊ぶのは程々にして下さい!」

 リコリットは、強めにオリ姫に注意する。

「キュイ!」

 素直なオリ姫は、今度はテンガを振動させなかった。

「リコリット様、立派な大人になる為には、もう、テンガは要らなかったのでは?」

「私にも、たまには息抜きが必要ですので、テンガは絶対に必要なモノなのです」

 リコリットは、澄まし顔で話す。

「そんなもんですか?」

「そんなもんです!」

 そんな感じで、セドリック改め、サセックス王国幼姫リコリット・A・サセックスは、サセックス帝国学校に入学する為に、サセックス帝国学校の門を叩いたのであった。


 ーーー

 サセックス帝国学校が開校されるというニュースは、今から丁度一年前に突然、発表された。

 謳い文句は、こうだ。

 サセックス帝国連邦内の、一番最高峰学校。
 サセックス帝国学校の卒業生は、サセックス連邦帝国の要職に就職できる。

 その他にも、サセックス連邦帝国内にある国々の、中枢に関わる機関の推薦枠なども確保しているという話だった。

 まあ、ここまでなら、よくある話。

 ハッキリ言って、ブルーカラーの平民には無関係の話だ。

 しかし、サセックス帝国学校が、他の金持ち貴族が通うような学校と違うのは ここから、

 サセックス帝国学校は、身分を問わず、試験の合格者は誰でも入学出来てしまうのだ。

 しかも、1期生に限り、入学金は免除!

 これが、一番大きかった。
 そもそも、貴族学校のような高水準の教育を受けられる学校は、支度金やら、入学金やらが滅茶苦茶高く、一般市民は、その時点で入学する事を断念する。

 この、入学金免除の情報が各地に拡がると、サセックス連邦帝国内での、一大受験勉強ブームが始まった。

 一生に一度有るかの大勝負。

 本来なら一生、農作業しかしなかったであろう人間の人生が、360度変わるチャンスなのだ。

 何故か、各地に移動式本屋がたくさん現れ、サセックス帝国学校発行の、赤本なる、サセックス帝国学校の過去問集が、初めての試験の筈なのに売り出されたり、
 試験科目である、算数や歴史の参考書なんかも、破格の値段で売り出されたりしたのも、人々が飛び付いた理由だ。

 しかしながら、識字率が低いこの世界では、ある程度、学が有る者でも、その赤本や参考書が難し過ぎて、赤本を手にした時点で、入学を諦めた者も続出したとか。

 しかし、そんな中にも、諦めないガッツがある天才も居るものである。

 タダ同然の赤本を手に入れ、それを使い文字を覚え、それから試験勉強をする強者も結構居たのだ。

 ーーー

 そして、受験勉強期間が終わると、サセックス帝国各地で入試試験が始まり、幾日が過ぎた頃、突然の大スクープが発表されたのである。

 サセックス王国の幼姫、リコリット・A・サセックスも、サセックス帝国学校に入学されると発表されたのだ。

 これに目の色を変えたのが、サセックス帝国連邦の貴族達。

 最初は、平民なんかと同じ学校なんかに行けるかと、サセックス帝国学校を軽視してたのだが、サセックス王国の姫と懇意になれるかもしれないと思ったのか、サセックス帝国連邦内に住んでる貴族が、慌てて試験を受け始めたのだ。

 それから、しばらくして、また、大ニュースが飛び込んできた。

 試験免除で入学する筈だった、サセックス王国の幼姫、リコリット・A・サセックスも入学試験を受けると。

 何でも、一人だけ試験免除で入学するのは、心苦しいという高潔な理由だとか。

 実を言うと、リコリットが、サセックス帝国学校に入学すると発表されてから、全く試験勉強などしてなかった帝国内の貴族が、試験官に賄賂を送って不正を行う事件が度々起こっていたのである。

 そんな事件に、一石を投じたのが、サセックス王国の幼姫、リコリット・A・サセックスだったという訳だ。

 しかも、自分が不正を疑われるのが嫌だとかで、リコリット・A・サセックスの試験は、サセックス連邦帝国内で運用実験されてた魔道式ホログラムビジョンで、サセックス連邦帝国全土で生中継されたのである。

 その魔道式ホログラムビジョンで、サセックス王家の象徴である血のような赤髪に、真っ赤な瞳をした美幼女に、サセックス連邦帝国の国民は、全員、恋に落ちてしまったとか、しないとか。

 兎に角、余りに可愛らしい美幼女に、男は勃起して、女はお股が濡れたのは確かである。

 まあ、見た目だけでなく、サセックス連邦帝国の国民達は、その高潔な性格にも惚れてしまった。

 リコリット・A・サセックスは、王家の者なら、魔法実技試験で軽く合格出来る筈なのに、敢えて、難解だと言われていた筆記試験のみで受験したのだ。

 誰もが無理だろと思ってたのに、スラスラと公式を解いて計算していく。
 手元も、しっかり映っているので、細かく計算してる所も見えるので、絶対に不正は不可能。

 ある程度、学が有る者がみれば、その凄まじすぎる頭の回転力に感嘆する。

 そして、難なく試験が終わると、そのまま不正出来ないように答え合わせ。

 その様子を、サセックス連邦帝国の国民達は、魔道式ホログラムビジョンを通して、固唾を飲んで見守り、
 最後の歴史問題に、丸が描かれた時には、サセックス連邦帝国内に、大拍手が響き渡ったのであった。

 満点不可能と言われていた筆記試験の、前人未到の100点満点!
 不正は、一切無し。
 しかも、間違い無く、最年少合格者!
 才色兼備な、神童爆誕す!

 こうして、遂に、セドリック改め、リコリット・A・サセックスの伝説が始まったのである!

 ーーー

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
 面白かったら、お気に入りにいれてね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

処理中です...