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421. 序列7位
しおりを挟む「ご主人様! 目的地のダンジョンが、肉眼でも見えてきましたよ!」
ゴールデンスカル号の船首に立ち、道案内をしていたシロが、俺に伝えてくる。
「分かった! そしたら、オリ姫と舵を代われ!」
「えっ?! 何でですか?」
「何でもだ! 俺には、やらなくてはいけない事があるんだよ!」
シロは、ブツブツ言いながらも、オリ姫と舵を代わる。
「オリ姫! オリ姫モーニングスターにactチェンジだ!」
「ご主人様! まさか、登場と同時に、ダンジョンから這い出てくる魔物達を、一掃する気ですか!」
シロが、興奮しながら聞いてくる。
「内緒!」
俺は、シロに頭の中を読まれないように、無心になる。
俺は、意外と無心になるのが上手なのだ。
だって、今迄の人生、現実逃避して無心にならないと、やってられない事が沢山あったから。
ただ、無心に修行したり、無心に働いたりすると、心が紛れる事を、俺は経験から知ってるのである。
「シロ、そのまま敵味方乱戦で戦ってる、ダンジョン前に横付けしろ!」
「ラジャ!」
シロは、興奮気味に返事をする。
俺が大好き過ぎるシロは、なんやかんや言っても、俺が活躍する所を見るのが好きなのだ。
「居た!」
俺は、オリ姫モーニングスターを回転させながら、目的の人物をロックオンする。
「ご主人様! 1つ質問ですけど、何でオリ姫モーニングスターのトゲトゲ出してないんですか?」
シロは、疑問に思ったのか質問してきた。
「そんなの、オリ姫が血だらけになったら、可哀想だろ!
オリ姫モーニングスターは、トゲトゲ付いてなくても、殺傷力は高いんだよ!」
「成程」
シロは、なんの疑いもなく納得した。
「じゃあ、派手に行くぞ!」
「了解!」
シロは、思いっきり舵をきり、ゴールデンスカル号をドリフトさせながら、ダンジョンの目の前にビタ付けさせる。
「な……何だ!」
「何故、陸上に船が居るんだ!」
「ちょっ! ヤバイぞ!」
「ぶ……ぶつかる!」
「ギギャァーー!」
味方も敵の魔物も、土煙を撒き散らしながら、突然現れたゴールデンスカル号に、驚き、恐れ慄いている。
そんな中、冷静に獲物をロックオンしてる俺は、そいつに向かって、オリ姫モーニングスターを遠心力最大で、思いっきりぶつけてやる。
「死にさらせーー!」
「えっ?! 嘘、味方じゃないの?!」
俺と会った事があるそいつは、完全に安心してたのか、どうやら気が緩んでいたようだ。
そいつは、完全に不意をつかれて、思いっきりオリ姫モーニングスターに、直撃して、空の彼方に消えて星になったのだった。
「えっ!? セド君、何してるのよ!」
丁度、そいつの隣で、ダンジョンから出てくる魔物の相手をしていたアナスタシアが、顔面蒼白で俺に何か言っている。
「えっ? 今の人、敵じゃなかったんですか?
相当、強そうに感じたので、不意打ちで排除しといたんですが、問題ありました?」
俺は、すっとぼけてみせる。
「セド君! あの娘は味方よ! この戦線の最大戦力だったのに、なんて事してくれるのよ!」
アナスタシアはカンカンだ。
「大丈夫ですよ! ほら、オリ姫トゲトゲ出してないでしょ!
あの人、丈夫そうだから、きっと死んでませんよ!
但し、ここに帰ってくるのに、半年くらい掛かると思いますけどね!」
「ご主人様……」
シロも、呆れた顔をして、俺の方を見ている。
そう、俺がオリ姫モーニングスターで、吹っ飛ばしたのは、ジャンヌ・ダルク。
先の戦争で、俺の活躍の舞台を潰した張本人である。
俺は、前前回、死に戻りしてジャンヌ・ダルクの死体を見つけた時、絶対に俺の手で復讐してやろうと、心に決めていたのだ。
だって、最初に復讐しとかないと、魔女マーリンに、また、殺されちゃうかもしれないしね!
「セド君。ジャンヌは、貴方に会った事有ると言ってたけど」
アナスタシアは、額に青筋を立てて御立腹だ。
折角、美人さんなのにもったいない。
「ご主人様、今回は、流石に謝った方がいいですよ……」
「何が悪い! 俺は、アイツにリベンジしただけだ!
それに、アイツ、どうせここに居ても死ぬだけだし!
実際、前回も、前々回も魔女マーリンに殺されてただろ!」
「ん?! もしかして、セド君、死に戻りしてるの?」
突然、アナスタシアが食いついてきた。
「ここに来たのは、今回で3回目だな!」
「新たに生まれた魔王は、そんなに強いの!?」
「ん? 魔王? 魔王なんて、まだ1度も見てないけど?」
「そしたら、誰が、ジャンヌを殺したというのよ!」
「ジャンヌというか、ここに居た全員、死んでたぞ! 味方も敵もな!」
「ん? どういう事?」
アナスタシアは、敵まで死んでる事を理解できないでいるようだ。
まあ、普通、魔王が現れたら、魔物を率いて戦うのが本来の姿だと思うから、しょうが無いけど。
「異界の悪魔が、現れたんだよ!
しかも、2人!」
「何ですって! 異界の悪魔って、アマイモン様と同格の悪魔って事……」
アナスタシアがアマイモンを知ってるという事は、契約を交わしてるのは本当の事であったようだ。
「メフィスト・フェレスって奴は、アマイモンより劣るらしいけど、黒死病、ハーメルンの笛吹き男は、アマイモンと同格と言ってたな!」
アナスタシアは、俺の話を聞いて青ざめている。
まあ、アマイモンを知ってる奴なら、アマイモンと同格と聞いたら、誰しも絶望するだろう。
「ご主人様! 間違ってますよ! お父さんが本気を出せば、ハーメルンの笛吹き男に勝てるって言ってました!」
「そうだったか?」
「ご主人様、お父さんを舐めてません!
お父さんは、姫様のところに居る方のセバスチャンさん。あの七つの大罪の大罪悪魔アスモデウスを配下に治めてるんですよ!
そして、七つの大罪にでてくるマモンや、
グリモワール『ゴエティア』に出て来る、悪魔序列7位のアモンと、同一人物じゃないかと噂されてるんです!」
「そんなに凄い奴だったの……」
「凄くなかったら、僕達が生まれたアムルーダンジョン作れませんよ!」
「確かに……」
俺は、違う意味で、少し青ざめた。
ーーー
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