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417. ヤバい悪魔
しおりを挟む俺達は、移転魔法陣を使って、アムルーダンジョン最深部である666階層に移転する。
まあ、最深部と言っても、南の大陸から見たら1階層なんだけどね。
「お父さん!」
シロが、掘っ建て小屋の中でアマイモンを探し回る。
現在、1階層は大改造中で、シロは暇を見つけてはリフォームしている最中なのだ。
なんでも、お父さんが住む家に、自分の部屋を作りたかったとか。
で、掘っ立て小屋は、現在の仮の住まい。
なんやかんや言っても、アマイモンはシロに甘いので、1階層を、一日中 真夜中の、おどおどろしい世界に変えてしまったのである。
何でも、シロのイメージで、魔王や悪魔や吸血鬼の居城は、闇の世界に建っているとの事。
アマイモンも、一応、大悪魔なので、それに相応しい城に住んで欲しいという事だった。
シロの自分の部屋を作るだけだった筈なのに、何で、こんな大事になってるのか、俺的に謎なのだけど。
そんでもってシロは、暇を見つけては、アムルーダンジョン1階層?666階層?に来て、セッセと城造りに励んでいるのだ。
何でも、アムルーダンジョンは、南の大陸の人達に秘密なので、南の大陸のドワーフに外注出せないのだとか。
まあ、第35階層もアムルーダンジョンの筈なのに、ガンガン、ドワーフ使ってるんだけどね。
ーーー
「お父さん居ませんね?」
「多分、モフウフ王宮のトイレ掃除の時間だろ?」
「ですね! それじゃあ、南の大陸に行ってみましょう!」
何故かシロは、ウキウキだ。
基本、シロは家族に飢えてるので、アマイモンが大好きなのである。
「オイ! この階層の魔素濃度、どう考えてもヤバ過ぎるだろ……」
てな、話をしてると、メアリーが息苦しそうに話し掛けてきた。
「そうか?」
「ご主人様、メアリーさんは、アムルーダンジョン生まれじゃないから、お父さんの魔素に身体が慣れてないんですよ!」
「確かに、今まで全く気付かなかったけど、この階層、メチャクチャ魔素濃度高いんだな」
「メアリーさんだから耐えられますけど、普通の人間なら、発狂する魔素濃度ですからね!」
「じゃあ、アムルーダンジョン生まれじゃないミレーネは、何で大丈夫なんだ?」
「それは、ご主人様の眷族だからですよ!」
「ミレーネ、お前、本当に何ともないのか?」
「ハイ! 全然、問題有りません! 寧ろ、居心地が良いくらいです!」
「成程……」
全く、考えたくないが、このアマイモンのヤバイ位の魔素濃度に耐えられる俺は、やはり、アマイモンの息子という事になってしまうようだ。
「当たり前じゃないですか! 僕達、お父さんが作ったダンジョンから生まれたんですよ!
即ち、お父さんの魔素から生まれたんだから、親子に決まってるじゃないですか!」
シロが俺の頭の中を読んで、勝手に回答してくる。
「そんな事言ったら、ラインハルトやケンジやブルースや、アムルー城塞都市に住む、全員、アマイモンの息子になっちまうじゃねーかよ!」
「その通りです!」
「俺、ラインハルとは兄弟になりたくないんだけど……」
「多分、僕やご主人様やオリ姫のような、突然変異は、特にお父さんとの結び付きが強いと思いますけど、ラインハルト程度じゃ、僕達の遠い親戚程度の結び付きしかないですね!」
「じゃあ、ケンジは?」
「ハトコ!」
「オリ姫は?」
「僕とご主人様の妹! というか長女ですね!
僕達の中で一番強いから、お父さんの血を一番色濃く受け継いでる筈ですから!」
「お前らの、お父さん、ヤバイ人だったんだな……」
メアリーは、完全にアムルーダンジョン最下層部、第666階層の魔素に当てられて、真っ青な顔をしてブルブル震えてる。
「ご主人様!」
「ああ。限界そうだな……」
メアリーのとても辛そうな様子を見て、改めて、アマイモンのヤバさに気付かされたのだった。
ーーー
てな訳で、俺達は、急いでアムルーダンジョンから抜け出して、モフウフ王宮カジノの便所掃除道具置き場に移動する。
「何で、滅茶苦茶ヤバいダンジョンの入口が、便所掃除道具置き場なんだよ!」
メアリーが、先程までの辛そうな様子から、一転して、全力で突っ込みを入れている。
「お父さん居ませんね」
そんな、メアリーの一人突っ込みを、シロはスルーする。
多分、自分の生まれ故郷を馬鹿にされた気がしたのだろう。
俺だって、自分の生まれ故郷のダンジョンの入口が、便所掃除道具置き場とか、滅茶苦茶嫌だもん!
だってもし、南の大陸で友達が出来て、家に遊びに来たいとか言われたら、便所掃除道具置き場から、ダンジョンに入らなければいけないんだよ!
今は、どこにでも移転魔法陣を設置できるから、便所掃除道具置き場を使わずに、湖畔のログハウスまでショートカットするけどね。
ーーー
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