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393. お迎え
しおりを挟むそれから3日後、メアリーがサセックス公国に迎えに来た。
「本当に行くんですか?ご主人様は、アナスタシアさんに利用されてただけなんですよ!」
シロが、信じられないという顔をしている。
「確かに、アナスタシアは、俺を利用しようとしてたかもしれない。
だけど、俺が一番辛いときに、目を掛け、優しく励ましてくれた事も確かなんだ」
「それって、弱みに付け込むというか、詐欺師の常套手段ですよ!
別れた直後の異性に相談するフリして、自分が、その人と付き合っちゃりしちゃう奴とか!
弱ってる時に近付いてくる人って、絶対に、打算があって近付いてくるんですからね!」
「お前、そんな事言ったら、本当に心配して慰めてくれる人に失礼だろ!」
「違いますね! みんなマウント取りたいだけですよ!
慰めて、コイツは自分より下の可哀想な奴だと、悦に浸るんです!
そして、可哀想な人を助ける俺って格好いい! って、自分に酔っちゃうんですよ!
基本、詐欺師系の人って、人が弱ってる時がチャンスだと思ってますからね!」
「お前、酷い奴だな……」
「辛い時に、その人の為になる酷いこと言う人の方が、本当に、その人のことを思ってるんです!
そして、詐欺師に騙されてる人は、自分に都合がよく、楽になる話の方に流されちゃうんです!」
「確かに、洗脳されてる人って、良かれと思って正そうとしてる人達を拒絶するよな……。
そして、本当に心配してくれてる人を、逆に敵と認識し、悪者の詐欺師の事を、正義と勘違いするんだ。
世間知らずの、何処かの島国の皇太子とか、内親王みたいに……」
ドン!ドン!ドン!ドン!
「お前ら、何やってんだ! 船に人を待たせてるんだぞ!」
メアリーが、俺のプライベートルームの戸を叩き、急かしてくる。
「人って、誰を待たしてるんだ!」
俺は、戸の外に向かって、怒鳴り返す。
「それは、内緒だ!」
「勿体ぶりやがって! そいつらも、サセックス城に来てもらって、ゆっくり寛いでもらっとけばいいだろ!
俺達は、ゆっくり話したいんだよ!」
「アホか! お前の国は、他国の人間が豚に見えるように細工してるんだろ!
同盟国であるブリテン王国以外の人間を、連れて来たら、大事になるだろうが!」
「まあ、確かに、襲われて食べられる可能性は有るな……」
「た……食べられるのかよ! お前の国は、一体、どうなってるんだよ!」
流石のメアリーも驚愕している。
やはり、俺の国は、どう考えてもヤバイ国であったようだ。
てな感じで、メアリーが五月蝿いので、メアリーが乗って来た船に向かう。
そのまま、スタンピートが起きている、北アメリカ大陸のダンジョンに向かうらしい。
サセックス公国からは、円卓の騎士に任命されている、俺とシロとオリ姫とミレーネが向かう事になる。
サセックス公国の事は、ハイジとペーターに任せておけば問題無い。
サセックス連邦の方は、ノルマンディー公国のウィリアム1世にはセーラを、イスパニア王国のゲクランには、ハニートラップ要員の半月騎士団を付けてるので、多分、問題無いだろう。
最近、ウィリアムを鍛えるとか言って、セーラがウィリアムに筋トレばかりさせ、ムキムキになってきてるのは気になるけど。
そんでもって、サセックス港まで行くと、何やら見覚えがある船が泊まっていた。
「な! なんて事してるんですか!」
そう、シロが超絶チューンナップしていた、メアリーアン海賊団の母船が、ブリテン王国のカラーである白と赤にペイントされてたのである。
「シロが好きな、白と赤だから問題無いんじゃないのか?」
俺は、疑問に思い指摘する。
「大ありです! 僕は、僕が弄った物を他人に手を加えられたくないんです!
しかも、イングランドの国旗だなんて、日本人なら、十字架じゃなくて、日の丸でしょ!
せめて、島津藩の丸十字にして欲しいです!」
どうやら、メアリーと同様に日本贔屓であるシロは、日の丸じゃないのがお気に召さないようである。
「私も、そう思う!」
何故か、ブリテン王国側のメアリーも、シロに同意した。
ーーー
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