392 / 568
392. ドM
しおりを挟む「本物と言われても、ヤッパリ顔違うしな~」
「ブリテン王国が、部外者である筈のアナスタシアさんの指示に従ってるだけでも、本物の証拠だと思いますけど。
鈍感なメアリーさんは、全く気付いてませんけど、女王のアンさんとか、セバスチャンさんとか、前の戦いで死んでしまった元円卓の騎士の長老さん達も気付いてたと思いますよ!」
シロが、指摘してくる。
「そうなのか?」
「そうでしょう。そうでなければ、アナスタシアさん、仲が良い僕達と、共に行動してる筈でしょ!
アナスタシアさんは、自分の意思でブリテン王国と行動を共にしてるんです!」
「そうなの?」
「アムルー城塞都市で冒険者をやってたのだって、アムルーダンジョンで、スタンピートというか、魔王に対抗出来る者達を探してたんです!
アムルーダンジョンは、お父さんが作った、異常に魔素濃度が高いダンジョンですから、ご主人様や僕みたいな突然変異の強い人間や魔物が生み出され易いですからね!」
「だったら、南の大陸から、強者を連れてくる方が簡単じゃないのか?
南の大陸には、変態的に強い奴らが沢山居るし!」
俺は、正論をぶつけてやる。
「多分、このダンジョンに迷い込んだ南の大陸出身者は、既に使ってると思いますよ。
南の大陸にも、実は、聖剣エクスカリバーの伝承が有るんです!」
何故か、シロはドヤ顔する。
「そうなの?」
「南の大陸の超有名人が、実をいうと、聖剣エクスカリバーを使って、『黒竜戦争』を、戦っているんです!」
「何だそれ?」
「黒竜戦争を、詳しく知りたい人は、『必ずイカせる!異世界生活』や、『続 必ずイカせる!異世界生活』を読んで下さい!」
「まさかの、手抜き説明……」
「まあ、兎に角、南の大陸には、『漆黒の森』の女王、ガブリエル・ゴトウ・ツゥペシュ率いる『犬の尻尾』の他にも、犬の名がつく有名なギルドがあるんです!
その名も、『犬の肉球』!
因みに、『犬の肉球』は、『犬の尻尾』の副団長アンさんや、ドワーフ王国直営店の店長ヨネンさんのお父さんである、ドワーフ王ドラクエルさんが副団長をしているギルドです!」
「で、その『犬の肉球』が、どうしたよ!」
「その『犬の肉球』の団長で、勇者だった人物が、150年前に、聖剣エクスカリバーを使って『黒竜戦争』を戦ってたんですよ!」
「そうなの? でも、そのエクスカリバーって、この世界のエクスカリバーじゃないかもしれないだろ?
この世界の並行世界である、地球の方のエクスカリバーかもしれないだろ?」
俺は、シロに、可能性の話をする。
「それがですね! 『黒竜戦争』の後、勇者は、聖剣エクスカリバーと共に、何処かに消えて、行方不明になってしまっているんですよ!」
「お前が言いたのは、アレか?
その勇者が、アムルーダンジョンで聖剣エクスカリバーを見つけ、
南の大陸に戻って『黒龍戦争』に参加し、
また、アムルーダンジョンに戻ってきて、第35階層で魔王を倒し、
そして、聖剣エクスカリバーを、ハルマン王都の公園に返したと?」
「ハイ! 最初に、聖剣エクスカリバーを手に入れた時に、第35層で魔王を倒したか、『黒龍戦争』が終わってから魔王を倒したかは分かりませんけど!」
「まあ、言われて見ると、その線はあるかもな……」
「でしょ!」
シロは、自分の推理によっぽど自信があるのか、無い胸を張る。
確かに、アムルーダンジョンのハルマン王国の伝承でも、何度か勇者が現れ、聖剣エクスカリバーを公園の岩から抜き、魔王を倒したという伝承が有る。
「その勇者が、南の大陸の勇者だったんですって!
きっと、アナスタシアさんに頼まれて、協力したんですよ!」
シロが、俺の頭のなかを読んで、自分の考えの正当性を訴える。
「多分、その勇者って、よっぽど強い奴なんだろうな。
確か、黒龍って、ガブリエルを越える、最強の一角の1番手だとか、言われてる奴だろ?
そいつをしりぞけたんだから、よっぽどだろ?」
「ですね! だからヤッパリ、その勇者とアナスタシアさんは、協力して魔王を倒したんじゃないかと思うんです!」
「そんで、俺やシロやケンジが、その勇者の後釜に選ばれたと……」
「それで、間違いないですね!
アナスタシアさんは、将来有望な魔王を倒せそうな者達を、アムルー冒険者ギルドで物色し、育ててたんですよ!」
「だから、有望そうだった俺やケンジに、小さい時から目にかけてくれ、優しくしてくれていたのか……」
「多分、アナスタシアさんは、ご主人様の本来のステータスが見えてたかもしれないですよ!
何せ、始祖様ですから!
鑑定レベルも、MAXの筈ですからね!」
「成程、それで平凡だった人間時代の俺に、あれほど執着していたのか……」
「そうです! アナスタシアさんは、ご主人様の勇者という称号が好きだっただけなんです!
ただ、ご主人様を利用しようと思ってただけで、決して、ご主人様が好きな訳ではないんですからね!」
なんか、シロの話で、全て合点がいった。
普通、少し強いくらいの、ただの冒険者に、アナスタシアのような実力者が、目を掛けてくれる筈はないのだ。
ただ、俺が勇者だったから。
アナスタシアは、俺の隠されたステータスの勇者という称号に惹かれただけ。
なんか、涙が出てきた。
「な……泣かないで下さいよ! アナスタシアさんは兎も角、ケンジは、ご主人様の隠れたポテンシャルを、野生の勘で見抜いてたんですから!」
「アイツは、ロリコンだけど、天才だからな……」
「そうです! 見る人が見ると、ご主人様の凄さは分かるんです!
僕は、どちらかと言うと、ご主人様の才能というよりは、実は努力家のとことか、優しい所に惚れてるんですから!」
「たまに、ボコボコにお前を殴ってしまう俺の事を、優しいって言うのかよ?」
「アレって、愛情表現ですよね?その後、ほんのちょっとだけ、優しくしてくれるじゃないですか!」
「ほんのちょっとだけだぞ?
DV男に惚れる女とか、殴られた後、凄く優しくしてくれるから離れられないとか言うけど、俺の場合、ほんの少しだけ、罪悪感から、ちょっとだけ優しくしてやってるだけなのに……」
「よく考えたら、勘違いでした!
僕、殴られてる時点で、お股 濡れ濡れでした!」
「成程な!」
シロは、DV男に惚れてしまう女じゃなくて、ただのドMの幼女だった事が、判明した。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
面白かったら、お気に入りにいれてね!
3
お気に入りに追加
641
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
慟哭の時
レクフル
ファンタジー
物心ついた時から、母と二人で旅をしていた。
各地を周り、何処に行くでもなく旅をする。
気づいたらそうだったし、何の疑問も持たなくて、ただ私は母と旅を続けていた。
しかし、母には旅をする理由があった。
そんな日々が続いたある日、母がいなくなった。
私は一人になったのだ。
誰にも触れられず、人と関わる事を避けて生きていた私が急に一人になって、どう生きていけばいいのか……
それから母を探す旅を始める。
誰にも求められず、触れられず、忘れ去られていき、それでも生きていく理由等あるのだろうか……?
私にあるのは異常な力だけ。
普通でいられるのなら、こんな力等無くていいのだ。
だから旅をする。
私を必要としてくれる存在であった母を探すために。
私を愛してくれる人を探すために……
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる