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385. サセックス連邦VS十字軍(9)

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「俺、ヤダヨー! 死にたくないもん!」

 俺は、必死に机にしがみついて抵抗する。

「折角、いい感じでご主人様が出陣する感じになってたのに!
 何、やってるんですか!」

 シロに、諌められる。

「本当に、嫌なんだもん!」

「ついさっきまで、羨望の眼差しで見てた、ウィリアムまで、白い目で見てますよ!」

「男にどう思われようが、知ったこっちゃないんだよ!」

「じゃあ、サS〇X騎士団が死んじゃってもいいんですか?
 いくら不老不死でも、チリも残らず消滅させられたら、死んじゃうんですよ!」

「それは……」

「ヤッた事がある女の子が死んじゃったら、目覚めが悪いですよ!」

 シロが、嫌な事を言ってくる。

「ヤラシイ奴め……。そんな事言われたら、ヤルしかなくなっちゃうだろ!」

 俺は、覚悟を決めた。
 男として、そう! ハーレム勇者を目指す男として、譲れない事があるのだ。

 ヤッた女は、全員、幸せにする!

 S〇Xで、気持ち良くしてやるのは勿論、普段の生活にも気を使って、不自由なく暮らせるようにしてやるのが、ハーレム勇者の真の姿なのである。

「成程、それが、ご主人様の考え方ですか。
 そしたら、色んな女とS〇Xさせたら、色々と頑張らなくてはならなくなると……」

 なんかシロが、考え込んでいる。

 目が、全く笑って無いので、何か怖い。

 というか、全ての副眼が半開きになってるので、怖いを通り越して不気味である。

「本気出すから、刀を出せ!
 有るんだろ、新しい刀!」

 俺は、シロの行動パターンが分かっている。
 何か、重大な戦争とか、戦いが有る時は、決まって新しい衣装や装備を製作する癖があるのだ。

「有りますよ! 白蜘蛛ver.5.2」

 シロは、当たり前のように、自分の魔法の鞄から、新作の日本刀を出した。

「なんか、バージョンが、滅茶苦茶進んでるんだけど……」

「どんどんバージョンアップさせてますから、古いのは、南の大陸のヨネンさんの所に、売り払ってます!」

 成程、俺の新作の刀を製作する度に、古い刀をヨネンの店に卸す事によって、ドワーフ王国直営店の借金を返済してるというカラクリか……。

「じゃあ、まだ売ってない、もう1つ古いバージョンは有るか?」

「有りますよ!」

 シロは、魔法の鞄から、新たな刀を取り出す。

「今回は、本気を出すので二刀流で行く!」

「ご主人様! 二刀流なんか出来たんですか?」

「いや、遊びでしかやった事無い。だけど、二刀流て、何だか格好良いだろ!」

「左様で……」

 俺は、シロに、1つ古いバージョン白蜘蛛ver.5.1を渡され、戦場である城壁高速道路の上に出たのであった。

 ドカーン! バキン! ズドーン!

「思ってた戦いと違う……」

 俺は、何万もの軍隊同士の激しい戦闘をイメージしてた。

 しかし、戦ってるのは、全員バンパイア。

 アッ! 1人だけ人間居た。
 作業用モビルアーマーに乗ったセーラだ。

 そのセーラが、派手な衣装の髭面のオッサンに蹴りを入れられて、俺達の方に吹っ飛ばされてきた。

 ズザザザザザザーン!

 右手にオリヒメ盾。左手は欠損。
 作業用モビルアーマーは、ホコリだらけでボロボロ。
 動いてるのが、やっとに見える。

「大丈夫か!」

 俺とシロとウィリアムは、吹っ飛ばされてきたセーラに駆け寄る。

「やっと来ましたか……何とか、ここまで持ちこたえました……後は、師匠と、セドリック様にお任せします……」

 ガクッ……。

 セーラは息絶えた。
 じゃなくて、セーラが乗って居た作業用モビルアーマーが、煙を出して停止した。

「セーラさんーー!」

 何故か、ウィリアムが、セーラを抱きしめ泣いている。

 2人の間で、何か熱いドラマが会ったのか?
 まあ、セーラは作業用モビルアーマーにさえ乗ってなければ、お淑やかで清楚な女性だ。
 そう、ア〇プスの少女ハイジに出てくる、クララのような。

 作者が、完全に小公女セーラとクララを勘違いして、名前を間違えてたという可哀想な過去を持つ、幸薄い少女なのだ。

 作業用モビルアーマーにさえ乗ってなければ、誰しも男なら手を差し伸べたくなってしまう程の、薄幸の美少女……。

 俺だって、セーラが作業用モビルアーマーに乗ってなければ、俺のハーレムメンバーに入れてやっても良いと思う。
 しかし、作業用モビルアーマーに乗ったセーラを知る俺には無理な話。

 なので、セーラとウィリアムが、戦争という緊張状態での吊り橋効果で、良い雰囲気になってたとしても、俺には関係無い話だ。
 というか、俺が見てない、どっか別の場所でやって欲しい。

 俺の物語に、他人の恋愛話など必要ないのである。

 俺は、作業用モビルアーマーが握りしめていたオリ姫盾を拾い、オリ姫を撫ぜる。

「キュイ!」

 オリ姫は、オリ姫盾から、元気いっぱい普段のスライムの状態に戻った。
 やっぱり、オリ姫が一番可愛い。
 俺に、一番懐いてるし。

「オリ姫は、僕の方が仲いいですよ!
 いつも一緒に戦ってた戦友ですから!」

 シロが、オリ姫との絆をアピールしてくる。

「お前、オリ姫に嫌われてたろ?
 いつもグルグル回して、気絶させてたから」

「そ……それは……」

「それから、これ返す! オリ姫が居れば、こんな刀不要だし!」

 俺は1つ古いバージョン白蜘蛛ver.5.1をシロに向けて、投げ捨てる。

「僕の刀を捨てるんですか!」

「オリ姫と比べたら、お前が打った刀なんて、ナマクラなんだよ!」

 俺は、シロに向かって怒鳴りつけてやる。
 シロは、ドMだから、たまに罵ってやらなければならないのだ。

「酷い……酷過ぎる……。僕は、ただ、ご主人様が必要だと言うので、渡しただけなのに……」

「うるせぇー! ボケ! 誰がどう見ても、オリ姫ソードと比べれば、お前が打った刀なんかナマクラのB級品なんだよ!」

「ご主人様のバカ!」

 バキッ!

 俺は、五月蝿いので、シロをグーパンで殴り飛ばしてやった。

「痛いです!」

「もっと欲しいか?」

「もっと欲しいです! ボコボコにして下さい!」

 俺は景気付けに、久々に、シロをボコボコにしてやった。
 ヤバそうな奴とヤル前は、平常心など保てない。

 俺自身も、ヤバくなければ、心が弱い俺は、相手の覇気に飲み込まれてしまうのだ。

 シロは、戦争中だというのに、俺の前でピクピク痙攣して、半殺しになって転がっている。

 大好きなシロでさえ、ボコボコの半殺しに出来る俺なら、あのヤバそうなキンキラの衣装を着てるカール大帝でもヤレる筈!

 俺は、上空で、俺とシロの馴れ合いをジッ!と見ていたカール大帝を睨みつける。

 だが、眼光鋭く俺とシロを見ていたカール大帝は、スッ と、俺から目を逸らした。
 ーーー

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