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380. サセックス連邦VS十字軍(4)

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「な……何と! アレが効かぬか……」

 ノルマンディー公国ごと、消滅させようとして放った第9階位火属性魔法ハレー彗星アタックを止められたカール大帝が、本気で驚いている。

 こうなると、カール大帝が最初に考えていた、サセックス連邦の実力を考え直さないといけなくなる。

「潰すつもりで戦わないと、足元をすくわれるか……」

 カール大帝は右手を上げて、一応、考えてたプランB、ノルマンディー殲滅作戦の指示を出したのだった。

 ーーー

 セーラは調子に乗って、完全に、カール大帝の虎の尾を踏んでしまったようである。

「助かった。助かった。助かった」

 セーラは、急いで、オシッコとウ〇コの処理をしていた。
 放置していると、臭くて堪らなく、頭が回らなくなってしまうのだ。

「どうする。どうする。どうする」

 セーラは、頭をフル回転させて、考え続ける。
 ハレー彗星アタックのような超極大魔法を、何度も受けられない。

 さっきは、完全に、セーラ狙いだったから、オリ姫は受け止められたが、セーラが居ない場所を狙われたら、ひとたまりもないのだ。

「キュイ!」

 とか、考えてたら、オリ姫が飛び跳ねながら分裂した。

「キュイ! キュイ! キュイ!」

 オリ姫が、何か言っている。
 何か、シロから指示を受けてるみたいだ。

「キュイ! キュイ! キュイ!」

 何か言いながら、更に、分裂する。

「もしかして、オリ姫先輩を分裂させて、ノルマンディーを守れと言ってるのですか?
 というか、オリ姫先輩は、何匹に分裂出来るんですか?」

 圧倒的強者であるオリ姫に対しては、敬語。
 作業用モビルアーマーに乗ってても、調子に乗れないのである。

「キュイ! キュイ!」

 オリ姫は、なんと、セーラの想像を越える5匹に分裂した。

 作者は、オリ姫の成長をあまり書いてないが、どうやら勝手に、かなり成長していたようである。

 まあ、オリ姫は、メタル系スライムより経験値を稼げる人間を沢山殺してるので、当然と言えば当然なんだけど。

 トゥルルルルル! トゥルルルルル!

「サS〇X騎士団No.1から、No.4集合!」

 セーラは急いで電話を掛け、戦力の強い順から4名を、自分の元に集結させる。

 城壁高速道路の高架下ショッピングモール兼、東海道五十三次モドキには、10メートル間隔で移転魔法陣を設置してるので、滅茶苦茶早く集合する事が出来るのだ。

「お前達、オリ姫先輩を1匹づつ連れて、持ち場に戻れ!」

「もしかして、オリ姫先輩を、actチェンジさせて宜しいのですか?」

「構わん! それぞれ好きな得物にactチェンジさせて、防衛するように!」

「「ハッ!」」

 サS〇X騎士団のNo.1からNo.4は、思わず、顔がニヤケてしまう。

 何せ、オリ姫は、伝説の聖剣エクスカリバーと同じ素材の魔物なのだ。

 即ち、オリ姫を剣にactチェンジさせれば、聖剣エクスカリバーを持つ事と同じになってしまう。

 ブリテン島出身のサS〇X騎士団にとって、同じ島出身の勇者アルトリア・ペンドラゴンは、御伽噺に出てくる憧れの英雄。

 小さい頃から、どの家にも置いてある勇者アルトリア・ペンドラゴンの絵本の読み聞かせで育ち、女の子なら、尚更、同じ女の子の勇者アルトリアに憧れるのだ。

 実際、ブリテン島では、女の子が男の子に混じって、チャンバラごっこをするのが、普通の事だったりする。

「オリ姫! actチェンジ!オリ姫ソード!」

「オリ姫! actチェンジ!オリ姫ソード!」

「オリ姫! actチェンジ!オリ姫ソード!」

「オリ姫! actチェンジ!オリ姫ソード!」

 サS〇X騎士団No.1からNo.4は、全員迷わず、オリ姫を、オリ姫ソードにactチェンジさせた。

「あの聞いてた? 私は、防衛しろと言ったんだけど?
 普通、防衛だったら盾じゃないのかな?」

 セーラは、相当、頭にきている。
 作業用モビルアーマーに乗って、調子に乗ってるのに敬語だ。
 人間というのは、怒り過ぎると、敬語になるというのは本当のようである。

「大丈夫です! オリ姫ソードで防御しますんで!
 攻撃は、最大の防御です!
 まあ、聖剣オリ姫ソードを持った勇者サS〇XNo.1に、最早、敵など居ないですけどね!」

「そうですよ! オリ姫ソードを持った私達は、無敵です!」

「勇者サS〇XNo.4、いざ参る!」

 聖剣エクスカリバーと、同等の性能であるオリ姫ソードを持ったサS〇XNo.1からNo.4は、ノリノリで持ち場に戻って行ったのだった。

「さて、どうしたものか……」

 セーラは、調子に乗ったサS〇X騎士団を置いといて、現実に立ち戻る。

 サS〇X騎士団No.1から、No.4と話をしている内に、魔道超電磁砲から免れた、7万人の神聖ローマ帝国兵が撤退している。

 セーラの魔道超電磁砲や、第9階位魔法を受け止めたオリ姫に恐れをなした訳では決してない。

 何故なら、100人を越えるバンパイア公爵を引き連れたカール大帝が、魔道超電磁砲によって焼かれた 地平線まで続く一本道に立ち、こちら側を、キッ!と、睨みつけていたからだ。

 ーーー

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
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