369 / 568
369. シロの野望
しおりを挟むノルマンディー公国と、ブルターニュ公国のインフラ事業が終わり、束の間の平和が訪れる。
というか、このまま他国を侵略していけば、大陸全土に高速道路網が出来てしまう勢いだ。
「ご主人様が、世界征服を成し遂げたら、世界全土に高速道路網を作った、偉大な皇帝と言われるようになるんじゃないですか!」
シロが、なんか壮大な話をしてくる。
「このまま世界征服したら、国民の洗脳が解けた後、国民に人肉食わせた歴史上もっとも残忍な皇帝として、歴史に名が残るかもと思ってたけど、大陸全土に高速道路網を作った偉大な皇帝と言われるようになるのか!」
俺は、自分の事ながら、少し嬉しくなる。
残忍な皇帝と言われるより、やっぱり良い皇帝と言われたいのだ。
『悪名は無名に勝る』という言葉があるが、俺の中では悪名が残るくらいなら、名前なんか残したくないというのが、本当の所だったりする。
だって、俺は、皆にチヤホヤされるであろう、勇者である事を隠したかった男なのだ。
まあ、結局は、【超隠蔽】スキルのせいで、骨になるまで忘れちゃうという、オチが付いてくるんだけど。
「言ったでしょ! 僕は、ご主人様を、歴史に名を残す偉大な英雄にしてみせるって!」
「これも、シロの作戦通りなのか?」
「勿論!」
シロは、無い胸を張って、エッヘンとする。
「なので、頑張って、世界征服しましょうね!」
最近、シロの野望が、ますます大きくなっている。
もしも、このまま、この第35階層が地球並に発展し、テレビゲームとかが発明されたら、『信長の野望』ならぬ、『シロの野望』という、歴史シュミレーションゲームが発売されるかもしれない。
「日没処の島国から、世界征服を成し遂げるんです!
信長が、日出処の島国から、世界を目指したように!」
「もし、織田信長が、明智光秀に本能寺の変で、殺されていなかったら、信長は絶対に世界征服を目指してた筈だもんな!」
「明智光秀大嫌いです!」
多分、明智光秀がシロの前に現れたら、エドワード黒大使と同様、間違いなく抹殺されるだろう。
「絶対、殺します! というか、今からビチ糞トーマス君の部隊のイエローを、東の端にあるであろう、日本?に送り込もうかと、本気に考えてます!」
シロならやりかねない。
エドワード黒大使が、黒色だからという理由で暗殺した幼女なのだ。
明智光秀の場合は、黒色とか関係無く、本当に嫌いのようだし。
多分、この世界で、絶対に殺したい人物No.1なのは間違いないであろう。
シロは、相当、織田信長が好きだ。
織田信長が本能寺で殺されなければ、絶対やってたであろう、世界征服を、極西のブリテン島を、極東の日本に見立て、同じ軌跡で辿ろうとしているのだ。
「僕が好きな歴史上の人物は、織田信長、高杉晋作、劉邦、黒田官兵衛ですね!
高杉晋作と劉邦が好きなのは、ご主人様が大好きな司馬遼太郎先生の影響を多分に受けてます!」
シロが、聞いても居ないのに、自分が好きな歴史上の人物を宣言する。
まあ、シロが好きな歴史人物を聞いて、大体分かった。
シロは、勝手に、俺を百敗一勝将軍 劉邦に重ね、織田信長がやったであろう島国からの世界征服を成し遂げさせたいのだ。
そして、自分は、三英雄に天下を取らした黒田官兵衛を目指している。
じゃあ、高杉晋作は?
「高杉晋作は、やる時はやる男なんです!
長州藩の絶対的ピンチの時に、颯爽と現れて全てを解決してしまうんです!
ご主人様も、ピンチの時まで本気をださないんでしょ!」
シロの期待が、俺に重くのしかかる。
俺は、シロやアナスタシアが思ってるような凄い男なのか?
過大評価過ぎる。
俺は、勇者の力は手に入れたいのに、勇者の責務をやりたくなかった、ただの狡い男なのに。
「信長も劉邦も晋作も、みんな最初は、穀潰しの うつけ者だったんです!
ご主人様は、アホっぽいですけど、やる時はやる男の人なんです!
実際、骨になる前の冒険者時代、ケンジに追い付きたくて、必死に無茶な修行をしてたのを、僕は知ってます!
ただ、ご主人様は、恐れてるだけなんです!
また、骨になる前の冒険者時代の時のように、天才ケンジの駄目な兄貴分、優秀なギルド長の駄目な弟と思われるのが怖くて……」
迂闊にも、ちょっと感情を揺さぶらされた。
こういう話は、無しだった筈なのに。
「俺は、そんな大層な男じゃないさ。ミジンコのような男なんだよ。
ウジウジするのは、元からの性格だしな!
俺は、女の子とS〇Xしまくれれば、それでいいんだよ!
そのつもりで、俺、異世界転生したんだし!」
「何で、自分を卑下して、貶めるんですか!」
今日のシロは、引かない。
多分、俺が話を落とし切れていないのだろう。
自分自身は、だいぶ落としてるんだけど。
「何でですか!」
シロが、感情を爆発させて聞いてくる。
くぅー。いいオチが思い浮かばない。
シリアス展開を、見事に笑いに変える最高のオチが!
考え過ぎて、頭が破裂しそうじゃねえかよ!
とか、考えてると、
「何、考えてるんですか!
アホらしくなりました。もう、この話は止めにします!」
俺は今日初めて、シロに頭の中を読まれた事を、良かったと思えたのだった。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
面白かったら、お気に入りにいれてね!
3
お気に入りに追加
636
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる