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351. 戦後会談

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「バカ殿?」

「分かっちゃいました? これ、バカ殿をイメージして作ったんですよね!
 ご主人様の魂は、日本人ですから、やっぱり日本の王様と言ったら、殿様ですもんね!」

 シロは、嬉しそうに、衣装の説明をする。

「だけど白装束って、日本では、死人が着る服だぞ!」

「大丈夫ですよ! 完全な真っ白じゃないです!
 もう一つのご主人様のイメージカラーのゴールドの刺繍をたくさん入れてますから!」

「刺繍の柄が髑髏って、悪者過ぎるだろ!」

「僕達、この世界では、元海賊ですから、やっぱり髑髏マークは必要でしょ!」

「だけど、家紋が髑髏って、ヤバ過ぎだろ!」

「家紋は髑髏じゃないですよ!家紋は白鯨で、国旗が髑髏です!」

「家紋?家紋なんて、どこにも無いぞ?」

 俺は、家紋が入りがちな場所を確認するが、その場所にはポッカリ、スペースが空いていた。

「 家紋が入る場所には、白色の白鯨を刺繍してます!」

「白色の刺繍なんて、白鯨がどこに居るのかなんて分かるかよ!」

「白鯨は、白色なので、白色以外の糸では刺繍できないので!」

「そしたら、着物の生地の色を変えれば良かっただろ!」

「それは出来かねます!全体が白色じゃないと創作意欲が、全く湧きませんから!」

 よく分からんが、白地に白の刺繍は、シロの拘りらしい。
 というか、家紋が付く筈の場所に、なんの模様も付いてないように見えるのに、それでいいのか?

 相当近づかないと、白鯨の家紋が見えないのが、実をいうとオシャレなのかもしれない。
 それとも、敢えて、家紋を見えないようにしてるのか?
 隠し家紋?
 隠れキリシタンみたいな?
 本当に信用してる者にしか、家紋を教えない設定とか?

「変な妄想止めて下さい! ただ僕は、好きな色で、好きな図柄の刺繍をしただけですから!
 家紋を白鯨にしたのも、たまたまですし!
 完全にデザインが決まってないのもあって、白鯨にしただけですし!」

「そうなの?」

「そうです! 国旗の方もヨーロッパの貴族ぽい、髑髏をあしらった格好良いの製作しますから、期待しておいて下さい!」

「ああ!分かり易いのを頼む!」


 ーーー

 俺は、会談が行われるサセックス城の謁見の間の王様の椅子に、偉そうに座っている。

 目の前には、ノルマンディー艦隊の副官だという、髭面で恰幅の良いハゲの男。
 多分、男性ホルモンが多いのだろう。

 それから、ハゲの護衛が2人と、書記官のような男の合計4人の代表団である。

 そんでもって、こちら側は、サS〇X騎士団100人と、シロとミレーネとオリ姫と、セーラとハイジとペーター。

 サセックス公国の総戦力全部集めて、会談に臨んでいる。
 何故かって?
 舐められたくないからに決まってる。

 だって、サセックス公国は、ブリテン王国VS十字軍の大激戦区だったので、殆どの男は、戦争に駆り出されて死んでしまっているのだ。

 残ったのは、女子供だけ。

 なので、サセックス公国の兵士は、シロが募集して鍛えたサS〇X騎士団100名だけなのだ。

 まさか、ノルマンディー艦隊の代表団も、この謁見の間に、全てのサセックス軍が集結してるとは思わない筈だ。

 しかも、サS〇X騎士団は、シロによって、精神と時の部屋で鍛えられた精鋭。

 なんかよく分からないが、有り得ない殺気を出して、ノルマンディー使節団を威嚇していたりする。

 俺は、椅子に座ったまま、偉そうにノルマンディーの代表団を見下している。
 これも、シロによる演出なのだ。

「無礼である!面を下げろ!」

 突っ立っつ、ノルマンディー代表団に、シロが言い放つ。

「私は、ノルマンディー公国の王の使者として、この場に来ている!
 サセックス公国と同じ、公爵位の王が治めるノルマンディー公国の使者として来た私が、ひれ伏す訳にはいかぬ!」

 ノルマンディー王の使者であるハゲが、頭を下げるのを拒否してきた。

「サセックス公国は、公国を名乗ってますが、ブリテン王国での実際の爵位は、大公で、実際は、サセックス大公国です!
 しかも、サセックス国教会の最高権威者でもあるので、ノルマンディー王とは、身分も格も違います!」

 シロが、俺の実際の身分を、ノルマンディーの代表団に説明する。

 そう、俺は、パーフェクト·バンパイア公爵だが、ブリテン王国での爵位は、始祖の兄貴ということになってるので、いつの間にか大公の爵位を授かっているのだ。

「そんな話が信じられるか!
 ポッとでの、何処の馬の骨とも分からない、元海賊が、大公だと?」

 どうやら、ノルマンディー公国は、一応、俺の事を調べているようである。

「何処の馬の骨?ちゃんと、調べて見れば分かりますよ!
 最近、ブリテン王国も、正統な女王が擁立されたでしょ!
 天孫降臨ですよ!
 本来のブリテン王国の支配階級が、天から降りて来て、国譲りしてもらったんです!
 で、ご主人様は、ブリテン王国を興した始祖の兄であらせられるんです!」

 歴史好きなシロが、古事記の天孫降臨に例えて説明する。
 この時代の、しかもヨーロッパのオッサンに、日本の歴史が分かるか分かんないけど。
 というか、日本人でも、天孫降臨知らない人、たくさん居るけどね。

「そんな話、信じられるか!」

 ハゲは、会談の主導権を握ろうとしてるのか、凄くごねる。

「信じるも信じないも、どっちでもいいですけど」

 シロは、そう言うと、必殺ブリトニー直伝 重力魔法で、強制的にノルマンディー公国の使者を、地面にひれ伏せさす。

 そして、続け様に、ペーターに命令して、ケツの穴に木の棒を突っ込んだ、アヘ顔ダブルピース失神しているギヨームを、ノルマンディーの代表団の前に放り投げさせた。

「この人、そちらの偉い人ですよね!
 この人を返して欲しければ、500億ユーロと、ノルマンディー公国のコタンタン半島の割譲を要求します!」

「陛下!!」

 ハゲは、シロの重力魔法をマトモに受けながらも、血の涙とヨダレを流しながら、ギヨームの元へ歩み寄ろうとしている。

 しかし、そんなハゲを嘲笑うように、シロが撮り貯めたギヨームの恥ずかしい写真をばら撒く。

「これも1枚、1億ユーロで買ってね!」

「払う! 払うから! 陛下を返してくれ!」

 ハゲは、地面に顔を擦り付けて、シロに懇願する。

「土地の割譲と、お金を払ってくれないとヤダよ!」

「本国に帰って王と相談するから、少し待ってくれ!」

「1週間までね! それを過ぎたら、ギヨーム王子を殺しますから!」

 シロが、笑いながら、幼女らしからぬ怖いことを言う。

「分かった! すぐに本国に戻り、王に聞いて戻ってくるから、
 取り敢えず、この重力魔法を解いてくれぬか!」

「了解!」

 シロは、嬉しそうに、ノルマンディー代表団を解放したのだった。

 こんな感じで、ノルマンディー公国との話し合いは終わった。

 ーーー

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
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