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350. サセックス公国VSノルマンディー公国(5)
しおりを挟む「ギョエエーー!!」
シロの遠投は、滞空距離が長い、ゆったりとした遠投ではない。
例えるなら、イ〇ローのレーザービーム。
オ〇タニさんの豪速球。
兎に角、一直線に、ギヨームが乗る船に向かって飛ばされているのだ。
やはり、これだけ風が強いと、滞空時間が長い遠投では流されてしまうのか。
とか、考える余裕もない。
ビューーンだ!
余りにGが強く、皮が捲りあがって、骨が剥き出しになってしまいそうである。
というか、ギヨームの船が見えて来た。
気を失いそうになるが、しっかり目を見開いている。
目が乾燥して痛いが、目を閉じる事など出来ない。
だって、スピードが早すぎるんだもん。
自分で止まらないと、ギヨームの乗る船に乗れずに、そのまま、もっと先まで飛んでいってしまいそうなスピードなのだ。
感じとしては、飛ばされる線上にギヨームが乗る船がある感じ。
しかし、止まる手段が無い。
どうする?
とか、考えてる内に、ギヨームが乗る船を過ぎてしまった。
「ジーザス!」
やっちまった。
もしかして、やり直しかよ。
目が乾燥し過ぎて、メッチャ痛いのに。
1000円を越える高級目薬ささないと、二投目は絶対に無理だ!
とか、考えててると、
ガチン!
突然、足首に衝撃が走る。
というか、余りの衝撃で、足首の肉がもげるのを感じる。
どうやら、シロか止めくれたらしい。
俺は、そのまま後ろに引っ張られて、ギヨームが乗る船の上に叩き落とされた。
「痛ぇーー!」
叩き落とされた衝撃より、足首の肉がもげた方が痛い。
というか、見てみると、やっぱり骨が剥き出しになっている。
自分の骨を見慣れてる筈なのに、思わず吐きそうになる。
「えっ!? どこから飛んで来た?」
「空から?」
「敵か?」
「アイツ、足首から、骨が見えてるぞ!」
「負傷兵?」
「というか、衣装が真っ白で、ド派手過ぎないか?」
有り得ない衣装で、有り得ない方角から落ちて来た俺に、ノルマンディー兵は戸惑っている。
俺は、足が痛いのを我慢して、呆気に取られていたギヨームに抱きつく。
とっとと、この滅茶苦茶過ぎるミッションを終わらせるのだ。
一々、敵兵に斬られたくないし。
「貴様ぁーー! 何をする! てっ、えっ!」
ビューーン!
俺とギヨームは、息継ぐ暇もなく、シロに引っ張られて、シロが待つ、1キロ先の城壁の上に戻ってきた。
「ご主人様、お疲れ様でした」
「お前! 滅茶苦茶するなよ! ご主人様を何だと思ってるんだ!」
「僕は、ご主人様のポテンシャルを信じてますので!」
「それ、褒めてる事にならないからな!
ていうか、俺の服、小便だらけじゃねーかよ!」
どうやら、ギヨームは、余りの恐怖に失禁失神してしまったようである。
「ちょっと待って下さい! 写真取りますから!」
シロは、失禁してズボンを濡らしているギヨームを、激写しまくる。
「オイ! ご主人様の着替えの方が先だろ!」
「大丈夫です! その服 防水だから、オシッコ弾きますし!」
シロは、相変らず辛口というか、自分の製作した服の性能を信じてるのか?防水なら、問題無いけど。
「そんな事より、ノルマンディー公国をゆするネタの方が、大事ですから!」
シロは、ギヨームのズボンを脱がし、ナニの辺りに大量の水を垂らして水溜まりを作る。
「捏造かよ!」
「僕は、ご主人様の為なら何だってしますよ!」
シロは、喋りながら、ギヨームの尻に木の棒を突っ込んで、両手をダブルピースさせる。
失神したギヨームは、どう見てもアヘ顔ダブルピースして、失禁した変態男にしか見えない。
「よくやるな……」
「これくらいやらないと、脅しにはならないので」
ピロロロロロロー!
骨が剥き出しになった足首に、エリクサーを掛けながら話してると、シロの魔道式スマホに電話が掛かってきた。
「アッ! セーラからです。きっと、ギヨームが攫われてしまったので、ノルマンディー軍が混乱しているのでしょう」
シロは、セーラからの電話を取る。
「ハイ。ハイ。分かった。ノルマンディー軍が白旗上げたんだね!
ウン。今、こちらからも、確認したよ!
それにしても、セーラ、ヤリ過ぎだよ!
殺すのは、500人までって、決めてたでしょ!
2000人も殺しちゃったら、後で揉めるでしょ!
すみません?
すみませんで済んだら、警察要らないんだよ!
後でお仕置ね!
えっ?モモ肉食べられるのは嫌だ?
ちゃんと、エリクサーで復活させるから、大丈夫!
そんな事より、ノルマンディー軍との停戦会議の準備をお願いね!
そうだな。相手もまだ、混乱してると思うから、1時間後に、サセックス王宮の謁見の間でしよう!
相手も落ち着いてくるし、まだまだ混乱もしてる筈だから、こちらが有利に会議を進められると思うからね!」
シロは、話を終えると、スマホをしまう。
「それでは、ご主人様! 停戦会議用の衣装合わせに行きましょう!」
「もう、十分、派手な衣装だけど、今更、衣装合わせ居るか?
というか、停戦会議?
全員、ぶっ殺せば、戦争終わりじゃないのか?」
「ヨーロッパは、東アジアみたいに、皆殺し文化じゃないんですよ!
東アジアは、一族皆殺しが基本ですけど、ヨーロッパの場合は、基本、王族同士が親戚の場合が多いから、王族を捕まえて、身代金と、土地の割譲とかで、終わりの場合が多いんです!
実際、地球の歴史なら、ノルマンディー公は、イギリスの王室と親戚という理由で、イギリスを征服したんですから!」
シロが、得意の歴史ウンチクを披露してきた。
「確かに、中国人は皆殺し好きだからな……。
実際、3000年の歴史ないし。
終わった王朝は、一族皆殺し。
敵国の人間を干し肉にして、兵士の兵糧とかにするのも普通だったらしいし。
そして、前の王朝の本とか文化財を焼き尽くして、酷い王朝だったと、歴史を書き換えるし……。
勝てば官軍とか言うが、俺のような歴史好きから言わせれば、ヤリ過ぎだと思うし。
そんでもって、中国で一番繁栄した唐時代の文化が一番残ってるのは、日本の京都だったというオチが付いてくるのだ」
「まあ、ヨーロッパは、右の頬を殴られたら、左の頬を差し出せという、キリスト教文化圏ですからね!
目上の人がする事は、どんな事やっても正しいという儒教文化圏の東アジアとは違いますよ!」
「確かに、儒教文化圏だと、目上の人が絶対という考え方だから、勝手に、それを履き違えて、中国に近い国が年上で、それより離れている国は年下で劣った国だと、勘違いしてる国とかあるしな!」
「まあ、そんな事は置いといて、兎に角、この服を着て下さいよ!」
と、シロは、とんでもない服を、魔法の鞄の中から取り出したのだった。
ーーー
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