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346. サセックス公告VSノルマンディー公国(1)

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 ノルマンディー公国の艦隊が、領都ライ、改め、王都サセックスの近海に集結している。

 その数、300隻。

 小国としては、まあまあの艦隊だ。

 まあ、俺達はゴールデンスカル海賊団だった時代に、黒髭海賊団やイスパニア艦隊と対峙した事があるので、ビビる事はないのだけど。

 俺とシロは、サセックス王城の地下作戦本部で、のんびりソファーに座って、ポテチを食べながら、100個以上あるモニターを見て、観戦している。

 モニターの映像は、シロが夜なべして作った、超小型ハエ型偵察魔道具ハエックスによって、盗撮された映像である。

 実際、シロの話によると、ノルマンディー公国との戦争の準備より、超小型魔道具ハエックス100匹作る事の方がしんどかったという話だ。

 まあ、裏話は置いといて、ノルマンディー艦隊からの砲撃が始まった。

 すると、敢えて、透明マントで隠してあった、100台以上はあろう、移動式巨大盾サセックス大盾が、城壁高速道路に、デン! と現れる。
 大盾の下部に魔道式自動車が取り付けられており、自由に高速道路内を移動できる仕掛けになっているのだ。

「これ、透明マントで隠しておく必要あったのか?」

「敵を驚かす演出ですよ!
 サセックス公国が、8メートルの高さの城壁で囲まれてる事は、外から見たら丸分かりなので、ノルマンディー艦隊は その対策を練って、8メートルの城壁を越えられる大砲を配備してきてる筈です!
 それを嘲笑うように看破するのが、戦術というものなんです!」

「これって、シロが考えたのか?」

「セーラの作戦ですよ」

「セーラって、幸薄そうなのに頭いいんだな」

「セーラは、幸薄く無いですし! 車椅子が無くても歩けます!
 ご主人様は、セーラがワンレン金髪で、大人しそうな性格だからといって、何かのアニメに出てくる登場人物と同一人物だと思ってませんか!」

「え?! 違ったの?」

「違いますよ!」

「でも、家庭教師ト〇イに入ってるから、頭がいいんだろ?」

「違います!
 ご主人様……もしかして、小公子セ〇ラと、ア〇プスの少女のクララと、ゴッチャになってませんか?」

「アッ!?」

 なんという事だ。
 容姿がクララだったので、俺は完全にセーラの事を、クララと勘違いしていた。

 作者は、なんと面倒臭い事をするんだ。

「じゃあ、家庭教師ト〇イに入ってないのか……」

「当たり前です!」

 今日も、シロの突っ込みは、キレキレだった。

 てな感じで、ノルマンディー艦隊の砲弾は、全てサセックス大盾にブロックされる。

 相手艦隊は、相当慌ててる筈だ。
 いきなり、作戦が崩れてしまったのだ。

 まあ、ノルマンディー艦隊の作戦は、定石通り、砲弾攻撃でサセックス軍を疲弊させてから、サセックスに上陸させる作戦だったに違いない。

 しかしながら、ノルマンディー艦隊の砲撃は、全てサセックス大盾に阻まれて、サセックス領内に一発も届いていないのだ。

 このままだと、無駄に砲弾を使うだけ。

 だからといって、次の作戦が全く決まらないのか、ダラダラと砲弾の無駄遣いを続けているのだ。

「撤退すればいいのに」

 俺は、ポツリと呟く。

「そんな訳にいきませんよ! ノルマンディー公国にも面子が有るので、敵にノーダメージで、しかもマトモに戦闘もしないで帰ってきたとあったら、国内で猛批判を受けますよ!」

「確かにな……。出来たばかりのサセックス公国に、自ら仕掛け、挙句に砲撃だけはたくさん打って、何も出来ずに帰って来たら、俺なら税金泥棒! 当たらない砲弾買うより、税金安くしろ!と、叫ぶな」

「そうです。こちらからは、全く仕掛けてませんから、ノルマンディー艦隊も、帰るに帰れないのです!」

「成程、ある程度、ドンパチして戦闘があれば、ノルマンディー艦隊も撤退の言い訳できるけど、まだ、サセックス公国は、防御してるだけで攻撃してないのか!」

「そういう事です!」

「もしかして、これもセーラの作戦?」

「僕は、解説してるだけですよ!」

「やるな!セーラ!」

「セーラは、僕の秘蔵っ子ですから!」

 シロは、無い胸をエッヘンと張る。

 痺れを切らしたノルマンディー艦隊が、城壁の外側にあるライ港、改め、サセックス港に入港してくる。

 本来は、サセックス艦隊の軍港にもなってる巨大な港だ。
 しかしながら、今回は、サセックス艦隊を一隻も常駐させずに、全て魔法の鞄の中にしまっている。

 どうやら、セーラは、何処までもノルマンディー艦隊に攻撃しないつもりであるようだ。

 というか、攻撃しなくても、簡単にサセックス港に入港にできるとノルマンディー艦隊が気付いていれば、砲弾の無駄遣いをする羽目にならなかったのに。

 本当に、ノルマンディー艦隊は、憐れである。

 まあ、絶対に罠が有りそうなので、分かっていても入港出来なかったのかもしれないけど。

「セーラの奴、どうするつもりなんだ?」

「さあ?」

「お前の弟子なのに、セーラが何をするのか想像できないのかよ!」

「僕とセーラでは、感性が違いますので!」

 シロは、当たり前でしょ!と、言い返してくる。

 サセックス港に入港してきたノルマンディー艦隊は、ここぞとばかりに、城壁に向けて一斉砲撃を開始した。

 殆ど0距離なので、城壁が破壊できるかもと思ったようだ。

 しかしながら、みんなの想像通り、アダマンタイトセメントで出来た城壁は、ビクともしない。

「あ~あ……。また、砲弾の無駄遣い。もう、今までの砲弾の代金で、ノルマンディー公国の1年分の国家予算の半分くらい使ってるんじゃないのか?」

「ですね。経済産業大臣のハイジに、計算させますか?」

「そんな、他国の国家予算の計算とか出来るのかよ! というか、アイツ、巨乳の癖に頭いいの?」

「家庭教師ト〇イに、入ってるので頭がいいんじゃないですか?」

「それな!」

 ーーー

 サセックス公国VSノルマンディー公国(2)に続く。
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