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343. サセックス公国

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 サセックス大要塞が完成してから、1ヶ月半。

 ブリトニーに鍛えられて、ナニの技術と戦闘力が増して戻ってきたサセックスアマゾネス騎士団、改め、サS〇X騎士団の運用も軌道にのり、何度か豚人間襲撃事件がサセックス領を賑わしていた頃、ブリテン王国からの使者が、サセックス領にやって来た。

「オークだ! オークの施設団が!やって来たぞ!」

 一応、サセックス領としては歓迎ムードを演出しているのだが、領都ライの住人達は、【選民】スキルのせいで、レベルが高い他国の人間はオークに見えてしまうようである。

「醜いオークめ! これでも食らえ!」

「豚野郎は、養豚場で大人しく肉にされるの待ってろよ!」

「醜い豚さんは、お家に帰って!」

 ブリテン王国の使節団達は、領都の住民達に石を投げつけられている。

「何なんだ! ここの領民は、気でも狂ってるのかよ!」

 思いっきり石をぶつけられ、ブリテン王国の使節団の団長、メアリー・ペンドラゴンは怒り心頭だ。

「どうやら、サセックス領の住民は、変なスキルを保持してるようですね……」

 メアリーの警護として付いてきてる『鷹の爪』のアナスタシアが、【鑑定】スキルで、住民達を確認している。

「セドリックの奴、暫く見ない間に何やってるんだ?」

『鷹の爪』の団長ラインハルトがボヤいている。

「流石は、セド兄!」

 ケンジは、いつも通り。

 てな感じで、メアリー率いるブリテン王国の使節団が、サセックス城の謁見の間にやってきた。

「無礼である! おもてを下げよ!」

 俺の隣に立つ、シロが、メアリー達、ブリテン使節団に言い放つ。

「シロ様、少し不当ですよ!
 こちらは、ブリテン女王の代理として来ているんです!
 ブリテン女王に領地を与えられた、ブリテン女王の配下であるサセックス公が、そのような態度を取るのはおかしい事です!」

 アナスタシアが、不当な扱いに抗議する。

「俺達の仲なんだから、そんなにかしこまらなくてもいいんじゃないか?」

 貴族の作法に疎いラインハルトは、呑気に鼻の穴をほじっている。

「流石は、セド兄!」

 ケンジは、いつも通り。

「アナスタシアさん。もう、僕達は、ブリテン王国の配下じゃないんですよ」

 シロが、不敵に笑い言い放つ。

「オイ。 それはどういう事だ?」

 メアリーが、有り得ない程の殺気を放ってきた。
 正直、ビビるんだけど。
 しかし、今日の俺は、これくらいではビビらない。

 何故なら。

「ニャンか、五月蝿い蚊蜻蛉がいるのニャ」

 そう、今日は、助っ人として、ブリトニーさんに来て貰っていたのだ!

 ブリトニーは、メアリー達をギラリと睨み、メアリーを越える禍々しい殺気を放つ。

「何だ! お前!」

 メアリーが、怯みながらもブリトニーに言い放つ。

「私?私は、シロのお姉様なのニャ!」

 ブリトニーは、余裕綽々だ。
 海を割るメアリーを持ってしても、ブリトニーとは格が違う。
 その凶暴性、イッちゃってる性格、戦闘センスに、有り得ない程のスキル持ちで、全属性の魔法まで使えちゃうのだ。

 オマケに不死者で、チンコスライスの使い手だし。

「そういう事です! 今日をもって、サセックス領は、ブリテン王国から独立して、サセックス公国を名乗ります!」

 シロが、サイコニャン娘ブリトニーの虎の威を借り、ブリテン王国からの独立を宣言した!

「そんな道理ある訳ないだろ!」

 メアリーは、怯まず、言い返してくる。

「コイツ、殺しちゃっていいニャ?
 少し、生意気なのニャ!」

 ブリトニーが、少々ムカついたらしい。

「待て待て待て! 一応、こいつ、俺のハーレム候補だから!」

 俺は、必死でブリトニーを止める。
 少しムカついたくらいで、俺のハーレム候補を殺されたら堪らない。

「私の趣味じゃないニャ! 私は可愛い妹系美少女が好きなのニャ!
 デッカイ牛女は、勘弁なのね!」

「牛じゃない! 由緒正しい、鬼人族だ!」

 メアリーは、牛耳族と間違えられて、カチンときている。

「メアリー! 引きなさい! 相手は、南の大陸の大魔王よ!」

 何故か知らないが、アナスタシアは、ブリトニーの事を知ってるみたいだ。

「大魔王って、アメリカ大陸に居る奴ですか?」

 メアリーが、アナスタシアに聞き返す。

「別の異世界の大魔王よ……。こっちの大魔王は、絶対に敵に回しては駄目な方の大魔王よ!」

「でも、師匠! コイツを倒せば、セドリックを改心させられるんですよ!」

「メアリー。ブリトニーさんだけじゃないのよ……。南の大陸には、まだまだ大物がたくさん居るの」

 どうやら、アナスタシアは、南の大陸のヤバさが分かっているようだ。

 確かに、南の大陸は、『漆黒の森』のゴトウ族。ガブリエル、ブリトニー、アンさんだけじゃない。それ以外にも、強敵がわんさか居る。

 実際、南の大陸と俺は言ってるが、あの異世界は、南の大陸以外の大陸がたくさん有るのである。

 西の大陸にいる、アンさんのお父さんで、ドワーフ国王ドラクエル。西の大陸は、静寂の森の支配者エルフの女王アリシア・ホワイト。西の大陸、龍の巣に住むと言われる赤龍。
 島国、魔法国家サリスの魔法学校の校長、大賢者モッコリーナ。
 東の大陸、黒竜王国の黒龍などなど。

「そっちにも、分かってる奴が居るようなのね!
 分かったら、とっとと国に帰って、糞して寝るのニャ!
 これから、シロとのお楽しみの時間が待ってるのニャ!」

 ブリトニーは、既にメアリー達に興味を失い、今日のアルバイトの報酬に興味が移っている。

「糞ッ!」

「メアリー!」

「分かってます……。 ブリテン王国は、サセックス領の独立を認める」

 メアリーは、アナスタシアに諭され、遂にサセックス領の独立を、渋々ながら認めたのだった。

「流石、セド兄!」

「俺にかかれば、こんなものだ!
 カッハッハッハッハッ!」

 俺は、弟分のケンジにヨイショされ、有頂天になる。

「五月蝿いニャ!」

「すみません」

 しかし、ブリトニーに一喝されて、3秒で我に返る。

 こんな感じで、俺はいつものように、それほど頑張る事なく、シロの有り得ない権謀術数で、国を建国する事に成功してしまうのだった。

 ーーー

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