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332. 猫可愛がり
しおりを挟む俺達ゴールデンスカル海賊団は、決戦の地キャメロット城に向かっている。
ロンドン市街は、ボロボロ。
ロンドンの象徴ビックベンも破壊され、激戦の物凄さを物語っていた。
「人、全然居ないな?」
「一般市民は、避難指示が出てたんじゃないですか?」
頭の良いシロが、指摘してくる。
「でも、兵士が1人も居ないぞ?」
「ですね。さっきまでたくさん居たのに……」
そう、テムズ川を北上じゃなくて、西上して来た時、俺達は、十字軍の大部隊と遭遇して、シロがオリ姫モーニングスターでぶっ飛ばしていたのだった。
「何処に居るんだろうな?」
「もう、キャメロット城に乗り込んでいるんじゃないですか?」
「だな、相手十字軍には、ローバー海峡やテムズ川を凍らした凄腕魔法使いが居る筈だし、きっと、キャメロット城はヤバイ事になってる筈だ!」
「ですね! これでご主人様が颯爽と表れ、激闘の末、敵十字軍を殲滅させたら、ご主人様は、ブリテン王国の救国の英雄になれますよ!」
シロが、ヨイショしてくる。
「そうかな~」
俺は照れながら、シロに乗っかてみる。
「絶対、なれます! というか、計画通りです!
ご主人様の覇業は、今日、この日から始まるんです!」
シロは熱い。
シロは、俺を英雄にする事に命を掛けているのだ。
「グスン。遂に、百敗将軍から卒業出来るんだな」
俺は、今迄の不甲斐なさ過ぎる戦いを思い出し、涙ぐむ。
「そうです! 漢の高祖 劉邦のように、今日この日から覇王への道に進むのです!
そして、アレクサンダーの王国や、モンゴル帝国を越える、世界最大の帝国の皇帝になるんです!」
「せ……世界最大の帝国の皇帝だと!」
シロの目標は、果てしなく高い。
シロは、意識高い系幼女なのだ。
「そうです! 僕の夢は、ご主人様を、僕が崇拝する第六天魔王織田信長でも成しえなかった、世界皇帝にする事なんです!」
シロは燃えている。
メラメラ燃えている。
というか、魔道具を使って、炎のエフェクトまで出している。
絶対、無理だと思うんだけど……。
というか、俺は目立たないように、田舎で隠れてハーレム勇者をやりたかっただけなのに。
まあ、シロがやると決めたなら、そのようにされてしまう気もする。
何せシロは、天才で、ドラ〇もんなのだ。
天才のドラ〇もんなんて、チート中のチート。
主人公に甘く、なんでも叶えてくれて、しかも天才。
唯一の玉に瑕は、小言が多い事。
まあ、それは、可愛らしい容姿で相殺されるんだけど。
とか、そうこう話しながら移動してたら、敵に遭遇する事なく、キャメロット城に到着してしまっていた。
「なんか静かだな……」
「キャメロット城、もう既に落とされちゃったんですかね?」
シロが頭を捻っている。
「キャメロット城を捨てて、敗走戦に突入してるのか?」
「さあ?」
俺達が、キャメロット城の正門の前まで来ると、ギィー! という音を立てながら、正門が開かれる。
「人は居るみたいだな」
「というか、ブリテン王国兵が普通に居ますよ?」
城内に入ると、大勢の負傷したブリテン王国兵が治療を受けていた。
一応、戦闘は有ったぽいが、城内には侵入されてないようである。
「こっぴどくヤラらてるな……。というか、どう見ても十字軍に敗れて、城に逃げ帰って来てるようにしか見えないな……」
「ロンドンの街並みを見ると、市街戦はやってたみたいですけど、キャメロット城は無傷ですね」
「でも、負傷者の多さを見ると、負け戦にしか見えないんだけど?」
「よく分かりませんね。ここまで追い込んでおいて、何故、十字軍は撤退しちゃったんでしょう?」
「アナスタシアやケンジとか、『鷹の爪』の面々が頑張ったんじゃないのか?
奴ら、実は、相当強くなってるだろ?」
「精神と時の部屋を貸してあげてましたから、相当、パワーアップしてる筈です!」
てな感じで、城内の様子を見ていると、負傷者の看護を手伝っていた『鷹の爪』の面々が、俺達に気づいてやってきた。
「よお! 生きてたかよ!」
ラインハルトが、馴れ馴れしく話し掛けてきた。
「まあな」
俺は、素っ気なく答える。
「で、イスパニア艦隊は、倒したのかよ?」
ラインハルトは、友達でも無いのに、無遠慮に聞いてくる。
「俺が本気を出せば、余裕だろ?」
俺は、どうって事ないという顔をしながら、ラインハルトに答える。
「どうせ、メアリーさんが無双してやっつけたんだろ?」
ラインハルトは、全く俺を信じてない。
「本当に俺が大活躍して、イスパニア艦隊を倒したんだよ!」
俺はカチンときて、強めに言い返す。
「またまた~。メアリーさんや姐さんが活躍したというなら分かるが、いざって時に役に立たないセドリックが活躍する訳無いだろ!」
なんか、滅茶苦茶ムカつく。
確かに、今までの俺は、全く活躍してなかった。
しかし、今回は、程々に活躍しているのだ。
まあ、ゴールデンスカル海賊団単体で動いてたので、俺の活躍を目にした味方は少ないが、結構な大活躍だったと自負している。
「ご主人様は、活躍したんです!」
シロも話に参戦してくる。
というか、ラインハルトに対して、恐ろしい程の殺気を放っている。
ラインハルトは押し潰され、地面にキスをしている。
てか、ブリトニーとかが使ってた重力魔法か?
シロの奴、いつの間にマスターしてたんだ?
「ブリトニー姉様にお願いして、教えてもらったんです!
というか、【重力魔法】をスキルとしてくれました!」
シロが俺の頭の中を読んで、律儀に俺の疑問に答えてくれた。
ブリトニーは、どんだけシロが大好きなのだ……。
美少女好きだとは知ってたが、ブリトニーはシロに甘過ぎる。
エリクサーも無制限にシロに与えてるみたいだし、猫耳族なので、性質上猫可愛がりしてしまうのか?
「ブリトニー姉様は、若くて可愛い女の子が大好きみたいですよ!
大きくならないドワーフ族のアンさんや、ハナちゃんも可愛がっていますから!
因みに、歳上のアンさんにも、ブリトニー姉様と呼ばしてるみたいです!」
「そうなの」
シロが、知らなくてもいい、ブリトニー豆知識を教えてくれた。
まあ、危険過ぎるブリトニーに嫌われるより、好かれてる方が良いに決まってるのだけど。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
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