306 / 568
306. ゴールデンスカル海賊団VSブラックバード海賊団(2)
しおりを挟むゴールデンスカル号は、砲弾を躱しつつ、列車のように連なるブラック・バード海賊団の側面車輌?側に移動する。
ドゴゴゴゴゴゴーーン!!
海賊船の側面には、知っての通り大砲がたくさん付いてるので、ゴールデンスカル号は砲弾の雨嵐を受ける。
「右舷20度に舵を切って!」
「キュイ!」
「左舷15度!」
「キュイ!」
「次は、右舷8度!」
シロは、細かく操舵のオリ姫に指示を出す。
最早、神業。
何せ、ゴールデンスカル号は全くスピードを落としていないのだ。
そして、そのまま8両目くらいに居たブラック・バード海賊団に体当たりする。
ドッカーン!
無駄に固い、ミスリルアダマンタイト合金のスカルヘッドに頭突きされて、敵船が木っ端微塵に大破する。
「ヨッシャー!」
俺は、思わず声を出す。
「ドンドン行きますよ!」
「おうよ!」
「キュイ!」
まさか体当たりされるとは思っていなかったのか、敵船団に乱れが生じる。
そして、それを見逃すミレーネではない。
ズキューーーーーン!!
すかさず、ゴールデンスカル2号からレールガンが発射される。
ドッカーン!
「ヨッシャー! 2隻目!」
ゴールデンスカル号は、スピードを落とさずに反転しながら、再び、ブラック・バード海賊団の船列に突撃する。
ドッカーン!
再び、敵船が大破する。
しかし、
「ご主人様ーー!」
「糞! 敵が、侵入してきやがったか!」
ブラック・バード海賊団は、超一流海賊団。
やはり、一筋縄ではいかない。
直ぐに、対策を練られてしまった。
「オリ姫! 取り敢えず、敵船団から距離を取れ!」
「キュイ!」
船内に乗り込んで来た敵を相手にしながら、ブラック・バード艦隊を攻撃するのは不可能。
取り敢えず、ブラック・バード艦隊から離れるのが、頭が良い俺が考えた最適解なのだ。
でもって、ゴールデンスカル号に乗り込んで来た敵は、15人。
俺とシロは、敵の殲滅に着手する。
「ご主人様! 敵は、ゴールデンスカル号の動力部を狙ってます!」
「分かってる!」
シロが必死になって糸を放ち、敵を防いでいる。
「ご主人様! 海賊さん達、意外と強いですよ!」
「見れば分かる!
それと、第35階層では、俺達も海賊だぞ!」
「でしたね」
流石は、レベルが高い第35階層。
まあ、南の大陸の方が全体的にレベルが高いのだが、相手は最強海賊五公の一角、ブラック・バード海賊団なのだ。
俺なんて、同じ五公の黒髭海賊団に、何度も殺され、犯され、生きたまま肉を食われたのだ……。
ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク……。
また、いつものPTSDの発作が始まった。
「シ…シロぉ……!」
体が震えて、まともに刀が持てない。
「ご主人様、こんな忙しい時に……」
「だってーー!」
「ご主人様! エロい事を考えるんです!」
「こ……こんな状況で、エロい事なんか考えれる訳ないだろ!」
「分かってるんですか! ここでゴールデンスカル号の動力部が破壊されてしまったら、ブラック·バード海賊団に捕まって、また、オカマを掘られるんですよ!」
シロは、必死に敵海賊達と戦いながら、俺を鼓舞する。
というか、シロの話を聞いたら、益々、敵海賊が怖くなってきてるんだけど。
「シロ! いつもみたい、お股をパックリ開いて中身を見せてくれよぉー!」
「無理に決まってるでしょ!」
俺の願いを何でも叶えてくれるシロでも、流石に戦闘中は、無防備にパンツを脱いでお股を開けれないようだ。
と、そうこうしてると、ゴールデンスカル号が、突然止まった。
「嘘だろ! ゴールデンスカル号が止まっちゃったよ!」
「大丈夫ですよ! まだ、動力部は破壊されてません!」
シロは、必死に戦いながら答える。
「じゃあ、何で?」
「キュイ!」
ゴールデンスカル号の操舵をしていた筈のオリ姫が、シロの元に駆け寄る。
「ブラック・バード海賊団から かなり離れたから、助太刀に来てくれたようです!」
シロが、オリ姫の言葉を翻訳してくれだ。
「成程!」
「笑わせるなよ! スライムベスが1匹増えた位で、俺達ブラック・バード海賊団に勝てると思ってるのかよ!」
「ス…スライムベス……。ククククククククククククククククククククククク……」
ブラック・バード海賊団の一人は、どうやらツボにハマったようである。
「オリ姫が来てくれたから、僕も、本気を出す必要なかったですね!」
シロが、言わなくても良い事を一々言う。
確かに、最近見てないが、本来のアラクネの姿になったシロの実力はこんなもんじゃない。
「ククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククク……!」
ツボにハマってた海賊が、お腹を抱えて笑いこけている。
「お前達のせいで、笑い上戸のゴンザレスの奴が、おかしくなっちまっただろ!
本気を出してないって、スライムベスが1匹増えたくらいで、お前ら何でそんなに調子に乗れるんだよ!」
「クアッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」
ゴンザレスさんが、笑い死にそうだ。
甲板の上で、のたうち回ってる。
「笑っていられるのも今のうちです!
オリ姫! 久しぶりに行くよ!
オリ姫actチェンジ、オリ姫モーニングスター!」
「キュイ!」
火山スライムキングを倒す初期に使っていた、シロ最強の得物、オリ姫モーニングスターが復活した。
前より増した、鋭角なトゲトゲ。
最早、ウニにしか見えない。
最初の頃の、金平糖のような可愛らしいトゲトゲが懐かしい。
「な……何だと、スライムベスが、モーニングスターに変化しただと!」
流石のブラック・バード海賊団も、オリ姫がウニに変化したのには、少し驚いたようだ。
「言っときますけど、オリ姫は、雑魚スライムのスライムベスじゃないですからね!
最強のスライム、オリハルコンスライムなんですから!」
シロは、オリ姫モーニングスターを、頭上で高速回転させながら、ブラック・バード海賊団に啖呵を切る。
「キュ……キュイ……」
オリ姫は、何とか相槌を打ったが、久しぶりの高速回転に耐えきれずに、苦しそうであった。
ーーー
ここまで読んで下さりありがとうございます。
面白かったら、お気に入りにいれてね!
0
お気に入りに追加
636
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる