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306. ゴールデンスカル海賊団VSブラックバード海賊団(2)

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 ゴールデンスカル号は、砲弾を躱しつつ、列車のように連なるブラック・バード海賊団の側面車輌?側に移動する。


 ドゴゴゴゴゴゴーーン!!

 海賊船の側面には、知っての通り大砲がたくさん付いてるので、ゴールデンスカル号は砲弾の雨嵐を受ける。

「右舷20度に舵を切って!」

「キュイ!」

「左舷15度!」

「キュイ!」

「次は、右舷8度!」

 シロは、細かく操舵のオリ姫に指示を出す。

 最早、神業。

 何せ、ゴールデンスカル号は全くスピードを落としていないのだ。

 そして、そのまま8両目くらいに居たブラック・バード海賊団に体当たりする。

 ドッカーン!

 無駄に固い、ミスリルアダマンタイト合金のスカルヘッドに頭突きされて、敵船が木っ端微塵に大破する。

「ヨッシャー!」

 俺は、思わず声を出す。

「ドンドン行きますよ!」

「おうよ!」

「キュイ!」

 まさか体当たりされるとは思っていなかったのか、敵船団に乱れが生じる。

 そして、それを見逃すミレーネではない。

 ズキューーーーーン!!

 すかさず、ゴールデンスカル2号からレールガンが発射される。

 ドッカーン!

「ヨッシャー! 2隻目!」

 ゴールデンスカル号は、スピードを落とさずに反転しながら、再び、ブラック・バード海賊団の船列に突撃する。

 ドッカーン!

 再び、敵船が大破する。

 しかし、

「ご主人様ーー!」

「糞! 敵が、侵入してきやがったか!」

 ブラック・バード海賊団は、超一流海賊団。
 やはり、一筋縄ではいかない。
 直ぐに、対策を練られてしまった。

「オリ姫! 取り敢えず、敵船団から距離を取れ!」

「キュイ!」

 船内に乗り込んで来た敵を相手にしながら、ブラック・バード艦隊を攻撃するのは不可能。
 取り敢えず、ブラック・バード艦隊から離れるのが、頭が良い俺が考えた最適解なのだ。

 でもって、ゴールデンスカル号に乗り込んで来た敵は、15人。
 俺とシロは、敵の殲滅に着手する。

「ご主人様! 敵は、ゴールデンスカル号の動力部を狙ってます!」

「分かってる!」

 シロが必死になって糸を放ち、敵を防いでいる。

「ご主人様! 海賊さん達、意外と強いですよ!」

「見れば分かる!
 それと、第35階層では、俺達も海賊だぞ!」

「でしたね」

 流石は、レベルが高い第35階層。
 まあ、南の大陸の方が全体的にレベルが高いのだが、相手は最強海賊五公の一角、ブラック・バード海賊団なのだ。

 俺なんて、同じ五公の黒髭海賊団に、何度も殺され、犯され、生きたまま肉を食われたのだ……。

 ガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガクガク……。

 また、いつものPTSDの発作が始まった。

「シ…シロぉ……!」

 体が震えて、まともに刀が持てない。

「ご主人様、こんな忙しい時に……」

「だってーー!」

「ご主人様! エロい事を考えるんです!」

「こ……こんな状況で、エロい事なんか考えれる訳ないだろ!」

「分かってるんですか! ここでゴールデンスカル号の動力部が破壊されてしまったら、ブラック·バード海賊団に捕まって、また、オカマを掘られるんですよ!」

 シロは、必死に敵海賊達と戦いながら、俺を鼓舞する。
 というか、シロの話を聞いたら、益々、敵海賊が怖くなってきてるんだけど。

「シロ! いつもみたい、お股をパックリ開いて中身を見せてくれよぉー!」

「無理に決まってるでしょ!」

 俺の願いを何でも叶えてくれるシロでも、流石に戦闘中は、無防備にパンツを脱いでお股を開けれないようだ。

 と、そうこうしてると、ゴールデンスカル号が、突然止まった。

「嘘だろ! ゴールデンスカル号が止まっちゃったよ!」

「大丈夫ですよ! まだ、動力部は破壊されてません!」

 シロは、必死に戦いながら答える。

「じゃあ、何で?」

「キュイ!」

 ゴールデンスカル号の操舵をしていた筈のオリ姫が、シロの元に駆け寄る。

「ブラック・バード海賊団から かなり離れたから、助太刀に来てくれたようです!」

 シロが、オリ姫の言葉を翻訳してくれだ。

「成程!」

「笑わせるなよ! スライムベスが1匹増えた位で、俺達ブラック・バード海賊団に勝てると思ってるのかよ!」

「ス…スライムベス……。ククククククククククククククククククククククク……」

 ブラック・バード海賊団の一人は、どうやらツボにハマったようである。

「オリ姫が来てくれたから、僕も、本気を出す必要なかったですね!」

 シロが、言わなくても良い事を一々言う。
 確かに、最近見てないが、本来のアラクネの姿になったシロの実力はこんなもんじゃない。

「ククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククククク……!」

 ツボにハマってた海賊が、お腹を抱えて笑いこけている。

「お前達のせいで、笑い上戸のゴンザレスの奴が、おかしくなっちまっただろ!
 本気を出してないって、スライムベスが1匹増えたくらいで、お前ら何でそんなに調子に乗れるんだよ!」

「クアッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」

 ゴンザレスさんが、笑い死にそうだ。
 甲板の上で、のたうち回ってる。

「笑っていられるのも今のうちです!
 オリ姫! 久しぶりに行くよ!
 オリ姫actチェンジ、オリ姫モーニングスター!」

「キュイ!」

 火山スライムキングを倒す初期に使っていた、シロ最強の得物、オリ姫モーニングスターが復活した。

 前より増した、鋭角なトゲトゲ。
 最早、ウニにしか見えない。
 最初の頃の、金平糖のような可愛らしいトゲトゲが懐かしい。

「な……何だと、スライムベスが、モーニングスターに変化しただと!」

 流石のブラック・バード海賊団も、オリ姫がウニに変化したのには、少し驚いたようだ。

「言っときますけど、オリ姫は、雑魚スライムのスライムベスじゃないですからね!
 最強のスライム、オリハルコンスライムなんですから!」

 シロは、オリ姫モーニングスターを、頭上で高速回転させながら、ブラック・バード海賊団に啖呵を切る。

「キュ……キュイ……」

 オリ姫は、何とか相槌を打ったが、久しぶりの高速回転に耐えきれずに、苦しそうであった。

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