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302. 人肉フェスティバル

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「霜降り人肉になるとして、どんな肉料理にしよう?」

 シロが、頭を捻り考えている。

「やっぱり霜降りなら、レアステーキだろ!
 どう考えても霜降り人肉を、ハンバーグにするのもったいないし!」

「僕的には、霜降りをハンバーグにすると、肉汁がたくさん出て美味しそうな気がするんですけど?」

「ハンバーグなら、合い挽きだろ!
 やっぱり、素材を活かすなら、絶対、レアステーキだ!」

「そうですね! 折角の人肉ですもんね!
 ご主人様の意見に従います!」

 シロは、舌舐めずりしながら、小太りのイスパニア兵に向き合う。

「聞いてましたよね! 貴方が嘘を付いたら、人肉レアステーキになります!
 この『神判の魔眼』の前では、どんな嘘もバレてしまいますから!」

「ヒィィィィーー!」

 イスパニア兵は、恐れおののき失禁してしまう。

「オシッコしてもウンコを漏らしても大丈夫ですよ!
 料理するのは、天の神様ですから!」

 シロは、自分が処理しなくても良いので余裕綽々だ。

「それでは質問です!
 お昼休みに、必ず昼食を食べた後、トイレでオ〇ニーするのはシモンズさん! 貴方ですね!
 しかも、手を洗わずに、手についた精液をいつも親友のノリエガさんの背中で拭いてますね!」

 滅茶苦茶、生々しい質問。
 というか、シロは鑑定眼も開いている。
 完全に、鑑定眼で小太りのイスパニア兵シモンズさんの個人情報を覗いている。

「それは……」

「早く、答えて下さい! そこにいるノリエガさんの目を見て!」

「お前、俺の背中でそんな事してたのかよ!
 どうりで、いつも洗濯する時、服の背中側がカピカピしてると思ってたんだよ!」

 ノリエガさんは、怒り心頭に怒っている。

「違うんだ! いや、違うくない! て、違う! 違わなかった」

 小太りのイスパニア兵シモンズさんは、テンパってアタフタしている。

 無理もない。回答を間違えてしまったら、人肉レアステーキになってしまうのだ。

「さあ、ウ〇コをした後、絶対に手を洗わないシモンズさん、早く答えて下さい!
 しかも、ウ〇コが手に付いた場合、精液と同じく、ノリエガさんの背中で拭き取るシモンズさん!」

「な……何で……」

 シモンズさんは、泣きそうな顔をして、シロを見る。

「お前って、奴はーー!」

 ノリエガさんの怒りは頂点に達したのか、額の血管が切れ、シャァーー! と、血が吹き出ている。

「シロ……流石にやり過ぎじゃないのか?
 しかも、鑑定眼を使うなんて反則だろ?」

 俺は、シモンズさんが可哀想になり、シロに意見する。

「可哀想なのは、背中に精液とウ〇コを親友に付けられたノリエガさんだと思います!」

「確かに……」

 俺は、思わず納得して、それ以上は何も言えなくなってしまった。

「それから、それだけでは飽き足らず、貴方は、斥候部隊隊長のエステバンさんの食事に、毎日ハナクソを混ぜてるんですよね?」

「な……何だと!」

 多分、エステバン隊長と思われる人が、簀巻きにされたまま立ち上がった。

「違います! いや、違わないです!」

「クッ! 今まで目を掛けてやってたのに……」

 エステバン隊長は、苦虫を噛み潰したような顔をして憤っている。

「というか、シロ、お前の鑑定眼、何処まで個人情報が分かるんだ?」

 俺は、急に気になり、質問する。

「普通のRPGゲームのようなステータスから、趣味、特技、家族関係、住所、ありとあらゆる人に知られたくない秘密まで、何でも鑑定できますけど?」

「俺の鑑定スキルと、全然違うんだけど……」

「僕は、毎日、色んな物を鑑定してますから、レベルが上がったんじゃないですか?」

「そういうものなのか?」

「そういうものです!」

「あの……シロ様、そろそろイスパニア軍の作戦を聞き出して欲しいのだけど……」

 相当前から痺れを切らしてたと思われるアナスタシアが、申し訳なさそうにシロにお願いしてくる。

「そうですね……。仕方が無いです。
 もう、イスパニア兵の皆さんも、僕の『神判の魔眼』の恐ろしさを分かったと思いますしね!」

 どう考えても、人肉食べたかっただけだと思うのだけど。
 シロは、作戦通りと平静を装う。

 そんなこんなで、シロの『神判の魔眼』、というか『鑑定眼』の怖さを知ったイスパニア兵は、全ての情報をゲロり、イスパニアの作戦情報を得る事が出来たのであった。

 そんでもって、そのまま作戦会議が開かれ、軽い夕食を食べた後、奇襲作戦が行われる運びになった。

「メッチャ急展開だな」

「イスパニア艦隊は、もう目と鼻の先に居ますからね!」

「それにしても、夜襲する事になるとはな」

「相手は、夜目が利きませんからね」

 どういう訳か、闇属性持ちの俺や、アナスタシア。鬼人族、オーガは全員夜目が利く。

 そう、メアリーアン海賊団は、全員、始祖の眷族なので闇属性持ちなのだ。

 逆に夜目が利かないのは、少数派。
 マオ・パイパイや佐々木小次郎とか、元黒髭海賊団の幹部達。

 しかし、夜目が利かないと言っても、全員、化物クラスの大物達。
 第六感やら、心眼やら、なんやかんやで、夜の戦闘も全く問題ないらしい。

 因み、完全に夜目が利かないのは、ラインハルトだけだったりする。
 アトレシア大陸最強冒険者パーティー『鷹の爪』の団長だというのに情けない。

 兎に角、そういう訳で、夜襲が決行される手筈となったのだった。

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