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227. ゴールデンスカル連合軍VS黒髭海賊団第2回戦最終回
しおりを挟むメアリーの必殺、鬼神斬りをマトモに受けた黒髭は、その余りに凄まじ過ぎる剣圧で、潰れて死んでしまったようである。
黒髭がいた筈の場所には、魂を刈るデスサイズと、数秒前には黒髭だったであろう、グロテクスな赤黒い肉片が残っただけであった。
「呆気なかったな……」
「メアリーさんが強過ぎるんですよ」
俺の感想に、シロが答える。
メアリーと黒髭の戦いを見ていた鬼ヶ島の民衆は、全員腰を抜かしガクガク震えてる。
メアリーが黒髭を倒したという感情より、鬼ヶ島を消滅させる勢いであった、メアリーのおバカ過ぎる攻撃を回避できた安堵の気持ちの方が強かったのだろう。
それ程、メアリーの鬼神斬りは、ヤバかったのだ。
というか、放ったメアリーも、目を泳がしてダラダラ冷や汗を流してるし。
本当に、結界を張って俺達を守ってくれた、魔女マーリンとセバスチャン兄弟様々である。
「やっぱり魔女マーリンって、凄いですね」
「そりゃあ、そうだろ。あのヤバ過ぎるメアリーを倒した女だぞ。弱い筈無いだろ!」
「というか、マーリンさん、黒髭が持ってたデスサイズを拾ってますよ?」
シロに言われて、メアリーの鬼神斬りによって、地面が抉られ、血染みができた黒髭がいた辺りを見ると、ちょうど魔女マーリンが、デスサイズを拾って自分の魔法の鞄にしまっている所だった。
「そうだな……」
俺は、その、一見、何も変哲のないように見える行動を疑う事なく見ていた。
デスサイズのような、ほぼ神器とも言えるヤバ過ぎる武器は、魔女マーリンのような強者が保管しておくべき物だと思っていたからだ。
「アッ! 消えた!」
シロが、突然消えた魔女マーリンに驚く。
「エッ……まさか、瞬間移動魔法を使ったのか?
ていうか、俺も瞬間移動魔法使いたい!」
「ご主人様! そんな事より、デスサイズ!」
意味か分からない。
何で、デスサイズを持って消えるんだ?
まだ、大将戦が残ってるのに?
「この状況って、魔女マーリンが、デスサイズをパクったようにしか見えないんだけど……」
まさかの展開に、俺は驚く。
今の流れでは、誰がどう見ても泥棒にしか見えないのだ。
何も言わないで、普通消えるか?
というか、そんなにデスサイズが欲しかったのか?
「確かに、この状況じゃ、デスサイズをパクったって事になりますね……」
シロも、俺の意見に賛同する。
別に、持って逃げなくても、魔女マーリンが欲しいと言えば、だれも逆らえないと思うんだけど、だって、魔女マーリンって、この中で一番強いと思うし……。
まあ、よく分からないが、魔女マーリンは、俺達の前から姿を消した。
もしかしたら、魔女マーリンは、黒髭が持っていたデスサイズが欲しくて、黒髭を手伝っていたのかもしれない。
それとも、魔女マーリンは、実は死神で、黒髭にデスサイズを奪われ、それを取り返す為に、渋々従わされていたのかもしれない。
まあ、全ては、魔女マーリンに直接聞いてみないと解らない話だし、元々、俺的に何もしてないので、デスサイズを貰える立場でも無い。
そんな訳で、この時の俺は、魔女マーリンが、デスサイズを奪った事を、それほど気に留めていなかったのだ。
しかし、このデスサイズ持ち逃げ事件が、後に起こる悲劇の伏線になっているとは、誰も気付けない事だった。
ーーー
「それでは大将戦! ゴールデンスカル海賊団のペット、オリ姫ちゃんVS黒髭海賊団カネコの試合を始め!」
事実上の決勝戦であった、メアリーVS黒髭の試合が終わった後、一応、大将戦が始まった。
詳しい解説をしても良いが、めんどくさいので省略する。
とは、言っても、やっぱり簡単なので解説はしておこう。
黒髭海賊団のカネコが、10分程頑張ってオリ姫に攻撃を仕掛けていたが全く効かず、逆に剣が折れた所で、オリ姫が体から礫を飛ばし、それが心臓を貫通してカネコは即死した。
オリ姫は、結構無慈悲なスライムだったようである。
でもって、この大将戦の結果により、ゴールデンスカル連合軍VS黒髭海賊団の試合は、2対3になり黒髭海賊団の勝利が決定したのだ。
まあ、ゴールデンスカル連合軍が最初に3連敗した所で、本当は勝負が付いてたんだけど。
カネコさんは、折角の生き残るキップを手にしてたのに、ミスミス逃がしてしまったという事になる。
誰もマトモに見てなかったので、死んだフリすれば、普通に負けれたのに……。
というか、オリ姫を舐めてたカネコさんが悪い。
オリ姫だって、本当は優しい子だ。
カネコさんが、あんなに必死になって、何度も斬りつけなければ、優しく倒してくれたであろう。
しかし、カネコさんは違ったのだ。
奴はサイコ。
オリ姫を、これでもかと痛めつけた。
全く、ノーダメージだったけど。
それで、優しいオリ姫に火がついた。
剣が欠けても、オリ姫を斬り続け、剣が折れるまで、ひたすら斬り続けたのだ。
もしかしたら、最弱の筈のスライムに傷一つ付けられない事に、傷ついたのか?
しかしながら、この第35階層にも、アダマンタイトスライムとか、硬いスライムは居る。
「それにしても、あのスライムベス硬かったよな」
オーガの子供が話してるのが聞こえてきた。
どうやら、カネコさんは、オリハルコンスライムのオリ姫の事を、ドラ〇エに出てくるスライムベスと勘違いしてたようだ。
スライムベスに負ける、黒髭海賊団の幹部。
多分、とっても恥ずかしかったのだろう。
それで、あそこまで必死に、オリ姫を斬りつけたのか……。
少しだけ、カネコさんが可哀想に思えてきた、セドリックであった。
ーーー
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