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219. ゴールデンスカル連合軍VS黒髭海賊団第2回戦(4)

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 黒髭は、カンカンに怒っている。
 無理もない。
 黒髭海賊団は、聞いた事もないポッ!と出の海賊団に舐められまくっているのだ。

 ヤキを入れてやろうと、メアリーアン海賊団とドレーク海賊団が牛耳る海域まで出張ってみたら、逆に、船団の半分以上をゴールデンスカル号に沈没されてしまったのだ。

 怒らない方がおかしい。

 黒髭は、メアリーの小次郎への勝負の申し出を無視して、
 全軍、鬼ヶ島に攻め込む命令をしたのだった。

「この野郎! 武士と武士との戦いを邪魔するんじゃねぇーよ!」

 メアリーは、真っ赤な髪をたなびかせて怒髪天の勢いで、怒声をあげる。

 その余りの気合いが入った声で、黒髭海賊団のレベルの低い者達の足が止まる。

「止まるな! 蹂躙しろ! 全てを焼き付くし、男は皆殺し、女子供は犯しつくせ!」

 黒髭は、足が止まった部下達にハッパをかける。

「チッ! 邪魔するんなって言ってるのによ!」

 メアリーは、無動作に木刀を横に振り、斬撃波を発生させる。

 ぎゃあああああああああーー!

 それだけで、レベルの低い海賊達というか、幹部以外の海賊達の上半身と下半身が真っ二つになった。

「何が起こった?」

 黒髭は、あまりに衝撃的な状況に理解が追いつかない。
 無理もない。
 一瞬で、黒髭海賊団は、幹部以外の者達が全員死んでしまったのだ。

 幹部の中にも、重症を負った者が数人いる。

 というか、これには、メアリーアン海賊団の連中もドレーク海賊団の連中も、みんな口をアングリ開けて驚いている。

「メアリー……いつの間にそんなに強くなったの……」

 姉であるアンが、どうやら一番驚いているようである。

「セドリックと一緒に、師匠に鍛えてもらったんだよ!」

「そんな事が……」

 アンが、真顔で呟く。

 そんな事って、どう考えてもちょっとやそっと鍛えて貰った次元と違うだろ。
 実際、アナスタシアに習ったのは、素振りの正しいやり方だけ。
 後は、精神と時の部屋で1000年間地道に剣を振り続けたのだ。

 剣を振り続けたと言っても、重さが1000キロになる木刀だけど。

 という訳で、世の中に1000年間、1000キロの重量の木刀を振り続ける修行をする奴なんて他に居ない。
 寿命は永遠でないし、俺のような不死者でも1000年間も木刀を振り続ける修行をする物好きは居ない。
 第一飽きるし。

 メアリーは、馬鹿で単純だから耐えられた。
 俺も、意外と秘密特訓は得意な方だ。
 骨になる前の冒険者時代なんか、人に隠れての修行の日々。
 まあ、その行き過ぎた修行のせいで死んだ気がするのだが、その当時の事だけはなんだか思いだせない。

 ただ、覚えてるのは、第5階層で発見した秘密の場所で修行してた事。
 そして、何かの拍子に設置されてた罠が発動して、俺はアムルーダンジョンの下層に飛ばされ、トゲトゲに刺さって死んでしまったというか、肉を失ってしまったのだ。

「メ……メアリー……。小次郎と決闘させてやる!
 だから、俺だけは見逃してくれよ」

 どうやら黒髭は、どうしようもないクズ野郎だったようだ。
 部下を生贄にして逃げようとしている。
 俺としては、俺を殺す事ができるデスサイズを持つ黒髭を逃がす気はサラサラないのだけど。

「分かった! お前達は見逃してやる!
 そもそも、メアリーアン海賊団は、何も被害をこうむってないからな!」

 メアリーがアホな事を言い出した。
 これだから、死に戻りの記憶が無い奴は!
 メアリーも、何度、小次郎に殺されてたと思ってるんだよ!
 弟のリロだって、オカマを掘られそうになってたのに。

「アホメアリー! お前、何言ってんだ!
 黒髭海賊団は、皆殺しに決まってるだろ!」

「セドリック……お前こそ、何言ってるんだ?
 どう考えても、お前の方が悪者だろ?」

 確かに、俺は、黒髭海賊団の傘下の者にちょっかいと言うか、ケツ棒して、挙句に黒髭海賊団の船を殆ど沈めてしまった。
 しかし俺は、何度も黒髭海賊団の奴らに犯されて、黒髭のデスサイズで殺されているのだ。

「だから、それは、俺は黒髭に何度も殺されてるし、お前も小次郎に何度も殺されてるんだよ!」

「でも、実際、お前は生きてるし、私も小次郎に殺されていない」

 メアリーが、正論を述べてくる。

「クッ! これだから死に戻りしない奴は……」

 俺は、悔しくて苦虫を噛む。

「ご主人様……」

 俺の記憶を共有してるシロだけは、俺の事を心配してくれている。
 俺は不貞腐れて、ネズミに変化し、シロの胸の中に潜り込んでふて寝した。

「そう言う事だ! お前達は見逃してやる!
 但し、生き残ってる奴らは、全員1VS1で決闘してもらう!」

 シロのチッパイの谷間でふて寝をしようとしていたら、メアリーが何か面白そうな事を言いだした。

 どうやら、黒髭海賊団をただ逃がす訳では無かったようである。

 よく考えたら、鬼人族とオーガは戦闘民族。
 みんな強者と戦いたいのだ。
 しかも、1VS1を好む。
 鬼人族とオーガは、自分達の事を侍だと思っているので、卑怯な戦い方が嫌いなのだ。

「カッカッカッカッカッカッ! 黒髭海賊団も舐められたものよ!
 1VS1?
 良かろう! それなら存分に相手になってやる!」

 黒髭は、一気に息を吹き返した。
 というか、偉そうになった。
 さっきまで、命乞いしてたのに。

 黒髭的には、メアリー一人と戦う方が分が悪い。
 だって、メアリー、強くなり過ぎてるんだもん。
 メアリー一人に、黒髭海賊団が全滅させられるのは想像つくし。

 しかし、メアリーの対戦相手は、小次郎と決まっている。
 黒髭は、メアリー以外なら、誰が相手でも勝てるという自信があるのだろう。

 俺は、シロの乳首を足場にして、ビョン! と、シロの胸の中から飛び出る。

「ヒャン!」

 シロが、乳首を蹴られて変な声を上げる。
 しかし、興奮気味の俺は、そんなのお構い無し。
 黒髭にリベンジ出来るのだ。

 そして、地面に華麗に着地をした俺は、黒髭に言ってやった。

「お前の相手は、この俺様だ!」

 ハツカネズミの身体のままだと、忘れたまま。

 ーーー

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