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218. ゴールデンスカル連合軍VS黒髭海賊団第2回戦(3)

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 セバスチャン兄弟は、黒髭海賊団が陣取る港を悠々に通り過ぎていく。
 流石はシロが製作した認識阻害マント。
 一流海賊の黒髭海賊団を持ってしても、誰も気付く事ができない。

 因みに、セバスチャン兄弟が認識阻害マントを着る時から見てた俺達には、セバスチャン兄弟がハッキリ見えている。

 そんなセバスチャン兄弟は、魔女マーリンの張る結界をすり抜け、魔女マーリンの肩を、トントンと叩いた。

 超一流魔法使いの魔女マーリンでさえ、シロの認識阻害マントに気付かなかったのか、セバスチャン兄弟に肩を叩かれたマーリンは、とてもビックリした顔をして驚いている。

 そんでもって、魔女マーリンと暫く話し合ったセバスチャン兄弟は、満面の笑みをして頭の上に手で丸を出してきた。

 どうやら、魔女マーリンとの話し合いが成功したようである。

 こんなに簡単に魔法マーリンを説得できるのだったら、前回の黒髭海賊団との戦いの前に、最初から話し合ってくれていたら、俺達は死なずに済んだのに……。

 まあ、前回は、この世界の魔女マーリンの事をよく知らなかったのでしょうがないのだけどね。

 とかやってると、黒髭海賊団の幹部の一人、小次郎が、アンとセバスチャン兄弟が張った結界の前に立っていた。

 どうやら小次郎は、第6階位魔法でも破壊出来ない結界を斬り裂くつもりらしい。

 小次郎は、居合の構えをとり、目をつぶっている。

「メアリー! チャンスだぞ!」

 俺は、隙だらけの小次郎に攻撃を仕掛けるように、メアリーを促す。

「馬鹿言え! 本物の侍が集中してるのだ!
 ここは、黙って見守る所だろ!」

 アホなメアリーが、おかしな事を言っている。
 普通、結界を破られそうになったら、それを守るのが戦争というものではないのか?
 というか、他の鬼ヶ島の連中は、どう思ってるんだ?

 俺は、気になり、メアリー以外の鬼人族とオーガの様子を見てみる。

「嘘だろ?」

 鬼人族とオーガは、揃いも揃って、腕を組み小次郎の様子を大人しく見守っていた。
 なんかよく分からないが、鬼人族とオーガは、武士道精神を履き違えているようだ……。

 普通、日本の侍でも、城の門が破壊されそうになったら抵抗する。
 挙句に、門を突破されたら、壁に設置された三角や四角の狭間から、弓や火縄銃で狙い撃ちするのだ。
 武士道精神もひったくれも無い。

 そして侍は、お互い名前を名乗ってから戦うと言われているが、戦国時代に流行った火縄銃戦術では、自己紹介する暇など全く無いだろ?
 それに、自己紹介してから戦ったとしても、敵を倒したら首をわざわざ刈り取って、「首取ったぞー!」と、ヒャッハーするのが侍という人種なのだ。

「ご主人様、言い方」

 いつものように、俺の頭の中を読んだシロに窘められる。
 まだ、言葉に出してないのに……。

 そんな感じで、鬼ヶ島の鬼人族とオーガは、小次郎の様子を、ただ見守っているのだ。
 そして、そんなお人好しの鬼人族を、爵位持ちのバンパイアは、一歩引いて見守っている。

 完全に、爵位持ちのバンパイアは、鬼人族の手下というか従者みたいになってしまっている。
 あれ程、鬼人族を嫌っていたのに、この変わりよう。本当に、人生って何があるか分からないものだ。

 とか、悟っていると、

 ズダダダダダーーン!

 小次郎が、見事にアンとセバスチャン兄弟が張った結界を斬り裂いた。

「お見事!」

 メアリーの喝采と同時に、鬼人族とオーガが、小次郎に対して盛大な拍手喝采を浴びせる。
 アホ臭くてやってられない。

 相手は、男、子供、見境なしに、穴という穴にチン棒を突っ込んでくる血も涙も無い残忍な海賊共だというのに。

 多分、俺の記憶を見せたら、なんちゃって侍の鬼人族とオーガも、アホ面下げて黒髭海賊団に拍手喝采など出来なかったであろう。

 前回の周回で、黒髭海賊団の奴らにお釜を掘られそうになってた、メアリーとアンの弟のリロなんて、小次郎が結界を斬り裂く所を見て、飛び跳ねて喜んでるし。

 どんだけ、本物の侍が好きなんだよ。

 これは、お人好しの鬼人族とオーガに、一度酷い目をあわせてやらないと、本当に不味い事になるかもしれない。

「やあやあ! 我こそは、鬼ヶ島の双子の女王メアリー·だ!
 小次郎とやら! 私と尋常に勝負しろ!」

 アホなメアリーが、小次郎に対して勝負を申し込む。
 早速、セバスチャン兄弟に聞いた、おばあちゃんである勇者アルトリア· ペンドラゴンの苗字を使っている。

 多分、早く、ペンドラゴン姓を名乗ってみたかったのだろう。とても単純である。

「何言ってやがるんだ! メアリー! 死にたくなかったら、早くゴールデンスカル海賊団の奴らを、俺の前に突き出せ!」

 小次郎の代わりに、怒髪天の勢いで怒っている黒髭がメアリーに返答する。
 無理もない、黒髭海賊団は、訳の分からいポッと出のゴールデンスカル海賊団に、傘下の海賊をケツ棒されて、挙句に、海賊船を半数以上沈没させられているのだ。

「アレ? 」

 俺は、頭を捻る。

 黒髭海賊団の事を悪の権化のように思っていたけど、ゴールデンスカル海賊団の方が、よっぽど悪の権化のような酷い海賊のように思える。

「ご主人様……今更気付いたんですか?」

 シロが呆れた顔をして、俺を見てくる。

「俺が、諸悪の根源なのか?」

「今までの揉め事って、大体、ご主人様が原因ですよ。
 隣国のレスター王国軍と戦いになった時だって、元を正せば、レスター王国の王子に、ご主人様がケツ棒したからでしょ!」

「それは、シロがやったんだろ!」

「ご主人様に、命令されたんです!」

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